フリーランス新法やインボイス制度を始め、これまでフリーランス業界にはなかったさまざまな動きが出てきました。2025年以降も、フリーランスを取り巻く環境は大きな変化を迎えると予想されます。
本記事では、2025年もフリーランスとして働こうと思う方向けに、フリーランスのリアルな実態や制度などの情報を解説します。
2025年以降に向けて知っておきたいフリーランスの実態

2023年7月21日公表の総務省統計局「基幹統計として初めて把握したフリーランスの働き方」によると、フリーランスを本業とする人は、257万4,000人(本業のみ202万9,400人、副業のみ48万300人)です。
また、厚生労働省「労働者派遣事業の令和5年6月1日現在の状況(速報)」では、派遣労働者数が約192万人と、おおよそ同時期に公表された総務省資料の派遣労働者数を上回る結果となっています。
2024年時点では、以前よりもフリーランスの影響力や認知度が高まってきたと言えるでしょう。
そして、2025年以降は、プラス・マイナス問わず、フリーランスを取り巻く環境が大きく変わる可能性があります。
以降に向けて知っておきたい、フリーランスの実態や将来性について、以下にまとめました。
- フリーランス人口の増加とともに、競合となる事業者も増えていることから、より高いスキルや差別化が求められる
- 物価上昇や不景気の煽りを受けて、事業継続や生活に影響が出る可能性がある
- 生成AIやそのほかIT技術・ツールの理解・活用の重要度が増すと予想される
- フリーランス新法の施行や民間の新サービスリリースを始め、さまざまな制度・システムの登場が予想される
経済情勢の不透明さや技術の進歩などが引き続き進んでいることから、フリーランスは、今後も実力磨きや販路拡大に加えて、情報収集を怠らないようにしましょう。
2025年以降で真剣に考えたいフリーランスのキャリア形成

先行きが不透明な時代が続いている昨今ですが、フリーランスとして活動するうえでは、進む方向性や身につけるべきスキルなどを自分で考えなければなりません。
いずれの道に進むとしても、重要になるのはキャリア形成です。
フリーランスとしてどのスキルや実績を積んでいくのか、フリーランスの経験を会社に所属していかすべきかなど、多角的な視点を検討し、2025年以降のフリーランス活動の方向性を決めていきましょう
フリーランスにとっての再教育・スキルアップの重要性
フリーランスの働き方が浸透した一方、競合他社となりうるライバルも増えています。
埋もれないためには、ほかのフリーランスよりも深い知識や、独自スキルなどが求められるようになるでしょう。
また、フリーランス経験をいかせる会社員になる、パラレルワーカーとして働くなど、個人事業主・法人一本に絞らない働き方も、選択肢として出てきています。
そこで大切なのは、フリーランスとしてのキャリア形成をあらためて考えることです。
フリーランスは、会社員のようなある程度安定したキャリアパスや、人事・教育の地盤などが存在せず、一から自分で考え構築しなければなりません。
終身雇用が確実とは言えない時代であるものの、会社は労働者や自社利益を守るために、時代に対応した体制を都度整え、労働者の雇用を一定以上保障してくれます。
しかし、フリーランスは、スキルが陳腐化したり時代に乗り遅れたりすると、仕事が受注できず、事業が立ち行かなくなる恐れがあります。
不安定な時代が続く現在において、フリーランスにとって自分のキャリアやスキルを見直す重要性は、会社員と同等以上と言えるのではないでしょうか。
フリーランスとリスキリング
日本では現在、「リスキリング」という概念に注目が集まっています。リスキリングとは、「Re」と「skilling」を合わせた英文であるRe-skillingのことで、働きながら新しくスキルを学ぶ・学び直すという意味です。
「会計を学び、プレゼンテーションで財務情報を入れ、説得力を出す」「AIを学んで、ITツール導入を進め、業務効率化する」などが当てはまります。
リスキリングの具体例は次の通りです。
- eラーニングによる学習
- オンラインセミナーへの参加
- 社会人向けの大学・専門学校への入学
- オンラインサロンへの入会
- フリーランス向けのWebサイトの閲覧
- 動画サイトの視聴
- 副業
- 読書
リスキリングは、会社員だけではなく、フリーランスにとっても注目したい考え方です。
フリーランスがリスキリングに取り組むと、以下の効果を期待できます。
- 知識の幅が広がり新しい仕事に対応できるようになる
- 資格取得によって仕事に信頼性や権威性がプラスできる
- 収入や仕事の依頼が以前よりも増加する可能性が上がる
フリーランスは、会社員以上に自分のスキル・能力が収入・評価に直結することが多く、リスキリングの効果を肌で実感するフリーランスも数多いとの調査結果があります。
なお、リスキリングと似た言葉に「リカレント教育」があります。リカレント教育も新しい知識やスキルを学ぶことですが、「今従事している仕事から一度離れて学ぶ」「リスキリングよりもさらに長期的に学ぶ」といった意味合いが含まれるケースが多いです。
また、ビジネスにおいては「会社主体で学習機会を提供することをリスキリング」、「個人主体で会社外部の教育機関などで学ぶことをリカレント教育」と使い分けるケースもあります。
2025年10月より始まるフリーランスに向けたリスキリング融資制度
日本政府は、2025年10月より、リスキリング支援の一環として融資制度をスタートさせる予定です。
フリーランスなどの雇用保険未加入者が対象で、リスキリングのために必要な学費・生活費を年間最大240万円(利率2%・貸付期間最長2年間)の借り入れできます。
本制度は、フリーランスを含めたすべての働き手のスキルアップを目的にすると同時に、「安定したキャリア形成のため、フリーランスから会社員への就職を支援するもの」と言われています。
このように、少しずつではありますが、フリーランスの支援を対象とした公的制度が整い始めている状況です。
今後も広がるフリーランスの働き方への対応策として、フリーランスでも使える公的制度が増えていくと予想されます。
2025年以降も生き残るフリーランスになるために知っておきたいこと

2025年以降も生き残るフリーランスになるためには、まずITの進化に応じたさまざまなツール・サービスについて知っておくことが大切です。
ここでは、とくに注目すべき生成AIの急速な普及、新しいWebサービス・ツールの登場について解説します。
クリエイティブ関連では避けては通れない「生成AI」へ向き合う
2025年以降も生き残るフリーランスになるために、避けて通れないのは生成AIの存在でしょう。
とくに、クリエイティブ分野やIT分野ではAIの普及が進んでおり、業務効率化、新製品・サービスの開発、データ分析などで活用されています。
生成AIの活用事例は次の通りです。
- チャットボットによる顧客や社員からの質問への自動応対
- マーケティング・関連のアイデア出し、イラストやテキストの素案作成
- 既存データからの物量・時間などの予測
- プログラミングコードの生成
- 自動音声などの作成
実際に、2024年にAIや機械学習関係のスキルを求められたフリーランスは非常に多いことから、2025年以降も生成AIとフリーランスは深くかかわり合っていくと思われます。
しかし一方、生成AIを扱ううえで確認したいのが著作権です。生成AIの学習・出力のデータ元となる成果物の著作権について、世界的に問題となっています。
海外ではニューヨーク・タイムズなどがオープンAIに対し訴訟をおこし、日本でも声優がAIで生成された音声の無断販売について啓発動画を出すなど、大きな波紋を呼んでいます。
生成AIを活用するときは、活用する技術だけではなく、使用ルールや倫理・道徳的な問題についてもしっかりと確認しましょう。
参考:AIと著作権|文化庁
多種多様な仕事受注のサービスも利用してみる
2024年現在、フリーランスが仕事の受注先を探す方法として挙げられるのは次の通りです。
- 知人の紹介や会社の同僚からの紹介
- さまざまな企業や顧客への直接コンタクト
- 求人広告の利用
- 商工会議所・商工会への相談
- 異業種交流会などのビジネス関係の交流会への参加
- SNS経由での営業・紹介
- クラウドソーシングの利用
- フリーランスエージェントの利用
- コーポレートサイト・自営業のブログなどの開設
- シェアリングサービスの活用
- オンラインサロンへの参加
Webサービスの発達により、フリーランスの仕事の取り方は幅広くなりました。とくに、クラウドソーシングやフリーランスエージェントは広く普及しており、民間からさまざまなサービスが登場しています。
たとえば、株式会社クラウドワークスなら、日本最大のクラウドソーシングサービス「クラウドワークス」、フリーランス向けのエージェントサービス「クラウドデック」、ハイクラス副業向けマッチングサービス「クラウドリンクス」などを運営しています。
2025年以降のフリーランス活動では、仕事の獲得経路を1つに絞ることなく、さまざまなルートを確保することで、これまで出会えなかった新しいクライアントに出会える機会が増えるはずです。
2025年以降はフリーランスが働きやすい環境に?理由を考察

2025年以降も大きく変化すると予想されるフリーランス業界ですが、その方向性がプラスなのかマイナスなのかについてもさまざまな意見が存在します。
ここからは、2025年以降のフリーランスは働きやすい環境になるか否かについて、予想およびその理由を考察しました。
フリーランス新法の制定などフリーランスの支援体制が整いつつある
フリーランス新法、フリーランスの労災特別加入、リスキリング融資制度など、フリーランスの働き方の浸透と合わせる形で、日本政府もさまざまな公的支援制度を新設しています。
また、開業届を提出したフリーランスなら申し込める小規模事業者持続化補助金や、IT導入補助金といった各種補助金・助成金もあり、公的な資金調達手段も増えてきました。
2025年以降も、フリーランスの公的な支援体制の整備が進んでいくと予想されます。
参考:フリーランスが安心して働ける環境づくりのための法律、2024年11月からスタート!|政府広報オンライン
参考:令和6年11月1日から「フリーランス」が労災保険の「特別加入」の対象となりました|厚生労働省
フリーランス・副業者向けのサービス・ツールが・成長・成熟してきた
フリーランス市場の拡大を受け、民間企業・団体から、フリーランス・副業者向けのさまざまなサービス・ツールがリリースされています。
主な例は次の通りです。
- フリーランス向けプランのあるクラウド会計ソフト
- フリーランス向けの仕事受注プラットフォーム
- フリーランスを対象にしたクレジットカード
- フリーランスが対象の保険など福利厚生サービス
たとえばフリーランス向けのクレジットカードなら、アメリカン・エキスプレスのビジネスカードが挙げられます。
上記のサービス・ツールには、リリースされてから数年以上の実績を積んだものも多く、サービス内容やフォロー体制も成長・成熟してきました。以前よりも安心して、フリーランス・副業者向けのサービス・ツールを利用できるでしょう。
「2025年問題」でフリーランスを頼る企業が増える可能性がある
「2025年問題」とは、国民の約3人に1人が65歳以上、5人に1人が75歳の超高齢社会となることで、人手不足といったさまざまな問題が発生する可能性が出てくることです。
また、経済産業省が発表したDXレポートで登場した「2025年の崖」という、DXの推進の遅れによる業務効率・競争力の低下が懸念された経緯も存在します。
このように、2025年にまつわるさまざまな問題に直面するフリーランスですが、一方で「フリーランスに頼る企業が増えるのでは?」との予想があります。予想の根拠は次の通りです。
- DX推進やITの進化の背景から、ITスキルを始めとする高スキルの人材はむしろ重宝される
- 古くなったシステムの改修・更新・入れ替えなどでフリーランスに依頼する機会が増える
- Webページ・Webシステムなどを利用したWebコンテンツ制作に取り組む企業が増加する
ただし、仕事を依頼したいと思わせるには競争に勝てる力があるフリーランスになることが重要です。
また、2025年問題の影響は、現時点での予想であり、世情や技術などによって予想も変わる可能性があります。
参考:DXレポート|経済産業省
働きがい・やりがいを感じるフリーランスは多数
日本労働組合総連合会の「フリーランスとして働く人の意識・実態調査2024」や内閣官房「フリーランス実態調査」、そのほか民間企業・団体が実施したフリーランス向けのアンケートの多くでは、働きがい・やりがい、労働時間、人間関係に対して過半数が満足していると答えています。
「人間関係にとらわれず自由に働ける」というフリーランスのイメージ通り、フリーランスの働き方事態に満足を感じる人は多いようです。
インボイス制度が始まって約1年後のフリーランスの現在とは
2023年10月よりスタートしたインボイス制度ですが、国税庁によると、インボイス登録件数は2024年8月時点で約458万件となっています。
制度開始時の2023年10月は約407万件でしたが、1年で約50万件の増加と伸びは鈍化しているものの、少しずつ増えています。
インボイス制度とは、いわゆる「消費税を適正に納税するため」の制度であり、益税が発生していた免税事業者にとっては実質的な収入減となりました。
そうした背景から、あえて免税事業者のままでいるフリーランスも少なくありません。免税事業者のままでも取引に変化がないと答えたフリーランスも多数存在します。
しかし一方で、インボイス登録済みであることを仕事獲得のPRとして利用するフリーランスもいます。インボイス登録されていないと取引が難しいという企業もあることから、インボイスを発行できるフリーランスのニーズも確実にあると言えるでしょう。
結局大事なことは「人とのつながり」「実力」「学習意欲」であると忘れない

フリーランス業界を取り巻く環境は変化を見せていますが、変化に対応するために大事なことは、結局のところ「人とのつながり」「実力」「学習意欲」です。
いくらフリーランス需要の変化や公的支援の充実があろうとも、「仕事を受注して報酬をもらう」「自分の製品・サービスを買ってもらう」というビジネスの根幹が成立しなければ意味がありません。
人とのつながりが新しい出会いやイノベーション、実力が質のよい仕事と継続案件、学習意欲が販路拡大とスキルアップにつながります。
こうした地道に積み上げることで得られる「フリーランスの地力」こそが、どのような時代でも通用するフリーランスとして活躍できるコツだと言えるでしょう。
2025年以降もフリーランスとして活躍しよう!
2025年以降、支援制度や技術発展などの影響で、フリーランス業界は大きく変化すると予想されます。
フリーランスとして生き残るためには、「不明瞭な時代でも通用するキャリア形成」「生成AIや新サービスなど新しいものを活用する柔軟性」「フリーランス業界の現状を正しく把握・分析する能力」が求められます。
そして、上記を支えるフリーランスの地力をしっかり構築することが一番大切です。今後もさまざまな新制度・サービスや情勢変化が予想されるため、これからフリーランスを始めようと検討している人を含め、情報収集とスキルアップの継続を意識することをおすすめします。
執筆者名Webライターあひる
FP2級・商業簿記検定2級・証券外務員一種取得
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム