「インフルエンサーマーケティングって、どのくらいの効果があるの?」
このような疑問をお持ちの方は多いようです。
インフルエンサーの投稿が、デジタルネイティブと呼ばれるZ世代の購買行動に影響を与えています。そのためインフルエンサーマーケティングは、SNS時代の新常識として注目されています。
そこでこの記事ではインフルエンサーマーケティングのメリットや注意点、成功事例までをわかりやすく解説していきます。ぜひあなたのビジネスにも、インフルエンサーマーケティングを活かしてみませんか?
インフルエンサーマーケティングとは

SNSなどで影響力のある人物(インフルエンサー)に、自社の商品・サービスをPRしてもらう方法が「インフルエンサーマーケティング」です。企業が直接行う従来型の宣伝より、消費者目線に立った信頼性の高い情報として受け取られるため、効果的な方法として注目を集めています。
インフルエンサーの発信は、企業の一方的なメッセージと違い、共感や信頼感が得られやすく、購買意欲の向上や認知拡大に効果的です。例えば有名なYouTuberがテーマパークの魅力を動画で伝えたところ、多くの視聴者にリアルな体験が提供され、集客につながった事例もあります。
インフルエンサーマーケティングの市場規模と今後の見通し
総務省によると、日本のソーシャルメディア利用者数は、2022年の1億200万人から2027年には1億1,300万人に増加すると予測されています。
このように、ソーシャルメディア利用者数増加に伴い、インフルエンサーマーケティング市場規模も拡大が見込まれています。
■出典:第7節 ICTサービス及びコンテンツ・アプリケーションサービス市場の動向
その背景には、新型コロナによるオンライン化で、SNSを通じて情報を得る消費者が急増したことがあります。
データを見ても、今後もインフルエンサーマーケティングが消費者との重要な接点になり続けると予測できるでしょう。
インフルエンサーマーケティングのメリット・効果

インフルエンサーマーケティングは、特に消費者の信頼を得やすいことが強みです。ここではインフルエンサーマーケティングのメリットと、導入時に期待できる具体的な効果を分かりやすく解説します。
情報への信頼性が高まる
インフルエンサーの情報発信は、企業が直接広告するよりも消費者に信頼されやすいです。その理由はインフルエンサーとフォロワーとの間に、長期間で培われた信頼関係があるからです。
例えばある美容系のインフルエンサーが化粧品を紹介すると、企業の宣伝と比較して「本音の意見が聞ける」と感じたフォロワーが実際に購入することが多くあります。このように、信頼される人物を介することで消費者の関心を効果的に引き出せます。
広告感が薄く自然に情報を届けられる
インフルエンサーマーケティングは、一般的な広告に比べて消費者が情報を受け入れやすい特徴があります。インフルエンサーが日常の投稿の延長で商品を紹介するため、視聴者に宣伝と感じさせにくいのです。
例えば人気の料理インフルエンサーが、キッチン用品を実際に使いながら動画を投稿すると、フォロワーは自然な形でその製品に興味を持ちます。ただし「PR」「広告」と明示することは必須であり、ステルスマーケティングのリスクを防ぐ意味でも大切です。
消費者へ的確にアプローチできる
インフルエンサーのフォロワー層は特定分野に高い関心を持っているため、企業側にとって狙ったターゲット層に確実にアプローチできる点も魅力です。特に専門分野に特化したインフルエンサーを起用すれば、関心の高い消費者に情報を届けやすくなります。
例えばファッションに強いインフルエンサーを活用すれば、服飾品に関心の高いフォロワーが購買行動を起こす可能性が高まります。このように、ターゲットへの的確な情報提供が可能になるのがメリットです。
口コミが生まれやすく情報が拡散する
インフルエンサーを起用した場合、口コミが自然に生まれやすく、情報が広がりやすいです。フォロワーはインフルエンサーとの距離が近いため、投稿にコメントしたり、投稿をシェアしたりする傾向があるからです。
例えばSNSで人気のインフルエンサーが商品を使った感想を投稿すると、フォロワーが共感し、自発的にコメントやシェアをして情報が拡散します。必ずシェアされるわけではないものの、広告費を抑えながら効果的に宣伝できるでしょう。
費用対効果が高くコスト削減できる
インフルエンサーマーケティングは、一般的なテレビや雑誌の広告に比べて費用対効果が高く、広告費を削減できるケースがあります。数万人規模のフォロワーを抱えるインフルエンサーであっても数万円程度で依頼できるため、大規模なメディアより低予算です。
ネット広告と比べても、インフルエンサーマーケティングは消費者が積極的に情報を受け入れやすいため、コスト効率が良いと言えます。
インフルエンサーマーケティングの注意点

インフルエンサーマーケティングは拡散力が高く効果的ですが、一方でコントロールが難しい面もあります。内容をしっかり把握せずに導入すると、トラブルや炎上の原因になるリスクがあるでしょう。
以下では、このようなリスクを避けるための注意点を詳しく解説していますので、安全で効果的なマーケティングにご活用ください。
発信内容を完全には管理できない
まずインフルエンサーマーケティングは、発信内容の管理が困難であることを理解しておくべきです。インフルエンサーが自身の言葉で情報を発信するため、企業が意図した通りの表現にならない場合があります。
例えば新商品のコンセプトを細かく伝えたい場合でも、インフルエンサーが独自の言葉や方法で伝えるため、上手く伝わらないケースがあります。また発信後のフォロワーの反応までは予測不能であるため、ある程度柔軟に対応できる体制が必要です。
ステマと誤解される可能性がある
インフルエンサーマーケティングでは、広告であることを隠すと「ステルスマーケティング(ステマ)」と疑われる危険があります。インフルエンサーが普段の投稿のように商品を紹介すると、消費者がそれを自然な口コミと誤認しやすいのです。
PRと明記せずにインフルエンサーが製品を投稿すると、企業側にステマの意図がなくてもフォロワーから批判されるケースがあります。このようなリスクを避けるには、投稿内に企業名や提供があることを必ず明示し、透明性を保つ必要があります。
インフルエンサー自身が炎上するリスクがある
インフルエンサー自身が不適切な発信をして炎上した場合、企業にも悪影響が及びます。インフルエンサーは事務所などの管理下にないため、コンプライアンス面で問題行動を起こす可能性が高い傾向があります。
過去には商品のPRを任せたインフルエンサーが問題発言で炎上し、SNS上で企業の商品まで批判対象になるケースがありました。そのため選定の段階から、インフルエンサーの発言内容や倫理観について調査・把握しておくことが重要です。
フォロワー数だけで起用を決めない
インフルエンサーを選ぶ際、フォロワー数だけで判断するのは避けましょう。なぜなら、フォロワーが多くても実際の影響力がそれほど高くない場合があるからです。
例えばフォロワー数が10万人いる人物でも投稿の再生回数が少なければ、影響力や広告効果は限定的です。逆にフォロワー数は少なくても再生回数が多いインフルエンサーの方が、費用対効果は優れている可能性があります。
そのため実際のコメント数やエンゲージメント率、再生単価を確認して選定することが大切です。
インフルエンサーとの関係構築が難しい
企業とインフルエザーが良い関係性を維持するには、適切なマネジメントが必要です。インフルエンサー自身がブランディングを意識して活動しているため、企業の一方的な要求を押し付けると協力を得られない場合があります。
例えば投稿内容を企業の指示通りに細かく指定しすぎると、インフルエンサーの個性が失われ、結果としてフォロワーに違和感を与える可能性があります。良好な関係性を築くためにも、ある程度の自由度を与え、インフルエンサーが自然に発信できる環境を作りましょう。
インフルエンサーマーケティングのポイント

インフルエンサーマーケティングで成果を出すには、目的やターゲットの設定からインフルエンサー選びまで一貫した戦略が必要です。しっかりと戦略を立てて実施すれば、ブランド認知や購買につながる可能性は大きく広がります。
ここでは、マーケティング施策を成功させるためのポイントを分かりやすくお伝えします。
目的やターゲットを明確に決める
最初のポイントは、施策の目的やターゲットをはっきりさせることです。目的があいまいだと企画や成果の評価基準を設定できず、期待する成果を得られません。
商品の知名度を広げたいのか、実際の購入につなげたいのかで戦略は全く変わります。初めて施策を実施するなら目的を1つに絞って、ターゲット層を明確に定めることからスタートしましょう。
インフルエンサーに商品の魅力を深く伝える
依頼するインフルエンサーに本当に商品を好きになってもらうことが、共感を呼ぶ投稿を生み出すコツです。インフルエンサーが心から商品を推奨すれば、フォロワーにもその熱意が伝わります。
商品を渡す際には使い方や特徴を直接説明したり、資料を添えたりすると良いでしょう。インフルエンサーが心から商品に魅力を感じることで、リアルな言葉による説得力のある投稿が期待できます。
投稿後は必ず成果を分析する
インフルエンサーの投稿後は必ず成果を分析し、施策の効果を検証しましょう。結果を見ないまま放置すると次回の施策を改善できず、コストを無駄にする可能性があります。
例えば商品購入を目標にした場合、投稿からサイト訪問者数や購入数を確認し、インフルエンサー起用の効果を測定します。その結果を次の施策に活かすことで、マーケティングの精度はさらに高まるでしょう。
インフルエンサーマーケティングの費用相場

インフルエンサーに依頼する料金は、フォロワー数やインフルエンサーの影響力によって異なるため、予算に合わせて適切なプランを選ぶ必要があります。 相場感を掴んで安心して施策を進められるよう、ここでは費用相場を解説していきます。
フォロワー数に基づく料金相場
インフルエンサーマーケティングの料金は「フォロワー数×単価」で計算されることが多いです。その理由は、フォロワー数がインフルエンサーの影響力を表す指標として広く用いられているからです。
例えば単価を3円に設定した場合、フォロワーが10万人いるインフルエンサーへ依頼すると費用は30万円です。大まかな相場としては、フォロワー単価が2~4円程度と考えておきましょう。
インフルエンサーの知名度が料金に影響する
インフルエンサーの料金はフォロワー数以外にも「知名度」や「所属の有無」などによって変動します。知名度が高いほど、同じフォロワー数でも料金が高く設定されがちです。
例えばテレビ出演などで知名度の高いインフルエンサーは、相場の2倍以上の単価設定となるケースもあります。依頼する前にインフルエンサーの背景を確認し、適正価格かどうかをチェックしましょう。
代理店利用やプラットフォーム利用料も考慮する
代理店やインフルエンサー紹介プラットフォームを利用する場合、その手数料も費用に含まれます。代理店の相場は報酬の10~30%程度で、施策全体の進行管理なども任せられます。
またプラットフォーム型の場合、インフルエンサーの選定やコミュニケーションを効率的に行えますが、利用料が発生する場合が多いです。そのため事前に手数料や利用料をしっかりと確認して、予算計画を立てましょう。
商品提供費や配送料、交通費も考える
インフルエンサーマーケティングでは、商品提供費や配送料などの諸経費も必要です。実際に商品を試してもらう場合、商品は企業側が無償提供するのが一般的です。
さらにイベント参加や店舗訪問を依頼する場合は、交通費や宿泊費などの追加費用が発生します。これらを含めたトータルの費用感を把握して、無理のない予算設定を行いましょう。
インフルエンサーマーケティングの成功事例

ここではYouTubeやInstagramなどを活用した実際の事例から、成功につながるポイントをご紹介します。ぜひ自社のマーケティング活動のヒントにしてみてください。
Instagramを活用した成功事例:東京都による海外向けPR
Instagramは視覚的な情報発信に強く、旅行業界・観光業界でも効果的です。多彩なインフルエンサーを起用すれば、地域の新たな魅力を世界に向けて発信できます。
例えば東京都は2021年のオリンピックに合わせ、写真家をはじめ複数のインスタグラマーを起用し、東京の隠れたスポットを発信するプロジェクトを実施しました。その結果フォロワーが約54万人いるインフルエンサーを通じて、従来とは異なる視点から東京を世界中に紹介できました。
多様なインフルエンサーの感性を活かすことで、今まで知られていなかった魅力を効果的に届けられるでしょう。
期待感を意識した成功事例:若年女性層に向けた美容商品のPR
若い女性をターゲットにした新商品のマーケティングには、インフルエンサーを活用した事前の口コミづくりが効果的です。実際にある美容ブランドは、発売前からSNSや動画広告を使って話題づくりを行いました。
人気のある動画クリエイターを起用して縦型動画広告を展開した結果、商品発売直後に口コミが急速に広まりました。発売前に期待感を醸成したことで、ターゲット層に大きくアピールできたのです。
このように事前の期待感を高める施策は、インフルエンサーマーケティングの成功につながります。
執筆者名Ruben
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム