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個人事業主も配偶者の扶養に入れる!所得・収入要件やメリット・注意点を解説

個人事業主 扶養

家族の扶養に入ると、配偶者控除や社会保険料免除などの恩恵を受けられるため、世帯全体の家計に対して大きなメリットがあります。扶養に入るのに「会社員であること」といった要件は設けられておらず、要件さえ満たせれば個人事業主でも扶養に入れます。

本記事では、個人事業主と扶養の関係、所得税法上と社会保険上の扶養の所得・収入要件などについて解説します。

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個人事業主でも配偶者の扶養に入れる!基本知識をおさらい

個人事業主 扶養

個人事業主として事業を営んでいても、専業主婦(主夫)や子どもと同じく、要件を満たせば扶養に入ることが可能です。扶養には所得税法上のものと社会保険上(健康保険や厚生年金保険)のものの2つがありますが、どちらの扶養にも入れます。始めに、扶養についての基礎知識を軽くおさらいしておきましょう。

扶養とは1人で生計を立てるのが難しい人が親族などから援助を受けること

扶養とは、自分1人の収入だけでは生計を立てるのが難しい人が、親族などから経済的に援助を受けることです。たとえば、「会社員の夫の扶養に、妻や子どもが入る」という形がよくあるケースです。援助している側を「扶養者」、援助されている側を所得税上は「被扶養親族(配偶者は除く)」、健康保険法上は「被扶養者」と呼びます。

扶養に入ると扶養控除や配偶者控除を適用できるので、扶養者の支払う税金が安くなるメリットがあります。また、扶養に入った人は社会保険料が免除となるうえに、扶養者が加入している健康保険から保険給付を受けることも可能です。

所得税法上の扶養と社会保険の扶養の違い

扶養には、「所得税法上の扶養」と「社会保険上」の2種類が存在します。扶養になる範囲や受けられる恩恵がそれぞれ異なるため、混同していると混乱するかもしれません。ここでは、それぞれの扶養の概要について解説します。

所得税法上の扶養

所得税法上の扶養とは、一定の要件を満たした親族を扶養親族とすることで、税金の負担を軽減できる制度です。配偶者は扶養親族にはなれないものの、扶養親族とは別に専用の所得控除が設けられています。

所得税法上の扶養に入ると、扶養に関するさまざまな所得控除を受けられます。所得税や住民税は、得られた収入から控除などを差し引いて算出する「課税所得」を基に計算するため、控除額が大きくなるほど納税額を抑えられます。

社会保険上の扶養

社会保険上の扶養とは、扶養者が加入する社会保険(健康保険や厚生年金保険など)の被扶養者となることで、さまざまな恩恵を受けられる制度です。社会保険上の扶養に入ると、被扶養者の年金などの社会保険料が免除となったり、扶養者の健康保険に加入できたりできるメリットがあります。

なお、自営業者・フリーランスなどが加入する「国民健康保険」や「国民年金」には扶養の概念がありません。そのため、配偶者が会社の健康保険組合・協会けんぽの保険や厚生年金保険に加入していないときは、社会保険上の扶養には入れないので注意しましょう。

要件を満たせば個人事業主でも扶養に入れる

もし自分が個人事業主の場合でも、要件を満たせば所得税および社会保険上の扶養のいずれにも入れます。また、扶養に入っている状態の人が開業して個人事業主になるのも、青色申告者・白色申告者問わず問題ありません。

ただし、扶養に入ると一定以上の収入があると扶養から外れるのも同様の扱いであるため、個人事業主としての活動も実質制限がかかります。「ガンガン営業して事業を拡大したい」と考えているときは、扶養がむしろ足かせになるリスクがあります。

扶養に入るために仕事量を制限するよりも、扶養から外れてでも稼いだほうが収支がプラスになるときは、あえて扶養の制限を超えて収入を得る選択肢も悪くないでしょう。

参照:国税庁|No.2075 青色事業専従者給与と事業専従者控除

所得税法上と社会保険上の扶養の違い!要件・控除・免除やメリット・注意点まとめ

個人事業主 扶養

所得税法上と社会保険上の扶養は、要件や適用できる控除・免除に違いがあります。たとえば、「所得税法上の扶養には入れないけど、社会保険上の扶養には入れた」というケースも存在します。

それぞれにメリットと注意点が存在するため、確認したうえでそれぞれの扶養範囲で収入を抑えるかどうかを検討しましょう。ここからは、所得税法上の扶養と社会保険上の扶養の違いの詳細について見ていきます。

なお、扶養に入る要件には収入が関係しますが個人事業主が得られるのは給与ではなく事業収入であるため、計算時に注意が必要です。また、扶養に入る要件として出てくる「生計を一にする」とは、日常の生活のなかで共通の資金で生活していることを指します。

参照:国税庁|生計を一にするかどうかの判定(養育費の負担)

所得税法上の扶養に入る要件・適用される控除

「所得税法上の扶養」とは一言に言ったものの、実際には「配偶者」と「配偶者以外」で要件や扱いが異なります。配偶者が対象となるのは「配偶者控除」と「配偶者特別控除」、配偶者以外が対象となるのは「扶養控除」です。

所得税法上の各種控除を適用できれば、その分だけ所得税・住民税の納税額を減らせます。以下では、所得税法上の扶養における、「配偶者控除」「配偶者特別控除」「扶養控除」について解説します。

配偶者控除

配偶者控除とは、納税者本人に控除対象配偶者がいるときに適用できる所得控除です。配偶者控除の控除額は次の通りです。

納税者本人の合計所得控除額
一般の控除対象配偶者老人控除対象配偶者※
900万円以下38万円48万円
900万円超~950万円以下26万円32万円
950万円超~1,000万円以下13万円16万円

※控除対象者のうち、その年の12月31日現在の年齢が70歳以上の人

次に、配偶者控除を受けられる控除対象配偶者の要件や、納税者本人の要件を見ていきます。

控除対象配偶者納税者
・民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
・納税者と生計を一にしていること
・年間の合計所得額が48万円以下であること
・青色申告者の専業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと
・白色申告者の専業専従者でないこと
合計所得額が1,000万円以下であること(得ている収入が給与のみなら年収1,195万円以下)

たとえば扶養されている人で個人事業主の事業収入しか得ていないときは、その事業所得(事業収入-必要経費)が48万円以下なら、配偶者控除を適用できます。

一方で、所得税法上の扶養には、要件が「年収103万円以下であること」が有名な「103万円の壁」があります。こちらは個人事業主が控除対象配偶者の場合は、反映されないのでしょうか?

結論から言えば、103万円の壁が関係するのは主にアルバイト・パートの配偶者で、個人事業主としてのみ活動しているケースだと壁は無関係です。

給与所得者であるアルバイト・パートの所得には、基礎控除48万円に加えて給与所得控除55万円が反映されます。基礎控除48万円と給与所得控除55万円を合計した数値が103万円であり、103万円の壁の根拠です。つまり「アルバイト・パートで年間103万円を超える給与所得を得ると控除しきれなくなり、所得税が発生して扶養から外れる」というロジックが成り立ちます。

しかし、個人事業主の収入は給与所得ではなく事業所得や雑所得です。給与所得控除は適用されません。そのため、個人事業主が扶養に入るときは103万円の壁が関係なくなり、基礎控除の48万円を超えるか否かが、配偶者控除を適用できる境界となります。

個人事業主が扶養から外れないための対策としては、給与所得控除の代わりとなる必要経費を適切に計上し、事業所得の金額を抑えることが挙げられるでしょう。

なお103万円の壁は、基礎控除と給与所得控除の最低保証額がそれぞれ10万円引き上げられることで、123万円の壁になる見込みです。個人事業主の場合でも、基礎控除が58万円に引き上げられるので所得要件が少し軽くなります。

参照:国税庁|No.1191 配偶者控除

参照:財務省|令和7年度税制改正の大綱(1/9)

配偶者特別控除

「もし個人事業主として基礎控除48万円(58万円)を超える所得になったら、扶養から一気に外れてしまうのか」と言われるとそうではありません。仮に所得が48万円を超えたときは、代わりに配偶者特別控除が適用できる可能性があります。

配偶者特別控除とは、配偶者の所得が多くて配偶者控除が受けられないときでも、要件を満たせば金額に応じた控除が適用される制度です。配偶者特別控除の対応表は次の通りです。

配偶者の合計所得金額納税者本人の合計所得金額900万円以下納税者本人の合計所得金額900万円超950万円以下納税者本人の合計所得金額950万円超1,000万円以下
48万円超95万円以下38万円26万円13万円
95万円超100万円以下36万円24万円12万円
100万円超105万円以下31万円21万円11万円
105万円超110万円以下26万円18万円9万円
110万円超115万円以下21万円14万円7万円
115万円超120万円以下16万円11万円6万円
120万円超125万円以下11万円8万円4万円
125万円超130万円以下6万円4万円2万円
130万円超133万円以下3万円2万円1万円

配偶者や納税者本人の所得金額が増えるほど、控除できる金額は減少します。個人事業主の場合は、所得が133万円を超えると配偶者控除は完全にゼロとなります。

ちなみに、アルバイトやパートで働いている場合は「合計所得額95万円+給与所得控除55万円」の150万円までなら、配偶者特別控除における満額の38万円控除が受けられます。これがいわゆる「150万円の壁」です。

また、配偶者特別控除がギリギリ反映される「合計所得額133万円+給与収入201万円時点の給与所得控除68万3,000円」の基準を、「201万円の壁」と呼ぶことがあります。

しかし個人事業主として扶養に入るときは給与所得控除がないため、配偶者控除のときと同じく150万・201万円の壁は関係がありません。

次に、配偶者特別控除の配偶者・納税者の要件は次の通りです。

控除対象配偶者納税者
・民法の規定による配偶者であること(内縁関係の人は該当しない)
・納税者と生計を一にしていること
・青色申告者の専業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと
・白色申告者の専業専従者でないこと
・年間の合計所得金額が48万円超~133万円以下であること
・配偶者が配偶者特別控除を適用していないこと
・配偶者が、公的年金等の受給者の扶養親族等申告書に記載された源泉控除対象配偶者がある居住者として、源泉徴収されていないこと(配偶者が年末調整や確定申告で配偶者特別控除の適用を受けなかった場合等を除く)
合計所得額が1,000万円以下であること(得ている収入が給与のみなら年収1,195万円以下)

参照:国税庁|No.1195 配偶者特別控除

扶養控除

扶養控除とは、納税者に所得税法上の扶養親族がいる場合に、一定の金額の所得金額を受けられる制度です。扶養控除によって控除できる金額は次の通りです。

扶養親族の区分控除額(1人あたり)
一般の扶養親族(16歳以上)38万円
特定扶養親族(19歳以上23歳未満)63万円
老人扶養親族(70歳以上・同居でない)48万円
老人扶養親族(70歳以上・同居)58万円

控除対象扶養親族となるための要件は次の通りです。

  • 配偶者以外の親族(6親等内の血族および3親等内の姻族)、または都道府県知事から養育を委託された児童(里子)・市町村長から養護を委託された老人であること
  • 納税者と生計を一にしていること
  • 年間の合計所得金額が48万円以下であること
  • 青色申告者の専業専従者としてその年を通じて一度も給与の支払いを受けていないこと
  • 白色申告者の専業専従者でないこと
  • 扶養親族のうち「その年12月31日現在の年齢が16歳以上」であること
  • 非居住者※の場合は、「その年12月31日現在の年齢が16歳以上30歳未満」「その年12月31日現在の年齢が70歳以上」「その年12月31日現在の年齢が30歳以上70歳未満かつ留学で住所・居所を有しなくなった人、障害者である人、仕送りなどで納税者からその年において生活費・養育費に充てるための支払いを38万円受けている人のいずれか」に該当する人

※国内に住所を有し現在まで引き続き1年以上居所を有する個人ではない人

社会保険上の扶養に入る要件・適用される免除

社会保険上の扶養のうち健康保険の扶養に入る要件は、扶養者が「会社の健康保険組合」か「協会けんぽの健康保険」のどちらに加入しているかによって変化する場合があります。とはいえ、ほとんどの会社の健康保険組合は、協会けんぽの要件を踏襲しています。

本記事では、協会けんぽを基準に社会保険上の扶養の要件・免除についてまとめました。健康保険組合の要件などについては、各会社の健康保険組合にお問い合わせください。なお厚生年金保険の扶養については、会社ごとに違いはありません。

まず協会けんぽの健康保険における、被扶養者の範囲と要件は次の通りです。

<被扶養者の範囲>

  1. 健康保険の被保険者との関係性が、事実婚を含む配偶者・子ども・孫・直系尊属・兄弟姉妹で、主に被保険者に生計を維持されている(同居か否かは問わない)
  2. 被保険者と同一の世帯で主に被保険者の収入によって生計を維持されている「上記1に該当しない被保険者の三親等以内の親族」「事実上の婚姻関係と同様の人の父母および子ども」「事実上の婚姻関係にある配偶者が亡くなった後の父母および子ども」
  3. 後期高齢者医療制度の被保険者等ではないこと

<被扶養者の収入要件(認定対象者が被保険者と同一世帯に属している)>

  1. 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者の年間収入の2分の1未満である場合
  2. 上記に該当しない場合でも、認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上または障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者の年間収入を上回らないときには、その世帯の生計の状況を果たしていると認められる場合

<被扶養者の収入要件(認定対象者が被保険者と同一世帯に属していない)>

  • 認定対象者の年間収入が130万円未満(認定対象者が60歳以上またはおおむね障害厚生年金を受けられる程度の障害者の場合は180万円未満)で、かつ被保険者からの援助による収入額より少ない場合

収入要件の解説は少しややこしいですが、要するに「被扶養者の収入が年間130万円未満」なら健康保険の扶養の対象となります。これがいわゆる「130万円の壁」です。103万円の壁や150万円の壁を気にする必要がなかった個人事業主でも、130万円の壁については意識が必要です。

60歳以上の人や障害厚生年金を受け取れる程度の障害を持つ人なら、基準が180万円未満まで引き上げられます。

次に、厚生年金保険の被扶養者についてです。厚生年金保険の被扶養者とはいわゆる「第3号被保険者」に該当する人です。

<第3号被保険者の要件>

  • 厚生年金加入者(第2号被保険者)の配偶者であること
  • 20歳以上~60歳未満であること
  • 年収が130万円未満かつ配偶者の年収の1/2未満であること
  • 厚生年金保険の加入要件に該当しないこと

社会保険上の収入要件で注意したいのは、所得税法上とは異なり、収入要件の基準が税法上の「所得」ではない点です。

たとえば協会けんぽにおける個人事業主の年間収入は、「年間総収入-直接的経費(原材料費、仕入れ費などのその経費がなければ事業が成り立たない費用)」で確認します。必要経費だと算入できた、広告宣伝費や公租公課などが計算の対象外となります。

以下では、社会保険上の扶養に入ることで受けられる免除と給付について見ていきましょう。

参照:全国健康保険協会|被扶養者とは?

参照:全国健康保険協会|事業主・加入者の皆さまへ 被扶養者資格の再確認と提出のお願い

参照:日本年金機構|国民年金の「第1号被保険者」、「第3号被保険者」とは何ですか。

社会保険の社会保険料の実質免除

個人事業主が社会保険の扶養に入ると、個人事業主自身の社会保険料が実質免除となるメリットがあります。

たとえば健康保険の扶養に入れれば、国民健康保険からは脱退となり、扶養者の健康保険の被扶養者として加入します。被扶養者として加入しても扶養者の保険料は変わらず1人分であるため、被扶養者は実質免除状態で健康保険の給付を受けることが可能です。

また、厚生年金保険の扶養に入って第3号被保険者となれば、保険料の支払いをせずとも国民年金に加入している状態となり、配偶者が第2号被保険者となっている期間は国民年金を満額納付している扱いになります。

扶養に入っていない個人事業主は、自分の分の国民健康保険・国民年金の保険料が発生することを考えると、世帯全体として非常にありがたいと言えるでしょう。

参照:国民年金機構|国民年金第3号被保険者の保険料について

扶養手当などの健康保険独自の付加給付

配偶者の健康保険の被扶養者となれば、自分が保険者でなくても、自分が病気、けが、死亡、出産したときに保険給付が支払われるメリットがあります。公的な支援が乏しい個人事業主にとって、有効なセーフティーネットとして機能するでしょう。

参照:全国健康保険協会|被扶養者に関する給付

まとめ:個人事業主でも扶養に入って控除などを受けられる!

個人事業主でも、所得税法上および社会保険上の扶養に入ることが可能です。適用される控除制度や受けられる免除・給付も、通常の扶養状態と同じ扱いとなります。

「個人事業主でもまだ収入がそこまで多くない」「扶養の範囲で働いてスキルアップを重視したい」といった場合は、扶養に入ったまま事業を展開するのもおすすめです。

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執筆者名Webライターあひる

FP2級(ファイナンシャルプランナー2級)、証券外務員1種、日商簿記2級

編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム

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