フリーランスは領収書の管理が重要ですが「正しい発行方法や保管方法がよく分からない」という方も多いのではないでしょうか。領収書は事業活動における支出の証明として必要不可欠であり、適切に扱うことで税務上のトラブルを防げます。
そこでこの記事では、フリーランスが知っておくべき領収書の発行方法や記載項目、さらには注意点や保管のコツについても詳しく解説します。この記事を読んで領収書に関する不安を解消し、スムーズな事業運営に役立ててみてください。
領収書はなぜ必要?

フリーランスにとって領収書は、事業運営において重要な書類です。例えば確定申告の時に、領収書が役立ちます。
事業活動に必要な支出を経費と言いますが、この経費を確定申告で計上することで、課税対象となる所得を減らして節税が可能です。例えばライターの方が確定申告をする場合、参考資料を購入した費用や打ち合わせにかかった交通費などを経費として計上します。
確定申告では収入から経費を差し引き、その結果得られた所得を基に税額を計算します。このプロセスを正確に行うためにも、領収書の保管が欠かせません。
具体的には以下の3つの理由で、領収書が必要です。
- 支出の証明になる
- 法律で保存義務がある
- 求められた場合に発行義務がある
支出の証明になる
領収書は「いつ、どこで、何のために、いくらを支払ったのか」を証明する書類です。事業にかかった経費を確実に記録するには、領収書が欠かせません。
経費として計上する際の根拠となるため、事業関連の支出については必ず領収書をもらいましょう。これはフリーランスが正しく収支を管理し、税務申告を行ううえで不可欠なプロセスです。
法律で保存義務がある
税法では、経費として計上した領収書を一定期間保存することが義務付けられています。保存期間中に税務調査が行われた場合、経費の根拠として領収書を提示する必要があるため、適切な管理が求められます。
確定申告時に領収書そのものを提出する必要はありませんが、税額を算出する際の根拠として保持しておきましょう。
求められた場合に発行義務がある
領収書を請求された場合、領収書の発行は法律で義務付けられています。民法第486条には、「お金を支払った者は受取証書の交付を請求できる」と規定されています。
これに基づき、代金を受け取った場合に相手から請求があれば、領収書を発行する必要があります。ただし事前の取り決めや双方の合意がある場合には、発行義務はありません。
例えば銀行振込では、振込明細がその代わりとなる場合もあります。
フリーランスが領収書を発行する際に必要なものは?

フリーランスとして活動していると、取引先に領収書を発行する機会が出てきます。適切に領収書を発行することで信頼を得られるだけでなく、税務面でのトラブルを防げます。
以下では、領収書を発行する際に必要なアイテムについて詳しく解説します。
- 領収書のテンプレート
- 印鑑
- 郵送用封筒
- 切手
- 収入印紙
領収書のテンプレート
領収書は、手書きでもExcelなどで作成しても構いません。インターネット上には無料でダウンロードできる領収書テンプレートが多数ありますので、それを使っても良いでしょう。
また市販の複写式領収書を利用すれば発行と同時に控えを残せるため、記録管理が簡単になります。
印鑑
税法上で、領収書に印鑑を押す義務はありません。押印がなくても、正式な領収書として認められます。
ただし取引先から押印を求められることもあるため、ビジネス用の印鑑を準備しておくと安心です。また印鑑を押すことで、偽造防止や信頼性向上につながるため、重要な取引では押印を行うのが望ましい場合があります。
郵送用封筒
領収書を郵送する場合は、適切な封筒を準備しましょう。一般的には長形3号(120mm×235mm)の封筒が使いやすく、このサイズならA4用紙を三つ折りにして収められます。
書類をきちんと収められる封筒を選ぶと、取引先への印象を良くできます。
切手
郵送には切手も必要です。長形3号の封筒にA4用紙を4枚以内で収めた場合、重量が25g以下なら110円切手で送付可能です。
郵便局やコンビニで簡単に購入できるため、事前に用意しておくと便利です。
収入印紙
領収書に記載する金額が税抜で5万円以上の場合、収入印紙の貼付が必要です。収入印紙は課税文書に課される印紙税を納めるためのもので、郵便局や一部のコンビニで購入できます。
例えば5万円以上100万円以下の領収書には200円の収入印紙が必要です。印紙代は領収書を発行する側が負担するため、適切に管理しておきましょう。
フリーランスの領収書の記載項目

取引先との信頼関係を築き、税務上のトラブルを防ぐために領収書の発行は重要です。そこで適切な内容の記載が求められます。
以下で、領収書に記載すべき基本的な項目を解説ていきします。
- 宛名
- 日付
- 領収金額
- 但し書き
- 発行者情報
- 収入印紙
宛名
宛名は領収書の左上または右上に記載し、相手方の名前や会社名を記載します。宛名の末尾には「御中」または「様」を付け加えるのが一般的です。
宛名が不明な場合には「上様」と記載しても問題ありませんが、可能な限り具体的な名称を記入することが望ましいです。取引先から「支店名を含めてほしい」といった要望があれば、それに応じて柔軟に対応しましょう。
日付
領収書の日付欄には、実際にお金を受け取った日付を記載します。西暦または和暦のどちらでも問題ありませんが、形式は統一して正確な記載が必要です。
【記載例】
2023/4/1
令和5年4月1日
特に税務調査では正確な取引日が求められるため、記載ミスには注意しましょう。
領収金額
金額は領収書の本文中央に大きく記載します。金額の先頭には「¥」や「金」を付け、末尾には「-(ハイフン)」や「也(なり)」を記入して改ざんを防ぎます。
【記載例】
¥10,000-
¥10,000也
金10,000円
金額は3桁ごとに「,(カンマ)」を入れ、前後に不要なスペースを空けないように記載しましょう。
但し書き
金額の下に取引内容を具体的に記載します。これは経費としての正当性を示すためにも重要です。「〇〇代として」「商品代として」「サービス料金として」といった具体的な記載を心がけましょう。
【記載例】
消耗品費として
広告宣伝費として
Webサイト制作費用として
記載内容を詳細にすることで、税務調査時にもスムーズに対応できます。
発行者情報
氏名または会社名、住所、電話番号といった発行者情報を記載します。必要に応じて発行者の印章(ハンコ)を押印することで、書面の信頼性を高められます。
インボイス制度に対応する場合は、発行者情報とともに適格請求書発行事業者の登録番号を記載する必要があります。また消費税内訳の記載が求められる場合もあるため、制度の要件に従った内容を記載しましょう。
フリーランスの領収書の保管方法

フリーランスとして活動する上で、領収書の適切な保管は欠かせません。領収書は経費の証拠書類として確定申告時に必要な資料であり、適切に管理することで税務トラブルのリスクも軽減されます。
ここでは、効率的で実用的な領収書の保管方法をご紹介します。
- 月ごとの封筒に分けて保管する
- ノートに貼り付けて整理する
- 勘定科目ごとに分類して保管する
- 専用ファイルを活用する
- スキャンしてデジタルで保管する
月ごとの封筒に分けて保管する
月ごとに封筒を用意して領収書をまとめるのは、手軽な方法です。各封筒に「〇月」と記載し、その月に関連する領収書を保管します。この方法はシンプルで始めやすく、特別な道具も必要ありません。
ただしレシートが封筒内で散乱しやすく、必要な書類を探すのに時間がかかる場合があります。また他の書類と混ざって紛失するリスクもあるため、専用の収納ボックスを用意して封筒の管理を徹底すると良いでしょう。
ノートに貼り付けて整理する
ノートに領収書を貼り付けて整理する方法も効果的です。この方法は後から内容を見返しやすく、紛失のリスクも低減できます。棚に収納して管理すると簡単です。
レシートが多い場合はノート1冊に収まりきらないこともあるため、ページ数の多いノートや大きめのサイズを選ぶと良いでしょう。また糊でなくテープを使えば作業がスムーズになり、乾燥時間も不要です。
勘定科目ごとに分類して保管する
勘定科目ごとに領収書を分けて保管する方法は、確定申告書類の作成時に非常に便利です。例えば「消耗品費」「雑費」などのカテゴリー別に分類して日付順に整理しておくことで、書類の検索が簡単になります。
この方法では、各科目ごとに封筒やファイルを用意するのがおすすめです。分類を徹底することで、経費計上時の作業効率が大幅に向上します。
専用ファイルを活用する
領収書専用のファイルを使用するのも便利な方法です。市販の専用ファイルを活用すれば糊付け作業が不要になり、簡単に整理ができます。
ただし一部のファイルはレシートの幅に対応していない場合があるため、購入前にサイズを確認してください。特に店舗のレシートや幅広の領収書を扱う際は、対応サイズのファイルを選ぶことが大切です。
スキャンしてデジタルで保管する
2022年の電子帳簿保存法改正により、領収書やレシートをスキャンしてデジタルデータとして保管する方法が普及してきています。この方法では紙の管理が不要となり、スペースの節約や検索性の向上が期待できます。
ただし電子データとして保存する場合は「スキャナ保存」として認められるための要件を満たす必要があります。専用のソフトやアプリを使い、規定に則ったフォーマットで保存することが重要です。
領収書の保管期間について

領収書は経費や収入の記録として、一定期間保管する義務があります。ただし法人・個人事業主の違いや、申告方法の種類によって保存期間が異なるため、正確に把握しておきましょう。
基本の保存期間は「7年」
領収書の保存期間は法人・個人事業主で異なりますが、基本的に「7年」と覚えておくと便利です。詳しくは、以下を参照してみてください。
- 法人の場合…原則7年。ただし、欠損金の繰越控除を適用する場合は10年間
- 個人事業主の場合…青色申告は原則7年(繰越控除を受ける場合は10年)。白色申告は原則5年(消費税の仕入税額控除を行う場合は7年間)
電子帳簿保存法の改正により、電子データの領収書も紙媒体と同じ保存期間が適用されます。ただし電子データで保存する際には、電子帳簿保存法に準拠した要件を満たす必要があります。
保存期間の数え方と注意点
領収書の保存期間は「書類が作成された事業年度における、確定申告書の提出期限の翌日から」数えることになっています。
また電子帳簿保存法の改正により、電子取引で交付された領収書や請求書は、電子データとして保存することが義務付けられています。紙での保存が不要になる一方で、以下の要件を満たす必要があります。
- 電子帳簿等保存…データをそのまま保存する
- スキャナ保存…紙で受領・作成した書類を画像データで保存する
- 電子取引…電子的に受領した取引情報をデータで保存する
また、紙で受け取った領収書を電子化する場合に「最長で2か月と7営業日以内」にタイムスタンプを付与すれば、原本の破棄も可能です。ただし電子取引では証憑書類としての紙保存が禁止されているので注意しましょう。
フリーランスが領収書を発行する際の注意点

領収書を正しく発行することでクライアントとのトラブルを防ぎ、信頼性の高い取引を継続できます。以下では、領収書を発行する際に気を付けるべきポイントを解説します。
- クレジットカードでの支払いに領収書は不要
- 領収書の再発行は原則しない
- 発行者の情報は記載したほうが良い
- 請求書を求められたら基本的に対応する
クレジットカードでの支払いに領収書は不要
クレジットカードで代金を受け取る場合、現金のやり取りが発生しないため、領収書を発行する義務はありません。取引先がカード明細を証憑書類として使用できるためです。
ただし取引先から領収書の発行を求められた場合には「クレジットカード決済」と明記した上で対応しましょう。
領収書の再発行は原則しない
領収書は金銭のやり取りを証明する重要な書類であるため、再発行は原則として避けましょう。再発行による二重計上や不正利用のリスクを防ぐためです。
取引先から再発行を求められた場合には「再発行分」と明記することで対応できます。例えば文末に「本領収書は再発行分です」と記載します。なお、あらかじめ領収書に「再発行不可」と明記しておくとトラブルを未然に防げます。
発行者の情報は記載したほうが良い
税法上、領収書に発行者の住所などを記載する義務はありません。ただし取引相手の利便性や信頼性を考慮し、発行者の名前・住所・電話番号を記載するのが一般的です。これにより取引先が書類を確認しやすくなり、スムーズなやり取りが期待できます。
自宅やコワーキングスペースを拠点としている場合でも、差し支えがなければ住所を記載しておくことをおすすめします。住所を記載しない場合には、事前に取引相手へその旨を説明するのが望ましいでしょう。
請求書を求められたら基本的に対応する
領収書の発行は、相手から求められた場合には基本的に対応しましょう。ただし再発行や特別な事情による発行の場合には、誤解やトラブルを防ぐために記載内容に細心の注意を払ってください。
再発行の場合にはその旨を明記し、元の領収書との区別がつくようにすることが大切です。適切な領収書の発行と管理を行うことでフリーランスとしての信頼性が高まり、税務上のトラブルも防げます。
フリーランスが領収書を受け取る際の注意点

領収書を受け取る際にはいくつか注意点があります。適切に対応することで、経費の計上がスムーズになるでしょう。以下に、領収書を受け取る際のポイントを解説します。
- 必ず領収書を受け取り、内容を確認する
- 領収書がもらえない場合は出金伝票を作成する
必ず領収書を受け取り、内容を確認する
現金での支払い時には、必ず領収書を受け取るよう依頼しましょう。また受け取った領収書は以下の点を確認することが重要です。
- 宛名…自分の名前や屋号を記載されているか。「上様」や無記名の領収書でも法的には問題ないが、税務調査の際に不正会計を疑われる可能性がある
- 但し書き…「お品代」といった曖昧な表現ではなく「書籍代」「文房具代」「交通費」など、具体的な支払い内容を記載する
領収書がもらえない場合は出金伝票を作成する
自動販売機や公共交通機関の利用などでは、領収書をもらえない場合もあります。その際は出金伝票を作成して記録を残すことが大切です。出金伝票には支払日・支払先の名称・勘定科目・支払い内容・金額を記載します。
またインボイス制度の導入により、一部の取引(例:3万円未満の公共交通機関利用)については適格請求書の交付義務が免除されています。ただしこの場合でも、必要な情報を出金伝票に記録し、適切に管理することが求められます。
トラブルを防ぐために領収書は正しく管理しよう

領収書の適切な発行と管理は、信頼性のある取引や税務トラブルの防止に直結します。領収書には「宛名」「日付」「領収金額」「但し書き」「発行者情報」などの基本項目を正確に記載し、必要に応じて収入印紙を貼付けましょう。
またデジタル保存を活用して、紙の管理を効率化する方法もおすすめです。領収書の保管の際には月別・科目別で分類し、ノートやファイルなどを使うと良いでしょう。
領収書を受け取る際には宛名や但し書きの内容を確認し、記録が曖昧にならないように心がけることも大切です。
正しく領収書を取り扱うと事業運営がスムーズになり取引の安心感にもつながるため、ぜひ領収書の管理を徹底してみてください。
執筆者名Ruben
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム