法人口座を開設すると、フリーランス・個人事業主はさまざまなメリットを得られます。フリーランスとして事業を拡大するなら、法人口座の開設を検討事項に入れる必要があるでしょう
個人口座を使い続けると経理が煩雑になったり、取引先の信用を得にくかったりすることがあります。しかし、法人口座を開設すると資金管理がスムーズになり、ビジネスの信頼度もアップするでしょう。
この記事では、法人口座のメリットや開設方法、金融機関の選び方まで詳しく解説しています。事業をワンランク上へと導きましょう。
フリーランスにとっての法人口座とは?

フリーランスが法人化する場合、法人口座を開設して事業資金と個人資金を明確に分けると、経理の管理がしやすくなり、クライアントからの信用力も向上します。
以下では、法人口座とは具体的にどのようなものなのか、解説していきます。
法人口座とは
法人口座は、法人名義で開設する銀行口座です。会社の正式名称と代表者名が記載され、法人としての取引や契約、請求書の発行、給与の支払い、税金の納付などに利用されます。
法人口座を持つことで取引先・顧客からの信頼度が高まり、事業資金と個人資金を分けて管理できるため、経理の管理や税務申告が容易になるのです。
ただし、法人口座を開設するには銀行の審査が必要で、事業内容や収入、資産などがチェックされると考えられます。審査には数日から数週間かかる場合があり、必ずしも審査に通るとは限りません。
また、開設後の手数料が高い場合もあるため、注意が必要です。
法人口座と屋号付き口座の違い
屋号付き口座は、フリーランス・個人事業主が自身の屋号を付けて開設する銀行口座です。
法人口座との主な違いは、法人口座は法人名義で開設され、法人登記が必要であることです。一方、屋号付き口座は個人名義に屋号を加えた形で開設され、開業届の提出は必要ですが法人登記は不要となります。
また、法人口座のほうが審査が厳しく、手数料が高い傾向があります。
法人化したフリーランスが法人口座を開設するメリット

法人化したフリーランスとして活動する際、法人口座を開設することには多くのメリットがあります。ここでは、フリーランスが法人口座を開設する主なメリットをご紹介していきます。
- 事業資金を把握できる
- 取引先から信頼される
事業資金を把握できる
法人口座を持つことで、事業収支と個人の支出を明確に分けられます。これにより、日々の会計管理が容易になり、確定申告時の書類作成もスムーズに進められるでしょう。
とくに青色申告を選択する場合は、手間のかかる複式簿記での記帳が求められるため、法人口座の利用は仕訳作業の手間を大幅に軽減します。結果として、経理業務の効率化が図れます。
また、現在の収支状況を一目で確認でき、資金繰りの管理や将来の事業計画の立案が容易になります。
一方、個人用と事業用の支出が混在していると財務状況の把握が難しくなり、計画的な事業運営の妨げとなる可能性があるでしょう。法人口座の開設は、健全な財務管理の基盤となります。
取引先から信頼される
法人口座を持つことで、取引先や顧客からの信頼度が高まります。とくに、屋号付きの口座を開設するとプロフェッショナルな印象を与え、ビジネスの信用力を向上させられます。
スムーズな取引や新たなビジネスチャンスの獲得にもつながるでしょう。信頼性の高い事業運営を目指す上で、法人口座の開設は重要です。
フリーランス法人口座を開設する際の注意点

フリーランスが法人口座を開設する際には、いくつかの注意点を押さえておくことが大切です。スムーズな口座開設のために、事前に必要な情報を確認しておきましょう。
- 口座開設に審査が必要な場合がある
- 口座開設に時間がかかる
- すべての金融機関で口座開設できるわけではない
- 口座維持費や振込手数料がかかる場合がある
口座開設に審査が必要な場合がある
法人口座を開設する際、多くの金融機関では審査を実施します。個人口座と同様に、申請者の個人情報や取引履歴が確認される可能性があります。
開設自体は比較的容易ですが、審査に通らないと口座を持てません。口座開設に必要な書類を揃え、事業の信頼性を示す準備をしておきましょう。
開業直後だったり事業実績がなかったりする場合は、審査に通りにくいので要注意です。
口座開設に時間がかかる
審査の期間は金融機関によって異なりますが、個人用口座よりも時間がかかることが考えられます。そのため、急ぎで口座を必要とする場合は、余裕を持って申し込みをすることが大切です。
とくに法人口座や屋号付き口座は審査が厳しく、時間がかかる傾向があります。
すべての金融機関で口座開設できるわけではない
法人口座を開設できるかどうかは金融機関によって異なります。一部の銀行では法人口座の取り扱いがなく、申し込み自体ができません。希望する金融機関で法人口座の開設が可能か、事前に確認することが必要です。
なお、ネット銀行は法人口座を開設できることが多いため、選択肢として検討してみましょう。ただし、ネット銀行によっても対応状況が異なるため、公式サイトや問い合わせで確認しておくことをおすすめします。
口座維持費や振込手数料がかかる場合がある
法人口座では、口座維持費や振込手数料が発生するケースがあります。ネット銀行では無料のケースもありますが、店舗型の銀行や信用金庫では、月額数千~数万円の維持費がかかる場合があります。
その他にもインターネットバンキングの利用料や外貨取引手数料、ビジネスカードの年会費など追加の費用が発生することもあるため、事前に確認しておくと安心です。
法人口座を開設できる金融機関の種類

法人口座を開設する際、選択肢となる金融機関は主に以下の5つです。それぞれの特徴や利点・欠点を理解し、事業に適した金融機関を選ぶことが大切です。
- メガバンク
- ネット銀行
- 地方銀行
- 信用金庫
- ゆうちょ銀行
メガバンク
メガバンク(都市銀行)は、全国的なネットワークと高い信用力を持つ大規模な銀行です。主な銀行として三菱UFJ銀行・みずほ銀行・三井住友銀行などがあります。
これらの銀行で法人口座を開設するメリットは、全国に広がる支店網と高い信用力です。メガバンクの法人口座があると取引先からの信頼を得やすく、とくに大規模な取引や海外展開を視野に入れる企業にとっては有利でしょう。
一方、メガバンクは審査基準が厳しく、設立間もない企業や中小企業にとっては口座開設が難しい場合があります。また、口座維持手数料が高めに設定されていることも多く、コスト面での負担も考えなくてはなりません。
ネット銀行
ネット銀行は、インターネットを主な取引手段とするのが特徴で、実店舗を持たないか、少ないのが特徴です。代表的なネット銀行には、楽天銀行・PayPay銀行・GMOあおぞらネット銀行などがあります。
ネット銀行のメリットは、24時間365日の取引が可能であることです。とくに口座維持手数料が安価で、コスト削減を図りたい企業に適しているでしょう。
ただし、実店舗がないため対面での相談が難しく、大規模な融資や専門的な金融サービスの制限がある点も考慮が必要です。
地方銀行
地方銀行は、特定の地域に根ざした銀行で、その地域の経済活動を支える役割を担っています。地域密着型のサービスを提供し、地元企業との関係性を重視するのが特徴です。
地方銀行の利点として、地域の事情に精通しており、地元企業に対して親身なサポートを提供する点が挙げられます。また、地域内での信用力が高く、地元の取引先との関係構築に役立つでしょう。
一方、全国的なネットワークが限られているため、地域外での取引や展開を考える際には制約が生じる可能性があります。また、メガバンクに比べて提供されるサービスの幅が狭い場合があります。
信用金庫
信用金庫は、地域の中小企業や住民を主な対象とした協同組織型の金融機関です。営利を目的とせず、地域社会の発展に寄与することを目的としています。
信用金庫のメリットは、地域の中小企業に対して柔軟な融資対応や親身な相談対応を行う点です。また、地域コミュニティとの結びつきが強く、地元でのビジネス展開において支援を受けやすいでしょう。
しかし、営業地域が限定されているため、事業の拡大や地域外での活動を考える際には、制約が生じることがあります。また、提供されるサービスや商品が限定的である点にも注意しましょう。
ゆうちょ銀行
ゆうちょ銀行は全国の郵便局を拠点とする金融機関で、広範なネットワークを持っています。個人向けが中心ですが、法人向けのサービスも提供しています。
全国どこでも利用できる利便性と、比較的手数料が低い点が、ゆうちょ銀行のメリットです。また、地方や離島からもアクセスしやすく、地域を問わず利用できるのが強みでしょう。
一方で、法人向けのサービスや商品が限定的なため、とくに大規模な取引や専門的な金融サービスを必要とする企業には適さない場合があります。
フリーランスが法人口座を開設する方法

フリーランスが法人口座を開設する際には、適切な銀行を選び、必要書類を準備し、審査を通過する必要があります。このような流れを事前に把握しておくことで、スムーズに手続きを進められるでしょう。
以下では、法人口座開設の手順と必要書類について詳しく解説します。
①金融機関を選ぶ
②必要書類を準備する
③申し込みを行う
④審査を受ける
⑤手続きを完了する
①金融機関を選ぶ
法人口座を開設するには、まずどの金融機関を利用するかを決めましょう。先ほどもご紹介したように、メガバンク・地方銀行・信用金庫などそれぞれに特徴があります。
②必要書類を準備する
口座開設には、金融機関が指定する書類を提出する必要があります。一般的に求められる書類は以下のとおりです。
- 代表者の本人確認書類
- 印鑑証明書
- 履歴事項全部証明書
- 事業内容を示す書類
- 法人口座開設申込書
- 開業届や確定申告書(個人事業主から法人化した場合)
書類は有効期限があるため、最新のものを準備しましょう。また、金融機関によっては追加で求められる書類があるため、事前に確認しておくことが大切です。
③申し込みを行う
必要書類を準備したら、金融機関に口座開設を申し込みます。窓口での申し込み以外にオンライン申請が可能な場合もあります。
なお、申し込み時には、会社の概要や事業内容を説明することが求められるため、準備した事業計画書を活用しましょう。事業の実態を明確に伝えることで、審査をスムーズに進められます。
④審査を受ける
申し込み後、金融機関の審査が行われます。審査基準は銀行によって異なりますが、主に以下の点がチェックされます。
- 事業内容の信頼性
- 会社の所在地や実態
- 代表者の信用情報
- 過去の取引履歴
審査には通常数週間程度かかるため、開設を急ぐ場合は、複数の金融機関に同時に申し込むのも一つの方法です。
⑤手続きを完了する
審査を通過すると、銀行から口座開設の通知が届きます。通帳やキャッシュカードを受け取り、初回入金を行えば、法人口座の利用を開始できます。
オンラインバンキングが可能である場合は、設定も忘れずに行いましょう。
フリーランスが法人口座を選ぶ際のポイント・選び方

フリーランスが法人口座を選ぶ際には、いくつかのポイントがあります。どの金融機関を選べば良いのかわかるように、ぜひ以下を参考にしてみてください。
- 社会的信用度の高い金融機関を選ぶ
- 手数料を確認する
- 融資の受けやすさで選ぶ
- 利便性で選ぶ
- 屋号付き口座の開設可否で選ぶ
社会的信用度の高い金融機関を選ぶ
取引先からの信頼を得るには、社会的信用度の高い金融機関を選ぶことが重要です。メガバンクは全国的な知名度と高い信用度を持ち、取引先から信用されやすいでしょう。
地域密着型の事業を展開する場合は、地方銀行もその地域での信用度が高く、適した選択肢となります。
手数料を確認する
法人口座の維持には、口座維持手数料や振込手数料などのコストが発生します。取引頻度が高い場合、手数料の差が年間コストに大きく影響します。
ネット銀行は、手数料が比較的低く設定されていることが多く、コストを抑えたいフリーランスにおすすめです。
融資の受けやすさで選ぶ
将来的に融資を検討している場合、金融機関の融資の受けやすさも考慮する必要があります。
都市銀行は高額融資に対応していますが、審査が厳しい傾向にあります。一方でネット銀行や信用金庫は、創業間もない事業者にも柔軟に対応し、比較的融資を受けやすいと言えるでしょう。
利便性で選ぶ
オンラインでの資金管理を効率的に行うには、インターネットバンキングの利用可否とその機能性を確認しましょう。
多くの金融機関がインターネットバンキングサービスを提供しており、24時間いつでも取引が可能なため、時間や場所に縛られない柔軟な資金管理が可能です。
法人口座の開設を断られる場合もあるので注意

個人口座は比較的簡単に開設できますが、法人口座は審査が厳しい傾向にあります。
マネーロンダリングとは、違法に得た資金の出所を隠し、正当な収益のように見せかける行為です。法人名義の口座は個人口座よりも取引額が大きい傾向にあるため、不正資金の洗浄に利用されるリスクが高いことから、審査が厳しくなっています。
参考:金融機関におけるマネロン・テロ資金供与・拡散金融対策について|金融庁
事業の実態が不透明な場合は、金融機関の信用を得られず、口座開設を断られる可能性が高くなります。口座開設を希望する際には、事業の信頼性を証明できる準備が必要です。
自分の事業に合った法人口座を選ぼう

法人化したフリーランスは、法人口座を開設することで、経理の効率化や財務状況の把握がしやすくなり、取引先からの信頼度向上や融資の可能性も広がります。一方で、開設には審査があり、必要書類の準備も欠かせません。
信用度が高いメガバンクや、手数料が低いネット銀行など、自分の事業に最適な銀行を選びましょう。法人口座を活用することで、あなたのビジネスはよりスムーズに、そして大きく成長できるでしょう。
執筆者名Ruben
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム