副業の法人化はいくらから?法人化の節税メリットと判断基準を徹底解説

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副業の収益が安定し、将来的な拡大を視野に入れているなら、法人化を検討すると良いでしょう。

しかし、実際に法人化すべきタイミングや、どの程度の収益から検討するべきか迷う方も多いのが現実です。

本記事では、副業法人化の判断基準や設立手順などを体系的に解説しています。この記事を読むことで、法人化すべきタイミングと準備方法が明確になります。

▼この記事でわかること
・副業でも法人化は可能|会社員でも会社設立できる
・副業を法人化すべき収入はいくらから?判断の目安を紹介
・副業を法人化するメリット
・副業を法人化するデメリット
・副業を法人化する手順
・副業の法人化を成功させるコツ

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・専任コンシェルジュサービスや手厚い保険・サービスなどを活用したい方

目次

副業でも法人化は可能|会社員でも会社設立できる

副業とはいえ法人化は十分可能です。日本では会社員が副業を法人として設立することに法的な制約はありません。

法人化には、節税や信用力向上など多くのメリットがあります。たとえば、法人税率の方が所得税率よりも低く、役員報酬を活用すれば所得を分散でき、税負担を抑えやすくなります。

ただし、就業規則によっては副業を禁止している企業もあるため注意が必要です。社会保険の加入や住民税の通知から勤務先に知られるケースもあるため、事前に確認しておきましょう。

副業を法人化すべき収入はいくらから?判断の目安を紹介

副業を法人化するかどうかの判断基準として重要なのは「年間利益の額」です。

法人化には節税や信用力向上などのメリットがある一方で、社会保険料や法人住民税といった固定コストも発生します。維持費に見合う節税効果や資金管理上の利点が得られるかどうかを見極めなければなりません。

ここでは、副業を法人化すべき収入の目安を年間利益ごとに解説していきます。

▼副業を法人化すべき収入の目安
年間利益100万円|法人化はまだ早い可能性が高い
年間利益300万円|節税効果を意識し始めるライン
年間利益500万円|法人化を本格的に検討すべきライン
年間利益800万円〜|法人化でないと税負担が重い

年間利益100万円|法人化はまだ早い可能性が高い

副業の年間利益が100万円程度であれば、法人化は時期尚早といえます。

法人を設立すると、たとえ赤字でも法人住民税の支払いが毎年発生します。

個人事業主であれば、青色申告による65万円控除や、必要経費の活用によって課税所得を減らすことが可能です。そのため、副業の収益が小さいうちは個人課税の柔軟さを活かすほうが合理的です。

法人設立には法定費用も発生し、設立時点で20万円前後のコストがかかります。そのため、利益が100万円前後の段階では、節税額よりも負担のほうが大きくなる傾向があります。

年間利益300万円|節税効果を意識し始めるライン

副業の年間利益が300万円を超えると、法人化による節税効果を意識し始める段階になります。

個人事業主として課税される場合、所得税や住民税の累進課税によって税率が20%前後まで上昇することもあります。一方、法人税率は中小法人で約15〜23%に収まり、役員報酬などを調整することで税率を抑えることが可能です。

法人設立にかかる初期費用や会計管理の外注費も、節税効果によってある程度相殺できるケースが増えてきます。将来的に副業収入を伸ばす意欲がある場合は、早めに法人化を視野に入れ、シミュレーションを進めておくとよいでしょう。

年間利益500万円|法人化を本格的に検討すべきライン

副業で年間500万円の利益が出ている場合、法人化を本格的に検討すべきです。個人のままでは所得税率が一気に上がり、住民税と合わせて30%前後の税率が適用される可能性があります。

法人化すれば、役員報酬や退職金制度を活用して所得分散や将来的な資金繰りの調整も可能です。

加えて、取引先や金融機関に対する信用力が高まり、資金調達の選択肢が増える点も見逃せません。実際、融資の審査では法人格があるほうが有利になる傾向があります。

年間利益800万円〜|法人化でないと税負担が重い

年間利益が800万円を超える場合、法人化せずに個人事業主として継続することは、税務上の大きな不利につながります。

所得税は累進課税のため、課税所得が900万円を超えると33%、1,800万円を超えると40%以上の高い税率が適用されます。法人化することで税率を大幅に抑えることが可能です。

法人設立にかかる初期費用や管理コストを考慮しても、節税による差額で十分に回収可能です。資金繰りや税負担の軽減を図るには、早期に法人化を実施し、財務基盤を整えると良いでしょう。

副業を法人化するメリット

副業の収益が一定水準に達した場合、法人化には多くのメリットがあります。中でも注目すべきは「節税」と「信用力の向上」です。

ここからは、法人化によって得られる具体的なメリットを順に解説します。

▼副業を法人化するメリット
・節税メリットを最大限に得られる
・ビジネスカード・法人口座で資金管理が明確になる
・決算期を自由に設定できる
・雇用により人材活用の選択肢が広がる
・消費税の免税期間が適用される
・有限責任で個人リスクを抑えられる

節税メリットを最大限に得られる

法人化の最大のメリットは、節税の選択肢が広がることです。

個人事業主として所得が増えると、所得税と住民税の累進課税により、税負担が大きくなります。一方、法人は一定の税率で課税されるため、所得が増えるほど節税になるのです。

また、法人では役員報酬を経費として処理できます。たとえば、事業主自身や配偶者を役員にして報酬を分散することで、所得税の負担を抑えることが可能です。また、法人が積み立てる退職金も損金算入でき、将来の資金準備と節税を両立できます。

ビジネスカード・法人口座で資金管理が明確になる

法人化すると、事業用とプライベートの支出を分離でき、経理処理の正確性が高まります。

法人口座を使えば、生活費と混在しないため、帳簿の整合性が保たれます。

また、ビジネスカードを導入すると経費の使用履歴が明細として自動記録されるため、仕訳や帳簿作成を効率化することが可能です。会計ソフトとの連携も簡単になり、業務の効率化につながります。

さらに、法人名義での資金運用は、金融機関や取引先からの信用力を高める効果もあります。

決算期を自由に設定できる

決算期を自由に決められる点は、法人化の大きな利点です。

個人事業主では、原則として12月末が決算期に固定されます。法人であれば事業の状況に合わせて決算月を選べるため、資金繰りや納税の計画を立てやすくなります。

たとえば、売上が集中する時期を避けて決算期を設定すれば、納税資金に余裕を持たせることが可能です。繁忙期の後に決算を迎えることで、会計処理や書類提出の準備にもゆとりが生まれます。

また、利益の出方に応じて、役員報酬や設備投資のタイミングを調整できる点も魅力です。

年度ごとの利益と納税時期をコントロールできれば、キャッシュフローの安定にもつながります。決算月は設立時に自由に選べるため、収益の波や事業計画に合った月を選定することが重要です。

雇用により人材活用の選択肢が広がる

法人化すると、従業員を雇用できるようになります。個人事業では業務委託やアルバイトに限られることが多いですが、法人では正社員やパートなど多様な形での採用が可能です。

たとえば、経理やカスタマーサポート、商品発送などの業務を内製化することで、外注コストを削減しつつ品質管理もしやすくなります。信頼できるスタッフを確保すれば、対応力や生産性が向上し、顧客満足度やリピート率の向上にもつながります。

人材を活かせる環境を整えることで、業務負荷を軽減しながら継続的に事業を成長させることが可能です。

消費税の免税期間が適用される

新たに法人を設立すると、一定の条件を満たすことで最長2年間は消費税の納税義務が免除されます。

設立初年度と翌年度に課税売上高が1,000万円以下であれば、消費税を納める必要がありません。

ただし、資本金が1,000万円以上ある法人や、特定期間の人件費が一定額を超える場合は免税対象外になるため注意が必要です。

有限責任で個人リスクを抑えられる

法人化により、事業上の損失や債務に対して個人が無限に責任を負う必要がなくなります。株式会社や合同会社など法人格を持つ形態では、代表者は出資額の範囲でのみ責任を負う「有限責任」となります。

たとえば、取引先とのトラブルで損害賠償を請求された場合、法人が契約主体であれば個人の財産に直接影響することはありません。事業活動中に借入金の返済が滞った場合でも、法人名義で契約していれば、原則として経営者の個人財産は差し押さえの対象外です。

万が一の状況でも生活基盤を守りながら、再挑戦しやすい環境を築けます。

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副業を法人化するデメリット

法人化には多くの利点がありますが、さまざまなデメリットも存在します。

たとえば、副業として小規模に事業を運営している場合、法人化によってコストや手間が増え、収益を圧迫する可能性があるため注意が必要です。

ここでは、副業の法人化における主なデメリットを解説します。

▼副業を法人化するデメリット
・設立や維持に費用がかかる
・会計・税務の処理が複雑になる
・赤字でも法人住民税などの納税義務がある
・社会保険への強制加入により手取りが減ることがある
・解散・清算に手間と費用がかかる

設立や維持に費用がかかる

法人化すると、個人事業と比べて初期費用や管理コストがかかります。たとえば、株式会社を設立する場合、登録免許税や定款認証などに20万円前後の費用がかかるのです。

設立後も、法人住民税(最低でも年間7万円)や税理士報酬、会計ソフトの利用料など、継続的な支出が発生します。

十分な収益がない状態で法人化を急ぐと、キャッシュフローに余裕がなくなり、事業継続が難しくなることもあるため注意が必要です。

会計・税務の処理が複雑になる

法人化すると、会計や税務に関する処理が個人事業よりも複雑になります。法人は法定帳簿の作成が義務づけられ、会計基準に沿った処理を行わなければなりません。

法人税申告は煩雑で、法人税・住民税・事業税・消費税など複数の税目への対応が求められます。税務署や自治体への各種届出も多く、書類の記載ミスや提出漏れがあると、罰則や追徴課税のリスクが高まるため注意が必要です。

会計・税務処理は自力で対応するには限界があるため、税理士に依頼するケースがほとんどです。専門家の力を借りずに処理を続けると、税務対応の誤りや損失が生じる可能性もあります。

赤字でも法人住民税などの納税義務がある

法人は利益が出ていない場合でも、一定の納税義務が発生します。代表的なものが法人住民税の均等割です。赤字でも毎年7万円前後の支払いが必要であり、地方自治体によっては追加で事業所課税が課されることもあります。

個人事業主であれば、所得がゼロの場合は原則として所得税や住民税の負担がありません。しかし、法人はたとえ事業活動が停止していても、登記が残っている限り納税義務が続きます。事業が赤字で資金に余裕がないときでも、一定額の納税が必要になる点は注意が必要です。

社会保険への強制加入により手取りが減ることがある

法人化により代表者が報酬を受け取る場合、原則として社会保険への加入が義務づけられます。

健康保険と厚生年金の保険料を毎月支払う必要があり、個人事業主の国民健康保険や国民年金と比べて負担額が増えることがあります。

報酬額を高く設定すると、社会保険料も比例して上がるため注意が必要です。結果として、実際に手元に残る金額が想定より少なくなるケースがあります。

解散・清算に手間と費用がかかる

法人を設立した後に事業を終了する場合、解散と清算の手続きが必要になります。

法人は登記を行って存在する法的な組織であるため、事業をやめただけでは法人の消滅とはなりません。正式な手続きが完了しなければ、税務申告や納税義務が継続します。

法人を解散するには、株主総会での解散決議、解散登記の申請、清算人の選任が必要です。その後、債権回収や未払い費用の精算を行い、清算結了登記によって法人が正式に消滅します。すべての手続きが終わるまでには、数ヶ月以上かかるのが一般的です。

また、法人を閉じる過程では、登録免許税、官報公告の掲載費用、専門家への依頼料などの支出も発生します。従業員や取引先がいる場合には、契約解除や労務対応にも手間がかかるため注意が必要です。

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副業を法人化する手順

法人を設立する際の作業には専門用語や法的な書類が多く、初めての方にとっては戸惑う場面も少なくありません。設立までの流れを事前に把握しておくことで、スムーズに法人化することが可能です。

ここでは、副業を法人化する手順を6つのステップに分けて解説します。

▼副業を法人化する手順
STEP1|会社の基本事項を決める
STEP2|定款を作成する
STEP3|資本金を払い込む
STEP4|登記書類を作成して法務局へ申請する
STEP5|税務署や自治体に各種届出を行う
STEP6|ビジネスカードや法人口座を開設する

STEP1|会社の基本事項を決める

法人化を進めるにあたり、最初に取り組むべき作業が会社の基本事項の決定です。定款の作成や登記手続きに必要となるため、事前の整理が欠かせません。

本店所在地は事業に支障のない住所で、将来的に郵送や銀行取引にも使用されるため慎重に選びましょう。

家族を役員に含める場合は、税務や社会保険への影響も確認しておくと安心です。基本事項が定まれば、次の定款作成へとスムーズに移行できます。

STEP2|定款を作成する

会社設立に必要な次の手順は、定款の作成です。

定款とは、法人の組織や運営ルールを定めた基本的な契約書です。会社の憲法とも呼ばれ、設立時には必ず作成し、公証人役場で認証を受ける必要があります。

作成する内容には、事業目的、商号、本店所在地、設立に関する手続き、出資者の出資額、役員の任期などが含まれます。

記載内容には厳密なルールがあり、不備があると登記申請が認められません。特に事業目的や発起人情報、出資内容などは慎重に作成しましょう。

STEP3|資本金を払い込む

定款の認証が完了したら、次は資本金の払込を行います。資本金の金額は1円以上であれば設立可能ですが、信用力や金融機関との取引を意識するなら10万円〜100万円程度が現実的な水準です。

資本金として入金された金額は、そのまま法人の運転資金として使用できますが、法人登記前に使用すると出資として認められない可能性があるため注意が必要です。

STEP4|登記書類を作成して法務局へ申請する

資本金の払込が完了したら登記申請を行います。

提出先は、本店所在地を管轄する法務局です。申請日が法人の設立日として登記簿に記載されるため、事業開始時期を調整したい場合は提出日を慎重に選ぶ必要があります。

登記申請時には、登録免許税の納付も必要です。株式会社の場合、最低でも15万円が必要で、収入印紙での納付となります。

書類を整えたうえで法務局に提出すれば、1〜2週間ほどで登記が完了します。

STEP5|税務署や自治体に各種届出を行う

法人の登記が完了したら、次に必要となるのが税務署や自治体への届出です。

登記を終えただけでは、税務上の義務を果たしたことにはなりません。法人の設立後、原則として2か月以内に各種書類を提出する必要があります。

必要な書類や提出先は地域によって異なる場合もあるため、事前に各窓口で確認しておくことが大切です。届出を怠ると罰則やペナルティが課されることもあるため、設立後すみやかに手続きを済ませるようにしましょう。

STEP6|ビジネスカードや法人口座を開設する

法人の設立が完了したら、速やかにビジネスカードと法人口座の開設を進めましょう。事業に関する資金を個人と明確に分離することが、経理の透明性を確保するうえで重要です。

法人口座の開設には、登記簿謄本、法人の印鑑証明書、代表者の本人確認書類、定款の写しなどが必要です。事業実態を証明するため、ホームページや請求書、契約書の提示を求められることもあります。

取引先や金融機関からの信用力にも直結するため、設立直後のタイミングで手続きを行うと良いでしょう。

副業の法人化を成功させるコツ

法人化する際は、帳簿管理や報酬設計を適切に行うことで、税務上のリスクを回避しながら、効率よく資金を運用することが可能です。

ここからは、副業の法人化を成功させるコツを3つ紹介します。

▼副業の法人化を成功させるコツ
・ビジネスカードや法人口座を活用し、資金管理を明確化する
・利益水準と節税効果をシミュレーションしておく
・税理士や専門家に早めに相談する

ビジネスカードや法人口座を活用し、資金管理を明確化する

法人化を軌道に乗せるには、まず資金管理の仕組みを整えることが重要です。

個人と法人の支出を分けることで、経理ミスや税務トラブルのリスクを減らせます。帳簿管理の正確性が高まり、税務調査への対応力や信頼性も向上します。

ビジネスカードを利用すれば、経費の支払履歴が自動で記録され、帳簿作成や仕訳作業を効率化することが可能です。会計ソフトと連携できるカードを選ぶことで、経理処理の精度も向上します。

利益水準と節税効果をシミュレーションしておく

法人化によって節税効果を得るには、利益水準に応じた税負担の変化を事前に把握しておく必要があります。

利益が一定の額に達していなければ、法人化によってかえって負担が増える可能性もあるため、収支の予測と税額の比較が不可欠です。

法人化後のキャッシュフローを安定させるには、単年度だけでなく複数年の収支見通しを立てることが効果的です。税制や制度改正の影響も踏まえたシミュレーションを行いましょう。

税理士や専門家に早めに相談する

法人化を成功させるためには、早めの段階から税理士や専門家へ相談することが重要です。

制度や税務に関する誤解や認識不足があるまま手続きを進めると、申告ミスや不利益な処理が発生する可能性があります。制度や会計に精通した専門家に確認を取ることで、リスクを抑えた法人化が実現できます。

税務署や法務局への提出書類には高度な専門性が求められ、形式や内容に不備があると登記が完了しません。法人化を正確に進めるためには、設立前から専門家と連携する体制を整えておくことが有効です。

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まとめ:副業の法人化は節税と拡大の可能性を見て判断しよう

本記事では、副業を法人化する際の判断基準や具体的なメリット・デメリット、手続きの流れについて詳しく解説しました。

年間利益が100万円程度では法人化の費用負担が上回る可能性があり、300万円を超えるあたりから節税効果を意識し始める段階に入ります。

法人化には、税率の優遇や資金管理の明確化、信用力の向上といった多くの利点があります。しかし、設立費用や維持コスト、社会保険の負担、複雑な会計処理といった負担も生じます。制度の仕組みを正しく理解し、利益水準や将来の事業拡大を見据えて判断することが大切です。

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執筆者名まき

クレジットカード・金融ライター歴1年

編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム

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