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個人事業主になると、事業用のお金も自分自身で管理が必要です。しかし、経理の経験や簿記の知識がなくて、お金の管理や確定申告に自信がないという方も多いのではないでしょうか。
そこで本記事では、個人事業主のお金の管理方法や、お金を管理するためのコツを解説します。
個人事業主にお金の管理が必要な理由

個人事業主にお金の管理が必要な理由としては主に以下の3つが挙げられます。
- 事業の収支を把握するため
- 事業用とプライベートのお金を区別するため
- 確定申告のため
事業の収支を把握するため
1つ目は、事業の収支を把握するためです。お金の流れを正確に記録しておかなければ、利益が出ているのかもわかりません。
売上高から経費を差し引いたものが利益です。売上高だけわかっても、経費がどのくらいかかっているか管理できていなければ、収支を把握できません。
事業用とプライベートのお金を区別するため
個人事業主は、適切にお金の管理をしなければ、事業用とプライベートの出費が混ざって区別がつかなくなってしまいます。後から混乱しないためにも、しっかり分けておくことが大切です。
プライベートのお金で事業用の経費を支払った場合や、事業用のお金を生活費に使った場合は「事業主借」や「事業主貸」という勘定科目を使って仕訳が必要です。
確定申告のため
個人事業主は毎年確定申告が必要です。お金の管理をしておかなければ、正しい納税額を算出できません。帳簿への記載漏れが発生し、本来の申告額より少ない金額しか納税しなかった場合、過小申告加算税を納めなくてはいけなくなります。
ペナルティを受けないためにも、しっかりとお金の管理が必要です。
個人事業主がお金を管理する方法

個人事業主のお金の管理方法には、日次処理・月次処理・年次処理があります。どのようにお金を管理していくか確認しましょう。
毎日行ったほうがよいこと
個人事業主がお金の管理のために日々行ったほうがよいこと(日次処理)は、主に以下の3つです。
- 入金の記帳
- 出金の記帳
- 領収書・請求書・納品書などの保管
売掛金などの入金や、経費の支払いなど、日々の入出金は漏れなく記帳しておきましょう。
月単位で行ったほうがよいこと
個人事業主のお金の管理で、月単位で行ったほうがよいこと(月次処理)には、以下が挙げられます。
- 通帳の記帳
- 請求書発行
- 仕入れ先へ支払い
- 帳簿のチェック
- 月次試算表の作成
月に1回は通帳の記帳をして、帳簿と残高を照合したほうがよいでしょう。残高が違う場合、帳簿に記帳漏れや仕訳ミスがあるはずです。確認して修正しましょう。請求書の発行や売掛金の回収、仕入れ先への支払いなども行います。
また、財務状況を把握するために、月ごとの決算書にあたる月次試算表を作成したほうがよいでしょう。月次試算表の作成は必須ではありませんが、月ごとの経営状況を把握できます。
年単位で行ったほうがよいこと
個人事業主の会計期間は1月〜12月です。決算月は12月、決算日は12月31日と決められています。自分で自由に決めることはできません。個人事業主が年単位で行ったほうがよいこと(年次処理)には、棚卸や決算整理仕訳などが挙げられます。また、青色申告の場合は青色申告決算書、白色申告の場合は収支内訳書を作成します。
確定申告は原則2月16日〜3月15日(土日の場合は翌営業日)に行う必要があります。
個人事業主がお金の管理をするために知っておきたいこと

これまでに簿記を学んだ経験がない方は、個人事業主になって初めて耳にする言葉があるかもしれません。個人事業主がお金の管理をするために知っておきたいことを4つ解説します。
勘定科目と仕訳
勘定科目には「資産」「負債」「資本」「収益」「費用」の5つの区分があります。資産、負債、資本は貸借対照表、収益、費用は損益計算書に記載します。
区分ごとの主な勘定科目は以下の通りです。
- 資産:現金、銀行預金、売掛金
- 負債:買掛金、借入金
- 資本(純資産):元入金
- 収益:売上、雑収入
- 費用:消耗品費、租税公課、雑費
仕訳とは、取引を勘定科目に分けて「借方」と「貸方」に記録することです。左側に書くのが「借方」、右側に書くのが「貸方」です。
勘定科目の区分によって、借方と貸方のどちらに記載するか決まります。
- 資産:借方は増加、貸方は減少
- 負債:借方は減少、貸方は増加
- 資本(純資産):借方は減少、貸方は増加
- 収益:借方は減少、貸方は増加
- 費用:借方は増加、貸方は減少
たとえば以下の例のように仕訳します。
A社から商品代10,000円が振り込まれた。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方科目 |
銀行預金 | 10,000円 | 売掛金 | 10,000円 |
5,000円分の事務用品をクレジットカードで購入した。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方科目 |
消耗品費 | 5,000円 | 未払金 | 5,000円 |
口座からクレジットカードの前月利用分が引き落とされた。
借方勘定科目 | 借方金額 | 貸方勘定科目 | 貸方科目 |
未払金 | 5,000円 | 銀行預金 | 5,000円 |
借方と貸方の金額は、必ず一致します。仕訳帳に記載する際は、日付や摘要(取引内容、取引先など)も記載します。
帳簿への記帳
個人事業主は帳簿の記帳が必要ですが、必要な帳簿は青色申告・白色申告によって異なります。青色申告は控除金額によって必要な帳簿の種類が異なります。なお、帳簿は申告期限の翌日から7年間の保存が必要です。
- 55万円~65万円控除:仕訳帳、総勘定元帳、現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳
- 10万円控除…現金出納帳、売掛帳、買掛帳、経費帳、固定資産台帳
白色申告にも記帳制度や記録保存制度が設けられていて、法定帳簿は7年、任意帳簿は5年の保存が必要です。帳簿の様式や種類についてはとくに定められていません。
【参照】帳簿の記帳の仕方│税務署
単式簿記と複式簿記
簿記には「単式簿記」と「複式簿記」があります。単式簿記とは簡易簿記とも呼ばれるもので、収入や支出を一つの科目で記録する方法です。家計簿をイメージするとわかりやすいかもしれません。
一方、複式簿記は取引を借方と貸方に分けて記録する方法です。借方は資産の増加や負債の減少、貸方は資産の減少や負債の増加を示すため、複式簿記で記帳すると財務状況を正確に把握できます。
経費として認められるもの
個人事業主は確定申告をする際、収入から必要経費を差し引いて所得を計算します。事業に必要な費用は経費として認められるため、経費計上することによって課税対象額を減らせます。一方、私的な用途で購入したものや飲食代など、事業とは関係ない出費は経費にできません。
なお、自宅の一角を事業用の事務所にしている場合の家賃や光熱費などは家事按分が認められています。家事按分とは、生活費と事業費が混在している費用について、事業に使用した分を算出して経費にすることです。家事按分の比率に決まりはありませんが、税務署に質問されたときに納得してもらえる理由が必要です。
個人事業主の確定申告

個人事業主は前年度の収入から必要経費を差し引いて所得を計算し、所得税の金額を申告して納付しなくてはいけません。個人事業主の確定申告には、青色申告と白色申告があります。
青色申告と白色申告の違い
個人事業主の確定申告は、青色申告と白色申告の2種類があります。青色申告とは、事前に税務署に申請し、承認を得た人が税制上の優遇措置を受けられるものです。一方、青色申告の承認を受けていない人は白色申告で確定申告を行います。
青色申告と白色申告の主な違いをまとめると、以下の表のようになります。
青色申告(65万円・55万円控除) | 青色申告(10万円控除) | 白色申告 | |
事前申請 | 必要 | 必要なし | |
記帳方法 | 複式簿記 | 簡易簿記 | 簡易簿記 |
保存が必要な帳簿 | ・仕訳帳 ・総勘定元帳 ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・経費帳 ・固定資産台帳 | ・現金出納帳 ・売掛帳 ・買掛帳 ・経費帳 ・固定資産台帳 | ・法定帳簿 ・任意帳簿 |
【参照】帳簿の記帳の仕方│税務署
白色申告の法定帳簿とは、収入金額や必要経費を記載した帳簿のことです。また、任意帳簿とは、業務に関して作成した法定帳簿以外の帳簿です。
白色申告は単式簿記での記帳が認められているため、日々の記帳から確定申告の手続きまで容易ですが、税制上のメリットはありません。一方、青色申告は事前申請が必要で白色申告より記帳方法が複雑ですが、最大65万円の控除が受けられます。
青色申告のメリット
青色申告には、主に以下のメリットがあります。
- 最大65万円の青色申告特別控除が受けられる
- 家族の給与(青色事業専従者給与)を必要経費にできる
- 赤字を翌年から最長3年間繰り越せる
- 貸倒引当金を計上できる
- 減価償却の特例を受けられる
青色申告をした場合、最大65万円の青色申告特別控除が受けられます。e-Taxによる申告や、優良な電子帳簿保存を行わない場合は最大55万円、単式簿記による記帳や、提出期限内に申告できなかった場合は10万円の控除です。
控除額ごとの適用要件は以下の通りです
控除額 | 65万円控除 | 55万円控除 | 10万円控除 |
複式簿記での記帳 | 〇 | 〇 | (簡易簿記) |
損益計算書・貸借対照表を添付 | 〇 | 〇 | ※損益計算書は必要 |
期限内に申告が必要 | 〇 | 〇 | ー |
e-Taxを利用した電子申告、または優良な電子帳簿の保存 | 〇 | ー | ー |
【出典】帳簿の記帳の仕方│税務署
また、15歳以上の生計を一にする配偶者やその他の親族に給与を支払っている場合、税務署に届出書を提出して要件を満たしていれば、給与を必要経費にできます。
さらに赤字の最大3年間の繰越や、回収の見込みがない債権を貸倒引当金として計上できることも青色申告のメリットです。
加えて、青色申告は減価償却の特例を受けられます。価格が10万円以上の備品は一括で経費にできませんが、青色申告の場合は取得金額が30万円未満であれば、年間300万円まで取得した年に一括で経費計上できます。
【参照】No.2070 青色申告制度│国税庁/少額減価償却資産の特例│中小企業庁
青色申告で提出する書類
青色申告の提出書類は以下の通りです。
- 確定申告書
- 青色申告決算書
青色申告決算書は合計4枚あり、内容は損益計算書とその内訳、貸借対照表となっています。青色申告特別控除が10万円の場合は、青色申告決算書4枚目の貸借対照表は必要ありません。
個人事業主がお金の管理をするコツ

個人事業主はお金の管理が必要ですが、管理に手間がかかりすぎると本来の業務に差し支えてしまいます。できるだけ効率よく、お金の管理をするコツをご紹介します。
事業用口座を作る
まずは事業用口座を開設するのがおすすめです。プライベートで使用している口座を事業用と併用すると、お金の流れを把握しにくくなるからです。
個人事業主の場合、開業届に屋号を記載していれば、屋号付きの口座(屋号+氏名)を開設できます。屋号付きの口座を開設すると、取引先や顧客からの信頼を得やすくなるメリットがあります。
ただし、すべての金融機関が屋号付きの口座名義に対応しているわけではないため、事前に確認が必要です。また、提出書類は金融機関によって異なりますが、開業届や屋号を確認できる書類が必要になる場合があります。
事業専用のクレジットカードを作る
銀行口座と同じように、クレジットカードも事業用を作るのがおすすめです。経費などをクレジットカードで支払えば、利用した日から実際に引き落としが行われる日までに日数があるため、資金繰りが楽になります。
事業用として作るクレジットカードは、ビジネスカードがおすすめです。個人事業主にビジネスカードをおすすめする理由は主に次の2つです。
- 経費処理を効率化できる
- ビジネスに関わるサービスや特典が豊富
ビジネスカードを作ると業務を効率化できるだけでなく、ビジネス向けの付帯サービスが利用できるため、個人事業主のビジネスをサポートしてくれます。
アメックスのビジネスカードは登記簿謄本や決算書の提出が必要ないため、開業して間もない個人事業主も申し込み可能です。カード利用情報は会計ソフトと自動で連携できるため、経費の仕訳を自動化できて、記帳する手間を軽減できます。
また、あとから分割払いに変更できる「あと分割」やあとからリボ払いにできる「あとリボ」も利用できるため、いつでも最適な支払方法へ変更可能です。
ビジネスカードは個人向けカードと同じように、利用金額に応じてポイントが貯まります。経費の支払いをクレジットカード払いにまとめれば、ポイントを効率よく貯められてお得です。
生活費はプライベート用の口座に送金する
個人事業主には給料がありません。自分で決めた額を生活費として、口座から自由に引き出せます。
そこで毎月決まった額を自分の生活費としてプライベート用の口座に送金することをおすすめします。または、1か月の収益の中から生活費にする割合を決めておくのもよいでしょう。
事業用口座から生活費を引き出す場合、「事業主貸」という勘定科目を使用します。
配偶者が仕事を手伝っている場合は給与を振り込む
個人事業主は、自分に給料を支払って、それを経費にすることはできません。しかし、配偶者に仕事を手伝ってもらっている場合、「青色事業専従者給与に関する届出書」を管轄の税務署に提出していれば、配偶者に給与を振り込んで経費にできます。
収入は全て使わずに残しておく
個人事業主は、自分の給与にあたる生活費を自由に決められますが、収入をすべて使ってしまうと経費の支払いや税金の支払いに困ります。また、お金に余裕がなければ、事業拡大のための設備投資もできません。
収入は全て使わずに、毎月残していくことも個人事業主のお金の管理で大切なことです。
節税も考える
個人事業主は、お金の管理の一環として節税も考えましょう。簡単にできて節税効果が高い方法を3つご紹介します。
- 経費はすべて計上する
- 青色申告特別控除を受ける
- 小規模企業共済に加入
まずできるのが、経費は漏れなく計上することです。経費が多ければ所得が減るため、節税になります。自宅を事業所にしている場合は、家事按分ができる可能性があります。
次に大切なのは、青色申告特別控除です。先ほども触れましたが、個人事業主の確定申告には青色申告と白色申告があり、青色申告は最大65万円の控除があります。
簿記の知識がない方は、複式簿記のハードルが高く感じるかもしれませんが、控除額にこれだけ差があることを考えると、青色申告が断然おすすめです。会計ソフトを導入すれば、簿記に自信がなくても経理処理を効率化できます。
また、小規模企業共済への加入も節税効果があります。小規模企業共済とは、中小機構が運営する積み立てによる退職金制度です。月々の掛金は1,000円〜70,000円で、確定申告時に全額を課税対象所得から控除できるメリットがあります。
共済金は廃業時に受け取り可能です。退職金のない個人事業主にとって、節税しながら将来に備えられる制度です。
会計ソフトやアプリの利用を検討する
帳簿はエクセルでの作成も可能ですが、会計ソフトやアプリを利用すれば、さらに手間なく作成できます。レシートの写真をスマホで撮影すれば、データ化してくれる会計ソフトもあります。確定申告に必要な書類も簡単に作成できるため、初めての方も心強いでしょう。
アメックスのビジネスカードは、会計ソフトの「弥生会計ラインアップ」や「クラウド会計ソフト freee会計」とのデータ連携が可能です。API連携できるため、手動によるデータ入力や確認作業が必要なく、カードの利用情報を安全かつ正確に取り込めます。
さらにビジネスカード会員への限定特典として、会計ソフトを一定期間無料で利用できるサービスもついています。(※2025年6月時点)
弥生会計ラインアップとは、弥生シリーズのクラウドサービスである「弥生会計 オンライン」「やよいの青色申告 オンライン」「やよいの白色申告 オンライン」とデスクトップソフトの「弥生会計」「やよいの青色申告」です。
この中の個人事業主向け「やよいの青色申告 オンライン」は、ビジネスカード会員限定特典として、トータルプランが通常初年度半額のところ、1年間無料で利用できるサービスがついています。
また、「クラウド会計ソフト freee会計」はビジネスカード会員限定で、通常の無料利用期間最大30日間に加え、さらに30日間無料で利用できる特典がついています。
どちらの会計ソフトも簿記の専門知識がいらないため、経理の経験がない方も簡単に操作可能です。会計ソフトを使って経理業務を効率化したい方は、個人事業主にお得な特典がついているアメックスのビジネスカードを検討してはいかがでしょうか。
個人事業主は効率よくお金の管理をしよう

簿記の知識がない個人事業主にとって、日々の記帳や確定申告は大変な作業に思えるかもしれません。まずは事業用口座や事業用クレジットカードを作り、事業用とプライベート用のお金が混ざらないようにしましょう。
また、会計ソフトを利用すれば、クレジットカードの取引データや銀行の口座明細などを取り込めるため、仕訳や入力の手間を省き、正確に記帳できます。確定申告の書類も楽に作成できるため、お金の管理に時間を取りすぎることなく、本来の業務に注力できるでしょう。
お金の管理は大切なことですが、労力がかかりすぎてしまうと本業に差し支えます。業務に集中できるよう、ビジネスカードや会計ソフトを活用して、効率よく管理しましょう。
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執筆者名早瀬 佳奈子
日商簿記検定2級
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム