「セキュリティエンジニアでフリーランスになるには?」
「セキュリティエンジニアに将来性はあるの?」
このような疑問をお持ちの方は多いようです。
近年、サイバー攻撃の増加とともにセキュリティエンジニアの需要は増してきています。特にフリーランスなら、高収入を目指しながら自分のペースで働けるでしょう。
ただし必要なスキルや案件の獲得方法を知らなければ、理想のキャリアを築くのは難しいです。そこでこの記事では、フリーランスのセキュリティエンジニアとして成功するために必要な知識を徹底解説します。
未来のキャリアを切り開くために、第一歩を踏み出してみましょう!
フリーランスのセキュリティエンジニアの仕事内容は?

フリーランスのセキュリティエンジニアは、特に多様なプロジェクトに携われて、その専門性を十分に発揮できる機会があります。ここではフリーランスのセキュリティエンジニアの具体的な仕事内容について、詳しくご紹介していきます。
①企画・提案
フリーランスのセキュリティエンジニアは、クライアントのセキュリティニーズを分析し、最適な対策を企画・提案する役割を担います。具体的には現行システムで危険性のある箇所を特定し、そのリスクを減らす対策を検討・提案します。
この段階ではクライアントとの綿密なコミュニケーションが不可欠なため、技術的な知識だけでなくビジネス理解や提案力も求められるでしょう。
②設計・実装
企画・提案フェーズで策定したセキュリティ戦略に基づき、具体的なシステム設計と実装を行います。この段階には、ネットワーク構成やセキュリティ機器の選定、アクセス制御の設計など、多岐にわたる業務が含まれます。
フリーランスとして多様なプロジェクトに対応するために、最新の技術動向や製品知識を常にアップデートすることが重要です。
③テスト
実装後のシステムが適切に機能するか、セキュリティ要件を満たしているかを検証するために、各種テストを実施します。具体的には、脆弱性スキャンやペネトレーションテスト(侵入テスト)を行い、潜在的な脆弱性を特定して必要な対策を講じます。
セキュリティエンジニアには、多様な環境やシステムに対応する柔軟性と問題解決能力が求められます。
④運用・保守
システム導入後も、継続的な運用・保守が必要です。セキュリティエンジニアは最新の脅威情報を収集し、システムのアップデートやパッチ適用、セキュリティ上の脅威の監視と対応を行います。
例えば、新たなマルウェアの出現に対応するためにセキュリティソフトウェアの更新やシステム設定の見直しを行い、クライアントのシステムを最新の脅威から守ります。
フリーランスのセキュリティエンジニアの将来性

セキュリティエンジニアの需要は高まっており、将来性があると言えます。
5GやIoT、クラウド導入の加速、テレワークの普及により、サイバー攻撃のリスクが増しているためです。大企業や公共機関では国内外からの攻撃が頻発し、情報セキュリティの強化が急務となっています。
IT人材の不足により、企業が優秀なセキュリティエンジニアを確保するのが難しくなっている点も、セキュリティエンジニアの需要が高まっている要因の1つです。
セキュリティエンジニアの需要と市場動向
ITおよび通信分野の調査・分析を行う「IDC Japan」の報告によると、2022年から2027年にかけて国内を含むセキュリティ市場が拡大することが予測されています。これはクラウドサービスの普及やリモートワークの定着により、企業がサイバーセキュリティの強化を求めているためです。
また新型コロナウイルスの影響でオンライン環境が一般化し、セキュリティの重要性は一層高まりました。これにより、フリーランスのセキュリティエンジニアに対する企業の需要も増えています。

引用元:2024年の世界セキュリティ市場は2,385億米ドル、国内市場は初の1兆円超えの支出額を予測 ~IDC Worldwide Security Spending Guide を発行~|IDC Japan
企業のセキュリティ投資と需要の拡大
企業は情報セキュリティの強化に多くの予算を投じるようになっています。デジタルトランスフォーメーション(DX)の推進やクラウド導入により、新たなセキュリティリスクが発生しているためです。
ネットワークの内部・外部を区別せずに、信用せずに検証する「ゼロトラストモデル」を採用する企業が特に増えており、セキュリティエンジニアの役割が拡大しています。さらにサイバーセキュリティの法規制の強化により、企業がコンプライアンス対応のためにセキュリティ投資を拡大しているのも大きな要因です。
この流れを受け、フリーランスとしてセキュリティコンサルティングやリスクアセスメント(リスク低減のための一連の手法)を提供する機会も増えています。企業のニーズに応じたセキュリティ対策を提案できるエンジニアは、活躍の場が多いでしょう。
国内外の需要の違いとキャリア戦略
日本ではIT人材不足が続いており、セキュリティエンジニアの需要は非常に高い状況です。
一方で海外では、特に高度なセキュリティ知識やリモートワーク対応能力を持つ人材が求められています。
英語力や国際資格(CISSPなど)を持つと、グローバル市場でも活躍の場が広がります。
国内外の案件に対応できるスキルを身につけることで、より高い収入を得るチャンスが生まれるでしょう。
特に海外のリモート案件を受注することで、日本国内の平均より高い報酬を得ることも可能です。フリーランスのセキュリティエンジニアとしては、グローバル市場も視野に入れてみても良いかもしれません。
フリーランスのセキュリティエンジニアが案件を獲得する方法

フリーランスとしてセキュリティエンジニアの案件を獲得するには、複数の手段を組み合わせるのがおすすめです。また営業活動に時間を割けない場合や、安定した収入を求める場合は、効果的な手法を活用することも大切です。
以下では、フリーランスのセキュリティエンジニアが案件を獲得できる具体的な方法をご紹介していきます。
フリーランスエージェントを活用する
近年、フリーランスエージェントを利用するエンジニアは増加傾向にあり、収入を確保しやすいルートとして注目されています。フリーランスエージェントを活用すると、エージェントを通じて企業とマッチングできるため、営業活動の負担が軽減されて安定した案件を獲得しやすくなります。
特にセキュリティ分野はエージェント経由の案件が豊富にあるため、積極的に活用すると良いでしょう。
クラウドソーシングを活用する
クラウドソーシングを利用すると、インターネット上で契約~報酬の受け取りまでを完結できます。特に副業として、セキュリティに関する周辺業務を探したい場合に向いているでしょう。
クラウドソーシングには「総合型」と「特化型」の2種類があります。総合型は幅広い案件が登録されており、特化型はエンジニア向けに特化した案件を取り扱っています。セキュリティエンジニアの場合は特化型のサービスを活用すると、案件を探しやすくなるでしょう。
人脈やSNSを活用する
これまでの職場や取引先のつながりを活用して案件を獲得する方法もあります。知り合いのネットワークを活用すれば、すでに信頼関係が構築されているため、スムーズに仕事を進められるでしょう。
またSNSを利用して自身のスキルや実績を発信すると企業・個人から直接、案件の依頼が来ることもあります。フリーランスのセキュリティエンジニアとして収入を安定させるには、幅広く情報発信を行うのが効果的です。
企業へ直接営業する
エージェントを介さず、自力で案件を開拓する方法もあります。企業と直接つながることで高単価の案件を獲得しやすくなり、フリーランスエージェントやクラウドソーシングのように手数料もかかりません。
例えばビジネスマッチングツールを活用すると、企業の担当者と効率的にコンタクトを取れます。ただし営業活動にはそれなりの時間と労力が必要なため、本業とのバランスを考えながら進めることが大切です。
フリーランスのセキュリティエンジニアのメリット

フリーランスのセキュリティエンジニアは働き方の自由度が高く、自身に合ったキャリアを築ける点が魅力です。またスキル次第で高収入を得られる可能性があり、企業に依存しない働き方を実現できます。
ここでは、フリーランスのセキュリティエンジニアとして働くメリットを解説していきます。
自由に案件を選べる
フリーランスのセキュリティエンジニアは、参画するプロジェクトを自分で選択できます。自身の強みを活かせる案件を選ぶことで、スキルを伸ばしながら専門性を高められるでしょう。
特定の技術分野を極めたい場合は、それに関連する案件に集中すると良いでしょう。また、負担の少ない案件を選んでプライベートを重視するなど、理想のキャリアを自分でコントロールできるのも良い点です。
高収入を目指せる
フリーランスは会社員と比べて収入の上限がないため、高単価案件を獲得できれば同世代の平均年収以上の金額を稼ぐことも十分可能です。特にセキュリティ分野は需要が高いため、スキルがあるエンジニアは案件単価を上げやすいでしょう。
また複数の案件を同時に進めることで、さらに収入を増やすこともできます。実力次第で報酬が決まるため、スキルアップに励むほど高収入が狙える点が大きなメリットです。
クライアントとの関係を構築できる
フリーランスは企業と直接契約する機会が多いため、クライアントとの関係を深めやすいです。クライアントと良好な関係を築けると、継続的な案件の依頼を受けられる可能性が高まります。
また長期的な信頼関係を構築すれば、新しい案件を紹介してもらえるケースもあります。このようにクライアントとのコミュニケーションにも気を配ると、安定した収入源を確保しやすくなるでしょう。
ワークライフバランスを保てる
フリーランスのセキュリティエンジニアは働く場所・時間を自由に選べるため、ライフスタイルに合わせた働き方が可能です。フルリモート案件を選べば、地方に住んでいても都市部と同じ条件の仕事ができます。
家族との時間を大切にしたり、他の副業に取り組んだりするのも可能です。自分のペースで働けるため、仕事とプライベートのバランスを保ちやすくなるでしょう。
人間関係のストレスが少ない
フリーランスは会社員と異なり、上司や同僚との煩わしい人間関係に悩まされることが少ないでしょう。関わるクライアントや案件を選べるため、合わない環境を避けられるためです。
またオンラインでの関わりが多いと必要以上の人間関係を持たずに済むため、ストレスの少ない働き方を実現できるでしょう。
フリーランスのセキュリティエンジニアの注意点

フリーランスとして働くセキュリティエンジニアには多くのメリットがありますが、一方で注意すべき点もあります。以下で注意点を解説していますので、ぜひチェックしてみてください。
継続的な案件獲得が必要
フリーランスとして働くには、安定して案件を獲得するための営業活動が欠かせません。特に高単価の案件は競争率が高く、実績やスキルがなければ獲得が難しいです。
また契約交渉や管理も自分で行う必要があり、報酬交渉や契約トラブルへの対処など、精神的な負担が伴う場面もあります。そのため、クライアントの契約違反への対処法を身に付けて、相談できる専門家を見つけておくことが大切です。
収入の変動リスクがある
フリーランスはプロジェクトの有無によって収入が大きく変動します。プロジェクトが早期終了した場合や、クライアントからの支払い遅延が発生した場合は、経済的な不安に直面することがあるかもしれません。
安定した収入を得るには定期的な営業活動を行い、複数の案件を並行して受けることが大切です。また万が一の事態に備え、計画的に資産管理することも必要になるでしょう。
責任が大きい
フリーランスはプロジェクトの進行管理やクライアントとの調整、スケジュール管理など、すべての責任を自分で負う必要があります。トラブルが発生しても会社のサポートを受けられないため、自ら対応策を考えて実行しなければなりません。
またプロジェクトの品質を維持するために、周囲の協力を得ることも重要です。自由度が高い分だけ自己責任が伴うことを理解し、慎重に業務を進めましょう。
確定申告が必要
年間の所得が20万円を超える場合、確定申告が必要です。確定申告では、収入から経費や控除を差し引いたうえで所得税を算出し、納税手続きを行います。
フリーランスとして長く働くには、税務知識を身に付けることが大切です。確定申告の時期に慌てないよう、日頃から帳簿管理を徹底して早めに準備を進めましょう。
社会的な信用が低くなる
フリーランスは会社員と比べ、社会的信用が低くなる傾向にあります。そのため住宅ローンや自動車ローンの審査に通りにくくなることがあります。
ローンを検討している場合は、独立前に審査を受けておくとスムーズです。なお、法人化することで信用度を高める方法もあります。
常に最新技術を学ぶ必要がある
セキュリティ分野は日々進化しており、新たなサイバー攻撃手法や対策技術が次々と登場します。そのため、フリーランスとして活躍し続けるには継続的な学習が不可欠です。
知識が古いままだと競争力が低下し、案件を獲得するのが難しくなる恐れがあります。
フリーランスのセキュリティエンジニアに必要なスキル・知識は?

フリーランスのセキュリティエンジニアとして成功するには、専門的なスキル・知識が不可欠です。ここでは、どのようなスキル・知識が必要なのかをご紹介していきます。
情報セキュリティの専門知識
セキュリティエンジニアには、情報セキュリティに関する深い知識が求められます。具体的にはネットワークセキュリティ・アプリケーションセキュリティ・クラウドセキュリティなど、多岐にわたる分野の理解が必要です。
最新のセキュリティ動向を常に把握し、最新の脅威に対応できる能力も欠かせません。
セキュアなプログラミングスキル
セキュアなプログラミングとは、システムやアプリケーションの脆弱性を未然に防ぐための設計・コーディング手法を指します。開発段階で脆弱性への対策を講じ、攻撃を想定したコーディングを行うことで、被害を未然に防げます。
セキュアなコーディングができる人材の重要性が増してきているため、このスキルがあると案件獲得につながりやすいでしょう。
セキュリティ関連の法律知識
セキュリティエンジニアには、関連する法律の知識も必要です。例えば「個人情報保護法」「不正アクセス禁止法」「サイバーセキュリティ基本法」などの理解は不可欠です。
これらの法律は技術の進化に伴い改正されることが多いため、常に最新の情報を追跡し、法的リスクを適切に管理する能力が求められます。
インフラ関連のスキル
サーバーやOS、ネットワーク、クラウドなどのインフラに関する深い知識は、セキュリティエンジニアに欠かせません。これらのスキルはセキュリティ対策を講じる上で基盤となるため、非常に重要です。
問題解決能力
セキュリティエンジニアには、未知の脅威や攻撃に迅速かつ的確に対応する問題解決能力が求められます。複雑なセキュリティインシデントの原因を特定し、最適な解決策を提案・実行する能力が必要です。
コミュニケーションスキル
クライアントやチームメンバーとの円滑なコミュニケーションも、セキュリティエンジニアには欠かせません。特にセキュリティ上の問題が発生した際には、迅速かつ的確な情報共有と協力が求められます。
フリーランスのセキュリティエンジニアにおすすめの資格

フリーランスのセキュリティエンジニアが適切な資格を取得すれば、クライアントからの信頼を得やすくなり、案件獲得の可能性も広がります。ここでは、セキュリティエンジニアにおすすめの資格をご紹介します。
情報セキュリティマネジメント試験
情報セキュリティの基礎から実務的な知識まで、幅広く学べる国家資格です。試験では企業の情報保護を強化するためのリスク管理や、セキュリティポリシー策定について問われます。
この資格を取得すると、情報セキュリティマネジメントシステム(ISMS)の導入・運用能力を証明できます。セキュリティ対策の基盤となる知識を身につけるのに最適な資格です。
情報処理安全確保支援士試験(SC試験)
情報処理分野における高度なセキュリティスキルを評価する国家資格です。サイバー攻撃のリスク評価やセキュアなシステム設計に関する問題が出題されます。
合格すれば企業の情報セキュリティ対策を担う専門家として認められ、フリーランスとしての信頼性が向上します。特に高度なスキルを求める案件を受注する際に役立ちます。
シスコ技術者認定(Cisco Career Certification)
ネットワークセキュリティに関する知識を証明できるベンダー資格(IT製品を提供する企業が主催する資格)です。ネットワークの設計・管理・トラブルシューティングに関する試験が実施されます。
この資格を取得すれば、企業のネットワーク環境を安全に構築・運用する能力が証明され、ネットワーク系のセキュリティ案件に強くなります。
CEH(認定ホワイトハッカー)
ハッキング技術を理解し、脆弱性診断や攻撃手法の防御に活かすための国際資格です。悪意のある攻撃者の手口を学ぶことで、より効果的なセキュリティ対策を講じるスキルを習得できます。
CEHはペネトレーションテスト(実際に攻撃を仕掛けるテスト)や侵入テストなどの基礎知識を深めるのに有効で、実務経験と組み合わせると関連業務の受注につながりやすくなるでしょう。
CompTIA Security+
国際的に認められたセキュリティ資格で、ITシステムの管理や、情報保護の基本スキルが評価されます。ネットワークセキュリティや、リスク管理に関する知識を問われるのが特徴です。
初心者向けの資格としても人気があり、フリーランスとして活動する際の基礎的な知識を身につけるのに最適です。
CISM(Certified Information Security Manager)
情報セキュリティの管理能力を証明する国際資格です。リスク管理、インシデント対応、セキュリティガバナンスに関する専門知識を問われます。
この資格を取得するとセキュリティマネジメントの専門家として認識され、コンサルタント案件などの高単価な仕事にもつながりやすくなります。ただし取得にはセキュリティマネジメントの実務経験が5年以上必要なため、上級者のための資格と言えるでしょう。
基本情報技術者試験(FE)
IT全般の知識を問う国家資格で、ネットワーク・セキュリティ・プログラミングなど幅広い分野をカバーします。セキュリティエンジニアに限らず、すべてのITエンジニアに役立つ試験です。
初学者向けの資格ですが、ITの基礎知識を証明できるため、フリーランスとして活動する前に取得しておくと安心です。
フリーランスのセキュリティエンジニアで自由な働き方を手に入れよう

フリーランスのセキュリティエンジニアなら、専門性を活かしながら自由な働き方を実現できます。案件の企画から運用・保守まで幅広い業務に携われるでしょう。
企業のセキュリティ需要は拡大し続けており、今後も市場価値の高い職種であり続ける可能性が高いです。ただしフリーランスは収入の不安定さや継続的な学習の必要性など、注意点もあります。
安定した案件を獲得するには、クラウドソーシングの活用や人脈の構築などが欠かせません。必要なスキルと資格を身に付けて効率的に案件を獲得すれば、理想の働き方を実現できるでしょう。
この機会にフリーランスに挑戦して、あなたの未来を切り開いてみませんか?
執筆者名Ruben
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム