美容師を目指している、または現在サロン勤務で美容師をしている人の中で、「フリーランスの美容師」という選択を考えたことがある人もいるのではないでしょうか。
しかし、店舗を持たずにどうやってフリーランスの美容師になるのか疑問に思うことも多いでしょう。
そこで本記事では、フリーランスの美容師の働き方やメリット、集客方法などについて紹介します。
フリーランスの美容師に興味がある、または検討しているという方は、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスの美容師とは?

フリーランスの美容師とは、特定の美容院に属さずに個人事業主として働いている美容師を指します。
今までの美容師の働き方は、サロンに就職して勤務をしたり、自分でサロンを開業したりするのが主流でした。
ただ、開業をしてお店を持つには、美容室に必須な利便性の良い立地条件や開業資金など、
ハードルの高さが課題となります。
そこで、第3の選択肢として、スペースを借りたり業務委託契約で働いたりするフリーランスの美容師が注目されはじめました。
店舗を持つことなく独立ができ、時間や場所の融通が利く新しい形の開業がフリーランスの美容師なのです。
フリーランスの美容師の働き方

フリーランスの美容師には、主に以下の3つの働き方があります。
- 業務委託
- 面貸し
- シェアサロン
どの働き方が適しているかは、家庭環境・ライフスタイルなど、その人の状況によって変わってくるといえます。
また、働き方によっては薬剤や道具の準備、お客さんの管理など、自身で行う作業が増えるケースもあるため、注意が必要です。
ここでは、3つの働き方についてそれぞれ解説します。どの働き方が自分に合っているかの参考にしてみてください。
業務委託型
業務委託型のフリーランスの美容師とは、美容室と直接契約を結び、お客さんに対して技術を提供するスタイルの働き方になります。
出勤するのは予約が入った時だけであり、必要な薬剤や備品なども店舗のものを使用するため、初期費用が少なく済むのが魅力といえます。
また、給与は売上から歩合制で支払われるのが一般的であり、歩合率の平均は売り上げに対して40~60%ほどです(※条件によってそれぞれ異なります)。
多くのお客さんに来てもらえるほど給与に還元されるため、やりがいを感じながら働くことができるでしょう。
出勤する曜日や時間も自由に決められるサロンがほとんどであり、家庭との両立や副業として始める人も多く、無理なく働ける点がメリットです。
面貸し型
面貸しとは、他の人が経営しているサロンの席を借りて営業する働き方を指します。
美容師とサロンのオーナーは雇用関係ではなく、「店舗オーナーと利用者」であるため、仕事をした際の売上はそのまま収入となります。
業務委託と違う点は、お客さんの集客や管理、道具や薬剤などの用意なども全て自分で行わなければならないところです。
そして、時間分の利用料または売上に対する歩合といった形で、サロン側へ支払いをします。
面貸し型で売上を伸ばすためには、とくに売上が上がるかは集客が大切になります。ある程度お客さんがついている状態、もしくは集客ができないと継続して働くのは厳しいといえるでしょう。
シェアサロン型
シェアサロンとは、複数のフリーランスの美容師が共同して利用できる美容室のことです。
面貸しと似ている部分がありますがレンタルを前提にしているため、広めにスペースが取られている、自由な使い方ができる等のメリットがあります。
利用料金は、以下のいずれかを採用しているサロンがほとんどです。
- 月額固定利用料
- 固定+歩合料
- 時間量
また、レンタルできるのは1席だけではなく、個室も用意しているシェアサロンもあるため、より自由な環境でお客さんを迎えられます。
道具や薬剤の準備については、シェアサロンによって用意されている場合もあるため、コストを抑えた独立が可能です。
フリーランスの美容師として働くメリット

次に、フリーランスの美容師として働くメリットを5つについて解説します。
時間や場所の拘束がない点はもちろん、一人ひとりのお客さんにじっくりと向き合える時間が取れるのも魅力といえるでしょう。
また、店舗を構えない分初期費用が抑えられるため、リスクの軽減が可能です。
流れ作業ではなく、プライベートサロンのような雰囲気の中でお客さんにリラックスして過ごしてもらえるのも、フリーランスの美容師の売りといえます。
初期費用やリスクの軽減ができる
フリーランスの美容師は、どのような働き方をしても初期費用が抑えられるのがメリットです。
店舗を構えて開業をする際のような多額のローンを背負う必要もなく、売上を伸ばすことですぐに初期費用分を回収できる見込みがあります。
集客に関しては、昨今ではSNSを活用するフリーランスの美容師が増えており、そうした面でも費用を抑えられます。
ただし、面貸しやシェアサロンを利用するのであれば、薬剤や道具を自分で用意するぶん、費用がかかることを加味しておきましょう。
自分のやりたいスタイルや準備できる初期費用を考慮して、働き方について検討するのがおすすめです。
働くほど収入が増える
サロンでの正社員勤務であれば固定給がほとんどですが、フリーランスの美容師には基本給のようなシステムがなく、働いた分だけ報酬が増えます。
歩合のパーセンテージが高いところで働くことができれば、少ない時間でも十分に稼げる可能性がある点も魅力です。
そして、担当した人数に比例して報酬や収入が増えていくため、結果が目に見えてわかりやすく、やりがいを感じられる働き方といえます。
フリーランスの美容師は、効果的な集客や固定客の獲得ができれば、安定的な収入を得ることも期待できるでしょう。
場所や時間を決められる
美容師に限らず、フリーランスの働き方で一番の魅力は時間や場所を自由に決められる点といえるでしょう。
業務委託の場合はある程度サロンの営業時間に従う必要がありますが、面貸しやシェアサロンでは自由に営業時間を決められます。
そのため、忙しい時期には仕事量を減らしたり、余裕がある時期は積極的に集客をしたりする、といった働き方も可能です。
家事や育児、介護との両立といった、ライフスタイルの変化にも柔軟に対応できるのがフリーランスの美容師の魅力といえるでしょう。
丁寧にお客さんに向き合える
フリーランスの美容師は、予約枠の調整や施術時間もゆとりを持って決められるため、流れ作業にならずにお客さんとしっかり向き合えます。
自分もお客さんも納得できる、丁寧な施術を可能とするのがフリーランスの美容師の魅力です。
シェアサロンなどで個室での施術ができれば、プライベートサロン風の空間でリラックスしてお客さんに過ごしていただけます。
また、サロンの名前や自宅近くの場所という理由ではなく、美容師が目当てで来店するというお客さんも多くなるでしょう。
そのため、固定のお客さんと長い付き合いになり、信頼関係も構築できるため、仕事に対するモチベーションの向上につながるメリットもあります。
好きな商材を使用できる
サロン勤務では決められた薬剤を使用しますが、フリーランスの美容師なら自分が好きなメーカーの薬剤を仕入れて使用できます。
そのため、こだわりがあったり、理想の仕上がりを追及したりしたいタイプの人には、フリーランスの美容師が向いているといえるでしょう。
また、「髪質改善」など特定のメニューを看板メニューとして集客ができるので、自分のやりたいスタイルにこだわることができる点も魅力です。
こだわっている部分がお客さんに刺されば、リピーターとして利用していただける可能性も高くなるでしょう。
フリーランスの美容師に向いている人は?

フリーランスの美容師に興味があっても、果たして自分が向いている働き方なのか、疑問や不安に思う人もいるのではないでしょうか。
そこでここからは、フリーランスの美容師に向いている人について解説します。
具体的にどういった人が向いているかを解説しているため、自分に当てはまるか確認してみてください。
自己管理能力がある人
美容師に限らず、フリーランスで活動をするには自己管理能力が必須です。
フリーランスは自分のペースで働けるのがメリットですが、その半面で接客以外の業務もすべて自身で行う必要があります。
集客やスケジュール管理、お金の管理ができなければ、フリーランスの美容師になるのは難しいと考えて良いでしょう。
まずは小さく始めてみて、自分に合っているかどうかを実際に体験してみるのも良いかもしれません。
一定数のお客さんを持っている人
自分を指名で来てくれるお客さんが多い美容師であれば、フリーランスに転向しても働いていける可能性が高いです。
固定客が多ければ、サロン勤務をしていた時よりも収入が上がるケースもあり、より充実感を得ながら美容師として活躍できるでしょう。
指名をいただくということは、独立してからもリピーターとして集客が見込める可能性が高いといえます。
お客さんと一対一で関わりたい人
サロンに勤務している場合、アシスタントと分担して施術をしたり、複数のお客さんを掛け持ちしたりすることがあります。
同時に色々な作業をすることになり、お客さんもリラックスできない場面もあるでしょう。
フリーランスの美容師であれば、カウンセリングからスタイリングまで一貫して施術できるため、お客さんからの信頼も得ることができます。
自分の裁量で納得の行く施術ができるのもフリーランスの美容師のメリットです。
向上心がある人
美容業界では、日々新しい技術やトレンドを追い続け取り入れる必要がありますが、フリーランスの美容師も例外ではありません。
なぜなら、昨今では価格帯が安いサロンが多数あるため、お客さんが他のサロンへ流れてしまう可能性があるからです。
そのため、トレンドのチェックやシェアサロンでの情報交換などを積極的に行い、知識・技術を更新するようにしましょう。
また、上手くいかなくても試行錯誤ができる人や、その過程を楽しめる人はフリーランスの美容師に向いているといえます。
自分で集客や営業ができる人
フリーランスの美容師は店舗を持たない働き方であるため、新規の顧客を獲得したければ自分から発信しなければなりません。
そのため、SNSやブログ、ホームページでの情報発信は、現代におけるフリーランスの美容師の集客の肝といえる部分です。
とくにSNSは影響力が強いため、こまめに情報発信をするのが苦にならない人は、フリーランスの美容師に向いているといえるでしょう。
実際の施術の様子やお客さんのカット写真、口コミなどをSNSで発信することで、自分の持つスキルをわかりやすく伝えることができます。
フリーランスの美容師の集客方法

フリーランスの美容師は店舗を持たないため、お客さんに知ってもらうためには自身で集客を行わなければなりません。
また、新規開拓とリピーター獲得では、違うアプローチの仕方をしなければならないでしょう。
そこでここからは、具体的な集客方法を3パターン解説します。
経費を抑えながら集客できる方法も多く用意されているため、賢く活用していきましょう。
顧客や知人の紹介
フリーランスの美容師の集客方法として、既に固定客となっているお客さんや、知人・友人から紹介してもらう方法があります。
コストがかからず、信用している人からの紹介のため技術も信用されやすいのが紹介のメリットです。
紹介特典として、施術料金の割引やトリートメントのサービスをつけても良いでしょう。
最初から最後まで寄り添った施術ができるフリーランスの美容師の強みを活かして、リピーターを増やしていきたいところです。
SNSやホームページで発信
最近ではSNSでの集客が主流となっているため、InstagramやXでの発信も有効です。
スタイリングや自分の写真をアップすると、具体的な想像がしやすくなり、親近感や信頼感も得られます。
加えて、コメント欄やダイレクトメールで直接コミュニケーションが取れるため、そのまま指名予約をもらえるチャンスも多くなるでしょう。
また、スタイリングの方向性をしっかり決めることで、ターゲットに刺さる情報を発信できると、興味を持ってもらえる確率が上がります。
クーポンサイトに登録
「ホットペッパービューティー」「楽天ビューティー」といったクーポンサイトに登録するのも、有効な集客の手段です。
予約システムや顧客管理がまとめて行えるため、多くのフリーランスの美容師が取り入れています。
SNSのメッセージでやり取りをする方法もありますが、予約サイトであれば時間を気にせず予約が可能です。
また、いつ空いているのかが一目でわかるのも、クーポンサイトのメリットといえるでしょう。
フリーランスの美容師を始める際の注意点

時間や場所にとらわれないのがフリーランスの美容師のメリットですが、働かないと収入が増えず、不安定になりがちです。
また、予約や道具の管理に加え、確定申告や税金の支払いまでを全て自分で行わなければなりません。
フリーランスには、美容師としてお客さんに施術を行う以外の雑多な業務が多いことを覚えておきましょう。
収入が安定しない
サロン勤務のように固定給ではないフリーランスの美容師は、お客さんに来ていただかなければ収入が発生しません。
そのため、一定数のお客さんがいなければ、安定した収入を得るのは難しいといえるでしょう。
さらに、ケガや病気になってしまった場合、働けない期間があると途端に収入が途切れてしまいます。
そういった事態に備えて、保険に加入するなどの対策を考えておくのが良いでしょう。
全て自分で行わなければならない
サロン勤務の場合は、他のスタッフやアシスタントと作業の分担が可能ですが、フリーランスの美容師は全て自分で行う必要があります。
施術だけではなく顧客情報や道具の管理、スケジューリングなど、サロン勤務と比べて格段に自分でやることが増えるでしょう。
また、確定申告をするには普段から帳簿付けを行い、経費や報酬の計算をしておく必要があります。
そのため、収入が増えてきた場合は、税理士に依頼をするという選択肢も考慮しておきましょう。
他人から技術を学ぶ機会が少ない
サロン勤務と違い、フリーランスの美容師は基本的に一人で働く形態のため、人に教わったり教えたりといった環境がありません。
そのため、技術を磨くためには自発的に勉強や情報収集の機会を作る必要があります。
シェアサロンではフリーランスの美容師同士で勉強会や最新情報の共有を行うところもあるため、足を運ぶようにしましょう。
【まとめ】フリーランスの美容師は時間や場所にとらわれず活躍できる職業

フリーランスの美容師は、時間や場所にとらわれず、ライフスタイルに合わせて働けるのが魅力の職業です。
また、丁寧にお客さんと接したい、好みの薬剤を使いたいといったこだわりを取り入れられるのもメリットといえます。
集客からお客さんの管理といった自身でやらなければならない業務は増えますが、同時にやりがいを感じられる働き方なのではないでしょうか。
向上心があり、集客のための試行錯誤を楽しめるタイプの方が、フリーランスの美容師フリーランス美容師に向いているといえるでしょう。
本記事が、フリーランスの美容師を目指す方のヒントになれば幸いです。
執筆者名佐藤 玲子
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム