現在ネイリストとしてサロンに勤めている方や、趣味でネイルを楽しんでいる方の中には、自分の店舗を持ちたいと考えたことがある方もいらっしゃるのではないでしょうか。
どうやってネイルサロンを開業するのか、資金はどの程度かかるのかなど、疑問に思うことも多くあるでしょう。
そこで本記事では、ネイルサロンの開業の流れやかかる資金、オープンまでの流れなどについて解説します。
ネイルサロンの開業を検討している方は、ぜひ参考にしてみてください。
ネイルサロンで開業する方法とメリット

ネイルサロンの開業はテナントだけではなく自宅でも可能であり、やり方によっては少ない資金で始められます。
はじめは必要最低限の準備で始め、売上が上がってきてから内装や家具を増やしていっても構いません。
ここでは、3種類のネイルサロンの開業方法について紹介します。
自宅で開業
ネイルサロンは、施術できる場所の確保ができれば自宅での開業も可能です。
小規模から開業したい場合や、自宅の一角を利用してサロン経営がしたい場合に向いているといえるでしょう。
自宅開業のメリットは、少ない資金で開業できることと、家事や育児との両立がしやすい点です。
また、予約の時間をうまく調整して、家族との時間を大切にしながら仕事ができるのも魅力といえます。
店舗で開業
テナント契約をしてビルや商業施設の一角を借り、独立した店舗として開業する方法もあります。
店舗で開業するメリットは、自宅での開業と比べるとお店として認識されやすい点です。
立地などの条件の良さによっては、より多くの集客も見込めるのも魅力といえるでしょう。
しかし、ビジネス向けの物件は家賃が高い傾向にあり、初期費用として家賃半年分の保証金や敷金が発生します。
そのため、ある程度資金に余裕がある場合や、ネイルサロン経営の知識・経験が豊富で、事業拡大を目指している人に向いている方法です。
フランチャイズで開業
ネイルサロンは、フランチャイズで開業することも可能です。
本部のブランド力やノウハウ、経営サポートが受けられる点がメリットといえます。
すでに知名度があることが多く、開店とともにお客さんに認知されやすいため、最も集客に有利といえるでしょう。
フランチャイズでの開業は、ネイルサロンの経営が初めての場合や、経営に不安を抱えている人に向いている開業方法です。
ネイルサロン開業に必要な資金

ネイルサロンの開業の際には、初期費用だけではなく物件の賃料や水道光熱費、材料費や広告費といった月々のランニングコストを考慮しておく必要があります。
オープン時に、ランニングコストと生活費も含めて、半年分くらいの用意があれば安心でしょう。
ここでは、自宅・店舗・フランチャイズそれぞれの資金の目安について、解説します。
自宅で開業する場合
自宅で開業する場合は、どの程度の設備や機材を揃えるかによって必要な費用は変わってきますが、はじめは最低限の準備でも開業が可能です。
【自宅開業費用の一例】
ネイルチェア・テーブル | 10,000円~ |
ネイルチップディスプレイ | 10,000円~ |
家具・備品等 | 30,000円~ |
LEDライト等の機材 | 50,000円~ |
ジェル・パーツ等の商材 | 100,000円~ |
必要最低限の設備と壁紙を変える程度として、20~30万円程度の資金でもスタートできます。
ネイルサロンの雰囲気づくりのために家具を揃えたり、間取りを変更したりする場合はさらに資金が必要になるでしょう。
お店の雰囲気づくりやこだわりを詰め込むと、それだけ資金が必要になるため、最低限の設備から始めて、売上が上がってきたら少しずつ改善していくのがおすすめです。
店舗で開業する場合
店舗で開業する場合は、テナントの広さや内装・外装工事にどの程度かかるのかにもよりますが、自宅よりも200~300万円多くかかると考えておいた方が良いでしょう。
【店舗開業費用の一例】
敷金・礼金・前払家賃 | 1,000,000円~ |
内装・外装工事費 | 1,000,000円~ |
家具・備品・装飾品 | 500,000円~ |
ネイルチェア・テーブル | 10,000円~ |
ネイルチップディスプレイ | 10,000円~ |
LEDライト等の機材 | 50,000円~ |
ジェル・パーツ等の商材 | 100,000円~ |
広めのテナントになると、ネイルチェアやネイルテーブルだけでは殺風景になるため、家具や装飾品などでの雰囲気づくりが必要になり、費用がかかる点にも注意が必要です。
内装・外装費用に関しては、居抜き物件を見つけられればかなり抑えることが可能であり、家具等もフリマアプリやリサイクルショップの利用で費用が抑えられます。
一方で、開店前から店舗の存在を知ってもらいたい場合は、広告宣伝費にはコストをかける必要があります。
また、従業員を雇うのであれば、人件費を見積もっておくのも忘れないようにしましょう。
フランチャイズで開業する場合
フランチャイズでの開業は、本部との契約によって内容が大きく変わってきます。
【フランチャイズ開業費用の一例】
加盟金・保証金 | 約200,000~1,000,000円 |
(物件取得費) | 約1,000,000~3,000,000円 |
資材・設備費 | 約1,000,000~2,000,000円 |
フランチャイズ本部が物件を用意してくれるのか、オーナー自らで準備するかによっても準備資金は変動します。
また、フランチャイズのメリットとして、すでに同モデルでの成功例があるため、銀行からの融資を受けやすい面があります。
ネイルサロン開業までの流れ

ネイルサロンを開業するには、自宅や店舗などの選択肢があることがわかりました。
次はオープンまでの準備に入りますが、重要なポイントについて解説していますので、参考にしてみてください。
サロンのコンセプトとスケジュールを決める
はじめに、お店の具体的な方針やコンセプトを決めるのが重要です。
どういった雰囲気のネイルサロンで、他店との違いを書き出し、コンセプトをまとめてください。
そして、オープン日についてもあらかじめ決めておきましょう。
個人サロンであれば3か月程度での開業が可能ですが、従業員を雇う場合や内装・外装工事が入る場合には半年以上の期間を見ておくと安心です。
物件を決めて什器や家具を準備する
店舗を出店するエリアが決まっていても、物件が決まらなければ準備が進みません。
また、居抜き物件で開業するのに比べて、内装工事が入る場合では時間が大幅に変わってきます。
とくに、内装工事については遅延の可能性も考えられるため、余裕を持ったスケジュールを組んでおくのが重要です。
他にも、ネイルサロンのイメージに合わせて什器や家具を準備する必要があるので、気になるものは事前にリストアップしておきましょう。
求人募集をする
従業員を雇ってお店を開きたい場合は、求人募集を早めに行う必要があります。
募集をかけてもすぐには集まらない可能性もあるため、物件が決まり次第真っ先に求人募集をかけるのがおすすめです。
また、オープニングスタッフが決定次第、開業に向けて研修を行いましょう。
ホームページやSNSを開設する
ホームページやSNSはネイルサロンの宣伝を行う上で重要であり、特にInstagramの開設はほぼ必須といえます。
店舗のアカウントを作成しキャンペーン情報や得意な施術例を載せることで、お店のコンセプトに合った客層の支持を得られる可能性もあるでしょう。
ホームページ・SNSともに無料で開設できるところが多いため、ぜひ活用したいところです。
また、開店前に美容系・ネイルサロンのネット予約サイト導入と準備を済ませておくと、オープン後の集客に期待が持てます。
オープン準備をする
オープンに向けてメニューの決定やカラー見本・デザインサンプルなどの準備も必要です。
どういったデザインで料金はいくらなのかを、わかりやすく提示できるようにしておきます。
また、道具の仕入れや会計時に必要なおつり・レシート、電子決済の準備などもこの時期に進めましょう。
ネイルサロン開業に必要な資格や届け出

ネイルサロンを開業するにあたって、必要な資格や届け出はあるのでしょうか。
まず、個人で開業するには税務署へ「開業届」を提出する必要があります。
資格については必須ではありませんが、取得しておくとお客さんからの信頼や自分のスキルアップにもつながるためおすすめです。
開業届の提出
個人で事業を行う場合は、出店方法を決めて必要な機材を準備できればすぐに開業が可能です。
開業届は、事業開始から1か月以内に提出すれば良いため、開業後に手続きを行っても遅くありません。
青色申告をしたい場合には、所得税の青色申告承認申請書もあわせて税務署へ提出しましょう。
取得しておきたい資格
ネイリストになる上で資格は必須ではありませんが、取得しておくとネイルに関する知識や技術を備えていることの証明となるでしょう。
ここでは、ネイルサロンを開業するにあたって、取得するのがおすすめの資格3つについて解説します。
JNECネイリスト技能検定試験
JNECネイリスト技能検定試験は、受験数が最も多い歴史のある検定試験で、ネイリストに必要な知識や技能が問われます。
段階は1~3級まであり、正しい技術と知識の向上を目的とした実践に役立つ検定試験として、多くの受験者実績がある試験です。
【ネイリスト技能検定試験の段階】
1級 | トップレベルのネイリストとして、必要とされる総合的な技術および知識 |
2級 | サロンワークで通用するネイルケア、リペア、チップ&ラップ、アートに関する技術および知識 |
3級 | ネイリストベーシックのマスター。ネイルケア、ネイルアートに関する基本的な技術および知識 |
引用:公益財団法人 日本ネイリスト検定試験センター ネイリスト技能検定試験とは
JNAジェルネイル技能検定試験
JNAジェルネイル技能検定試験は、人気の高いジェルネイルに関しての、知識や技術を証明する検定です。
初級・中級・上級があり、筆記試験だけではなく実技試験も行われます。
【JNAジェルネイル技能検定試験 各級の基準】
上級 | ジェルネイルのスペシャリストとして必要とされる総合的知識と技術の修得 |
中級 | ネイルケアとジェルネイルを施術するためにプロとしてサロンワークに必要な専門知識と技術の修得 |
初級 | ネイルケアのベーシックマスターとジェルネイルを施術するために必要な基礎的知識と技術の修得 |
JNA認定ネイルサロン衛生管理士
JNA認定ネイルサロン衛生管理士は、JNAのネイルサロンにおける衛生管理自主基準の理解度を証明する資格です。
JNA認定校で講習を受講したのち、筆記試験に合格することで取得可能となります。
ネイルサロンでの実務経験は問われず、18歳未満であっても理美容専門学校やネイルスクール等でネイルを学んでいれば受験できます。
ネイルサロン開業に利用できる助成金

資金の調達といえば、金融機関からの融資を思い浮かべる人もいるのではないでしょうか。
しかし、個人事業主による新規開業に対して、助成金や補助金を活用できるケースがあります。
助成金は国や県による制度で一定の条件を満たすことで支給されますが、給付される人数の制限がないため受給できる可能性が高い傾向です。
補助金は、助成金同様国や地方自治体などによる、若手や女性のリーダー育成プログラムや、地方創生の一環を目的としており、申請をして審査を通過する必要がある点が特徴といえます。
キャリアアップ助成金
キャリアアップ助成金とは、有期雇用労働者・短時間労働者・派遣労働者などの非正規雇用労働者における企業内でのキャリアアップを促進するために設けられた制度です。
正社員化や処遇改善の取り組みを実施した事業主に対して、助成金が支給されます。
【キャリアアップ助成金】
有期雇用から無期の正規雇用 | 80万円(40万円×2) |
無期雇用から無期の正規雇用 | 40万円 |
6つのコースが展開されていますが、ネイルサロン経営におすすめなのは「正社員化コース」です。
「正社員化コース」は非正規雇用労働者のキャリアアップを目的に作られており、申請時にはキャリアアップ計画の提出が必要です。
また、従業員を正社員に転換させたあとは、6か月分の賃金を支払う必要があり、その賃金は転換前よりも3%の増額が必要なため注意しましょう。
人材開発支援助成金
人材開発支援助成金は、事業主の人材育成による生産性向上のサポートを目的とした助成金です。
職務に関する訓練等を計画に沿って実施した場合に、訓練経費や訓練期間中の資金の一部等を助成する制度となります。
【人材開発支援助成金の例】
特定訓練コース | 雇用する正社員に対して、OJT訓練や労働生産向上に資する訓練などを10時間以上実施する |
一般訓練コース | 雇用する正社員に対して、特定訓練コースに該当しない訓練を20時間以上実施する |
教育訓練休暇等付与コース | 有給教育訓練休暇等制度を導入し、労働者が当該休暇を取得し訓練を受ける |
なお、従業員だけではなく、自身がネイルの知識や技術力の向上を目的として訓練を行った場合も、条件を満たせば受給することが可能です。
地域雇用開発助成金
地域雇用開発助成金は、雇用機会が少ない地域で開業する事業主が対象で、条件を満たすと1年毎に最大3回の受給ができます。
該当地域は地方だけではなく、主要都市や首都圏が含まれるケースもあるため、対象地域にあたるかを確認しておきましょう。
助成金の受給額は、必要とした設備・整備費用に伴って、期間中にどれだけ労働者数を増加できたかにより助成の割合が変動します。
ネイルサロンを開業する際の注意点

ネイルサロンを開業するとき、そしてオープン後も注意しなければならないことがいくつかあります。
新規のお客さんに来てもらうだけではなく、リピーターとして利用してもらうには、経営や集客についても学ばなければなりません。
また、流行に合わせたデザインなどを研究するのも良いことですが、コンセプトがしっかりしていないとお客さんが離れてしまうので注意が必要です。
コンセプトを大切にする
ネイルサロンを開業するにあたって、まず対象とするお客様のペルソナを考えた上で、しっかりとしたコンセプトを決めるのが重要です。
たとえば、20代であれば流行のデザインを充実させる、30代以降であれば大人らしいシンプルなデザインにするといった違いがあります。
トレンドを意識するのは必要ですが、お店のコンセプトから外れてしまうような変化をしてしまうのはおすすめできません。
もちろん、日々の清掃をきちんとする、清潔感のある空間づくりを心掛けるといった基本的なことも欠かさないようにしましょう。
自分に合った方法で開業する
ネイルサロンの開業にはいくつかの方法があるため、長く続けたいのであれば、自分に合った方法で開業するのがおすすめです。
資金面や自身のライフスタイルに合った方法で開業し、必要最低限のサービスから始めて、売上が出てから少しずつサービスの幅を広げましょう。
スキルや知識を学び続ける
ネイルサロン開業においては、ネイルの技術はもちろんですが、経営や集客の方法を間違ってしまうと失敗に終わる可能性も考えられます。
施術のスキル以外に、経営や集客などの知識についても積極的に学び、運営へ活かし続けることが大切です。
ネイルサロンの開業は自分に合った方法で計画的に進めよう

ネイルサロンは自宅や店舗、フランチャイズでの開業が可能なため、ライフスタイルや資金面を考慮して自分に合った開業方法を選択できます。
また、スモールスタートからはじめ、売上が上がってきたら少しずつ事業を拡げていくのがおすすめです。
しっかりとしたコンセプトと計画を立て、他店と違う魅力があるあなただけのネイルサロンを開業しましょう。
執筆者名佐藤 玲子
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム