近年、Z世代の間で「デジタルカメラ」が注目を集めているといいます。
その動きは日本国内にとどまりません。アメリカの「ニューヨーク・タイムズ」も『The Hottest Gen Z Gadget Is a 20-Year-Old Digital Camera(=Z世代で最もホットなガジェットは20年前のデジタルカメラ)』という見出しで、2023年1月に報じています。
2024年、なぜ「デジタルカメラ」がZ世代から注目されるようになったのか。今回はその背景や、トレンドになっている理由に迫りたいと思います。
とくにフリーランスで働くフォトグラファーやクリエイターの方は、お仕事のヒントになる情報があるかもしれません。ぜひ最後までご一読ください。
「デジタルカメラ」を欲しがるZ世代とは?
そもそもZ世代とは、1990年代後半〜2010年代前半に生まれた若者のことを指しており、英語圏では「ジェネレーションZ」と呼ばれています。
「マッキンゼー・アンド・カンパニー」という、アメリカのコンサルティング会社が定義したことで世の中に広まりました。
2024年現在、Z世代はおおよそ13~28歳あたりの年齢となり、中学生から20代の大人が該当します。
なお、デジタルカメラが販売台数のピークを迎えたのは、2008〜2010年ごろ。
現在のZ世代に該当する人たちは、まだ子どもであるか、生まれていないかのどちらかになります。
Z世代から「デジタルカメラ」が注目された理由とは?
ここからは、Z世代からデジタルカメラが注目されている理由を分析します。
「Y2K」の流行
かつてのデジタルカメラよりも高い画素数を持ち、鮮明な写真を撮ることができるツールの一つに、スマートフォンがあります。
スマートフォンは、Z世代には「中学生のころから持っていた」という人もいるほど、馴染みのあるツールではないでしょうか。
そのような環境で育ってきたZ世代が、デジタルカメラに注目する理由の一つに「Y2K」の流行が考えられます。
Y2Kとは「Year2000」の略称で、2000年代のカルチャー・ファッションなどを指す際に使われることが多い言葉です。このY2Kは、日本のみならず、世界的な流行として広がりを見せています。
こうしたトレンドは、ファッションだけでなく、2000年代当時のアイテムにも影響を与えました。
中でもデジタルカメラは、著名なアーティストやインフルエンサーの発信もあってか、Z世代からの注目が高くなっています。
上述した背景に加えて、デジタルカメラで撮る写真のレトロな味わいのようなものが、Z世代の感性とマッチした結果、需要の高まりへとつながったのかもしれません。
フィルムカメラからの推移
Z世代が、デジタルカメラよりも先に注目したのが、「フィルムカメラ」でした。
現在まで続く「平成レトロ」と呼ばれるブームの兆しもあり、フィルムカメラはもちろんのこと、フィルム自体が在庫切れになるような時期がありました。
人気を集めたフィルムカメラですが、使用にあたっては、フィルム代などさまざまな費用がかかります。そのうえ、フィルム代の高騰もあって、ランニングコストが以前より高額になっている現実があります。
一方で、古いデジタルカメラであれば、低いランニングコストで現在のトレンドにマッチした写真を撮ることができます。
そのほか、「初めてでも簡単に扱うことができる」「家族が昔使っていたものを譲ってもらった」などの取り入れやすさも、Z世代のトレンドとなった理由の一つかもしれません。
実際の「デジタルカメラ」の売上は?
実は、デジタルカメラの売上は、日本国内で伸びている傾向にあります。
CIPA(一般社団法人 カメラ映像機器工業会)が公開した日本国内における2023年デジタルカメラ出荷実績によれば、出荷台数こそ前年比より減少しているものの、売上金額は増加しています。
出典:2023年デジタルカメラ統計|一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)
売上を伸ばしているのは、最新のデジタルカメラだけではありません。デジタルカメラは、中古市場でも値上がりの動きを見せています。
なお、2000年代に発売されたデジタルカメラの中には、現在のトレンドもあって、数年前と比べて倍以上の値段をつけているものもあります。
Z世代の流行はマーケティングにも生かせる!
Z世代からデジタルカメラが注目されるようになった背景には、Y2Kの流行など、さまざまな理由があります。
とくに、フリーランスで働くフォトグラファーやクリエイターの方は、本記事の情報をぜひヒントに、業務や制作を進めてみてください。
トレンドやターゲットを明確に意識することで、よりよい作品を作る可能性が広がるでしょう。
また、カメラに関係しない業務を行う方でも、Z世代の流行に敏感になることで、マーケティングに活用できる場面もあるはずです。
Z世代の流行を調査・研究するために、思い切って古いデジタルカメラを購入してみるのもおすすめです。
執筆者名CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム