ChatGPTはさまざまな作業が可能なため、上手に使うと業務の効率化が期待できます。一方で、使用するコツを掴んでいないと、期待した結果を得られないケースが多くなるでしょう。
近年、生成AIはさまざまな分野で活用されており、なかでもChatGPTは先駆けとも呼べる存在です。全世界で多くの方々に利用されています。
この記事では、ChatGPTでできることや効果的な使い方とあわせて、利用する際の注意点も解説します。生成AIを業務に活用したい方は、ぜひご一読ください。
ChatGPTとは
ChatGPTは、OpenAI社により2022年11月30日に公開された生成AIで、正式名称は「Chat Generative Pre-trained Transformer」です。ユーザーの質問や要求に自然な対話で答えるのが特徴で、文章生成やプログラミング支援などのさまざまな業務をこなします。
ChatGPTは、AIの可能性を体感できる代表的ツールと言えるでしょう。著名な実業家のイーロン・マスク氏がChatGPTに出資した点も、注目されている理由の一つです。
ChatGPTの歴史
ChatGPTは、2022年に一般公開される前から運用されています。登場から現在までの流れを表にまとめました。
2018年 | GPTの初期バージョンが登場 | |
2019年 | 「GPT-2」リリース | |
2020年 | 「GPT-3」リリース | |
2022年11月 | 「GPT3.5」リリース | |
「ChatGPT」リリース | 一般公開される | |
2023年3月 | 「GPT-4」リリース | API公開により一般企業が新たなサービスに利用可能 |
2024年5月 | 「GPT-4o」リリース | |
2024年9月 | 「GPT-o1」リリース |
ChatGPTでできること
ChatGPTでは、主に以下の作業が実行できます。ChatGPTの作業範囲を把握して取り入れましょう。
- テキスト生成と対話
- 情報処理と分析
- プログラミング
- クリエイティブ支援
- 意思決定サポート
- 学習・教育支援
テキスト生成と対話
ChatGPTは、ユーザーとの自然な対話が得意です。質問への回答や解説などを行うほか、テキストで文章の作成も問題なくできます。ビジネスシーンで頻繁に必要となる以下のような内容も作成可能です。
- メール
- レポート
- 記事作成
また、業務だけでなく、以下のテキスト生成にも対応します。
- 小説
- 詩
- 歌詞
要約や校正にも対応しており、自分で書いた文章の修正も可能です。テキストでの対話やさまざまな文章作成ができる点は、ChatGPTの大きな魅力です。
情報処理と分析
ChatGPTは、データの整理や集計などを迅速に行います。
たとえば、膨大なデータから必要な情報を抜き出す作業は、ChatGPTの得意分野のひとつです。これまで人力で行っていた場合は、作業時間の大幅な短縮が期待できるでしょう。表の作成にも対応しているため、抽出したデータを見やすく整理できます。
文章や資料の要約もでき、長くて難しい文章も容易に理解可能です。これらの機能を有効活用することにより、効率的に業務を遂行できるでしょう。
プログラミング
ChatGPTは、プログラミングの分野でも活用できます。
PythonやJavaScriptなど多くのプログラミング言語に対応するため、さまざまなプログラムコードが生成可能です。デバッグツールとしても利用でき、コードに問題がある場合は、修正指示を出してもらえます。
ExcelやGoogleスプレッドシートで使用する関数やスクリプトの作成も可能です。
ChatGPTは、プログラマーの業務サポートも期待できるツールと言えるでしょう。
クリエイティブ支援
ChatGPTは、与えられたデータに対して作業するだけではなく、クリエイティブな活動も可能です。
たとえば、大人数でアイデアを出し合うブレインストーミングでは、発想を広げるためのさまざまな提案を受けられます。また、企画書や提案書などを作成する際は、構成案や表現例を具体的に提示し、プロジェクトを効率よく進める手助けをしてくれるでしょう。
キャッチコピーやスローガンなども、人間が考えつかないようなアイデアを提案してくれることが期待できます。
ChatGPTは、創造性が必要な分野でのサポートも可能と言えます。
意思決定サポート
多くの選択肢から最善の方法を選び出す際も、ChatGPTを利用できます。
ChatGPTは選択肢を比較し、それぞれのメリットやデメリットを具体的に示すため、ユーザーは判断を下しやすくなります。選択に迷った際は、アドバイスも得られます。長時間頭を悩ませるケースが減るでしょう。
意思決定は難しい場面でもChatGPTに比較を依頼することで、冷静な判断が可能になります。
学習・教育支援
ChatGPTは、学習や教育などの分野でも力を発揮します。
ChatGPTは、膨大なデータを取り込んで学習しているため、質問への返答やわかりやすい説明が可能です。学習をサポートする資料や解説なども提示してもらえます。
練習問題やクイズも作成できるため、とくに子どもは楽しみながら学習を進められるでしょう。
ChatGPTでできないこと
ChatGPTは、さまざまな作業が可能ですが、対応できない作業も存在します。
- 最新情報の提供
- 正確性の保証
- 専門的な判断
ChatGPTの苦手分野も正確に把握しておきましょう。
最新情報の提供
ChatGPTは、さまざまな情報を提供しますが、新しい出来事は回答できないケースがあります。
ChatGPT-4oは、2023年4月までのデータを学習していると言われており、それ以降の出来事や情報には対応していません。そのため、最新のニュースやトレンドを知りたい場合は、別の情報源を利用する必要があるでしょう。
正確性の保証
ChatGPTが質問に返答する場合、その回答が正確であるとは限りません。
とくに、専門的な分野や難解なテーマなどでは、誤った情報や不正確な回答をするケースが目立ちます。そのため、重要な決定や正確な情報が必要な場合は、ChatGPTの回答だけで判断せず、信頼性の高い資料や意見を参照することが不可欠です。
ChatGPTで最新の情報を調査するときは、誤りがないか他の情報源での確認を必ず行いましょう。
専門的な判断
専門的な判断が必要な場面では、ChatGPTを利用しないほうが賢明です。
たとえば、医療や法律などの専門分野では、具体的なアドバイスができないばかりか、間違った情報を提供する可能性があります。これらの問題は、医師や弁護士などの専門家に相談しましょう。
専門的な知識が必要な場合は、ChatGPTに頼らず、信頼できる機関から情報を得てください。
ChatGPTを利用するメリット
ChatGPTはさまざまな場面で活用でき、主に以下のメリットを享受できます。
- 作業効率が向上する
- 24時間誰でも利用できる
- 多言語に対応できる
ChatGPTの利点を把握して、普段の生活や業務などに活用しましょう。
作業効率が向上する
ChatGPTはさまざまな作業を自動化できるため、業務の効率化ができます。
たとえば、以下の項目は人力では時間を要しますが、ChatGPTであれば瞬時に作成可能です。
- 文章作成
- 要約
- 翻訳
- コード生成
これらの単純作業以外に高難度な業務にも対応できるため、ビジネスや学習などの場面で広く活用できます。
ChatGPTは、作業の質とスピードを向上させ、業務の効率化が期待できるツールです。
24時間誰でも利用できる
ChatGPTは、時間や場所を気にせず利用できる点が魅力のツールです。
ChatGPTを業務時間に利用する方は多いですが、インターネット環境さえあれば、夜間や休日でも問題なく使用できます。自分の好きな時間に必要な作業ができるため、忙しいときや急に仕事を受けたときでもすぐに活用可能です。
多言語に対応できる
ChatGPTは日本語だけでなく、英語やフランス語などさまざまな言語に対応できます。
言語を変更する際、設定を変更は必要はありません。入力された言語に対して同じ言語で回答するため、職場や学校など日本語以外を使用する際に便利です。また、自身の外国語の練習相手としても活用できるでしょう。
多くの言語に対応できるのは、ChatGPTの利点です。
ChatGPTを利用する注意点
ChatGPTは業務を効率化できる便利なツールですが、利用する際は以下の点に注意しましょう。
- 著作権の問題
- セキュリティが万全ではない
ChatGPTを効果的に使用するためにも、上記は必ず確認しましょう。
著作権の問題
ChatGPTはさまざまな情報を得られる便利なツールですが、過去のデータを参照して回答しているため、著作権のある内容を含める場合があります。
法律的なチェックが行われたデータをもとにしているわけではないことを理解することが大切です。
万が一、著作権のある内容を自身のものとして公開してしまうと、たとえ知らなかったとしても訴訟問題に発展する可能性は否定できません。
セキュリティが万全ではない
ChatGPTに入力した情報は、学習データとして利用されるため、場合によっては第三者の回答に使用されてしまう可能性があります。
とくに、個人情報や企業の機密情報など重要な内容は、ChatGPTに入力しないようにしましょう。業務効率化を図るあまり、セキュリティリスクを忘れてしまっては本末転倒です。
ChatGPTには、自身のチャット内容を学習データに活用しない「オプトアウト申請」機能があります。心配な方は、情報管理を徹底して安全かつ効果的に活用するために、オプトアウト申請を行いましょう。
ChatGPTの利用方法
ここでは、スムーズに使用するために、以下のChatGPT利用法を説明します。
- アカウントの登録
- 使用方法
アカウントの登録
ChatGPTのアカウント登録方法は、以下のとおりです。
1. 公式サイトにアクセスする
ChatGPTを利用するには、まず公式サイトにアクセスします。OpenAIのサイトからアカウントを作成しましょう。
2. 必要な情報を入力する
アカウントを作成する際は、以下の情報を入力します。
- メールアドレス:使用可能なメールアドレスを入力
- パスワード:セキュリティを考慮して強力なパスワードを設定
- 名前:アカウントの登録者名を記載
- 生年月日:本人確認のため生年月日を入力
- 電話番号:認証コードを受け取るための電話番号を登録
これらの情報を入力後、アカウントが作成されるとログインが可能になります。
使用方法
ChatGPTの使用方法は、非常にシンプルで誰でも簡単に操作できます。以下の手順で使用しましょう。
- 入力:画面下部にある入力スペースに、質問や要求を入力します。たとえば、文章の作成やデータをまとめて要約するなどが可能です。
- 送信:入力が終わったら、送信ボタンを押しましょう。すぐにChatGPTが応答を生成しますが、要求内容により多少時間がかかるケースがあります。
- スレッド管理:操作画面の左側にはスレッドが自動的に形成され、会話の内容が整理されます。これにより、複数のトピックを分けて管理でき、作業や質問を効率的に進めることが可能です。
直感的な操作性で、初心者でもすぐに活用できるのがChatGPTの魅力です。
ChatGPTの上手な使い方
ChatGPTを効果的に活用するには、いくつかのコツがあります。以下の方法を参考に、上手に利用することをおすすめします。
- 質問や指示は具体的に入力する
- 一度の指示で終わらない
使用方法を工夫して、最適な結果を得られるようにしましょう。
質問や指示は具体的に入力する
ChatGPTを効果的に活用するには、指示や質問を具体的に入力することが重要です。詳細な情報を提供すると、理想的な回答や成果を得やすくなります。
たとえば、メールの文章を作成する場合は、以下のような項目を明確に伝えましょう。
- 性別:必要があれば依頼者や相手の性別を指定する
- 年齢:対象者や依頼者の年齢層を伝える
- 相手の概要:メール受信者の属性や関係性を伝える
- 希望するメールの内容:伝えたい具体的なメッセージや目的を詳細に伝える
- 文字数:簡潔な文書か、詳細な内容かなどのボリュームを指定する
- 言葉遣い:丁寧語、ビジネスライク、カジュアルなどのトーンを伝える
また、プログラミングのコードを作成する場合は、以下の項目を伝えるとよいでしょう。
- 言語の指定:PythonやJavaScriptなど、使用するプログラミング言語を明確にする
- 具体的な目的:実現したい機能やタスクを詳細に記載する
- 入力データ:コードで処理する入力データの形式や例を提示する
- 出力結果:希望する結果の形式や例を記載する
- 使用制約:特定のライブラリやフレームワークなどの利用可否を伝える
- コメントや可読性の希望:コードに説明コメントを付けるか、読みやすさを重視するかなどを指定する
- エラーハンドリング:エラー時の挙動やログの出力要件を記載する
ChatGPTは、具体的な指示を出すことで求める結果を得られやすくなります。
一度の指示で終わらない
ChatGPTは、最初の質問や指示で理想的な回答を得られないケースが多々あります。意図した回答を得るためには、対話を重ねることが重要です。
たとえば、文章作成の際は以下の流れが効果的です。
- 初回の指示:大まかな要件を伝えます。
- 修正依頼:最初の回答を見て、必要な改善点を具体的に伝えます。
- 追加情報の提供:不足する条件を伝えます。
- 最終確認:納得いく内容になるまで調整を繰り返します。
このように何度も指示を続けることで、自分の意図を正確に汲み取ってもらえるでしょう。
ChatGPT以外の主な生成AI
現在は、ChatGPT以外にもさまざまな生成AIが登場しています。代表的なツールは以下のとおりです。
- Gemini
- Claude
- Copilot
ニーズに合わせて、適切な生成AIを選択しましょう。
Gemini
Geminiは、Google社が提供する生成AIで、文章や画像、動画などを理解・生成するマルチモーダル機能を備えています。
Google検索との連携が強みで、ユーザーは対話形式で情報検索やタスクの実行が可能です。また、GmailやGoogleカレンダーなど他のGoogleサービスとも統合されており、幅広い用途で活用できます。
Claude
Claudeは、Anthropic社が開発した生成AIで、自然な対話能力が特徴です。安全性や倫理性を重点的に高める開発が中心となっています。
有害なコンテンツの生成を防ぎながら、長文の会話や複雑な質問にも対応でき、ユーザーの多様なニーズに応えるAIと言えるでしょう。
Copilot
Copilotは、OpenAIのGPT-4を搭載した生成AIで、ソフトウェア開発に適したツールです。GitHub Copilotとして知られ、コードの自動補完や関数の提案、バグの検出など開発者の生産性向上に寄与します。
また、Microsoft 365 Copilotとして、WordやExcelなどのOfficeアプリケーションにも統合され、文書作成やデータ分析の効率化をサポートします。
ChatGPTの特徴を理解して業務効率化を図ろう
ChatGPTは、2022年にOpenAI社が一般公開した生成AIで、自然な対話形式でさまざまなタスクに対応できるツールです。主に以下の作業での効率化が期待できます。
- 文章生成
- 情報処理
- プログラミング支援
- クリエイティブなアイデアの提供
- 学習支援
- 意思決定サポート
さらに多言語対応や24時間利用可能な点も魅力です。一方で、以下の点に注意する必要があります。
- 最新情報の提供はできない
- 必ず正確な回答をするわけではない
- 専門的な判断は難しい
- セキュリティに問題がある
なお、ChatGPTを利用する際は、アカウントの登録が必要です。使用前に以下の事項を頭に入れておくと、理想の回答を得られるでしょう。
- 質問や指示は具体的に入力する
- 何度か質問を続ける
他の生成AIとして、GoogleのGeminiやAnthropicのClaude、MicrosoftのCopilotなども登場しているため、自身の利用目的に合わせた使い分けも可能です。
ChatGPTを上手に活用して、業務の効率化を図りましょう。
執筆者名小川桂徳
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム