「フリーランスになると保険ってどうなるの?」
このような疑問を抱えていませんか?
フリーランスは会社員とは異なり、社会保険への加入がすべて自己負担です。そのため病気やケガ、老後の生活に備えるための適切な保険選びがとても重要です。
しかし「どの保険に入れば良いのか分からない」と悩む人も多いでしょう。そこでこの記事では、フリーランスが加入できる保険の種類や手続き方法、おすすめの保険について詳しく解説します。
自分に合った保険を選び、安心してフリーランスとしてのキャリアを築いていきましょう!
会社員とフリーランスの保険の違い

会社員とフリーランスでは、加入できる社会保険の種類や、保障内容に大きな違いがあります。フリーランスとして働く場合は社会保険の違いを理解しておくと、将来のリスクに備えられるでしょう。
以下では、会社員とフリーランスの社会保険の違いを分かりやすく解説していきます。
フリーランスは加入できる社会保険が限られる
会社員とフリーランスでは、加入できる社会保険の種類が異なります。
会社員は健康保険・厚生年金・雇用保険・労災保険に問題なく加入できます。フリーランスは原則として雇用保険には加入できませんが、労災保険は「特別加入制度」を利用すれば、一人親方やITフリーランス、芸能関係の方などは加入できる場合があります。
また健康保険と年金保険の保険料については、会社員の場合は企業が一部負担しますが、フリーランスは全額自己負担です。
なお会社員が加入する労災保険は、仕事中・通勤中の事故によるケガや病気の治療費が補償される制度です。死亡した場合は遺族に年金が支給されるため、働く人のリスクを軽減します。
雇用保険は、失業時の給付金や職業訓練の補助金を受け取れる制度ですが、フリーランスは対象外です。
健康保険の違い
「被用者保険」に加入できる会社員・公務員は、健康保険組合や全国健康保険協会(協会けんぽ)に加入し、保険料は会社と折半してもらえます。これにより負担が軽減されるほか、傷病手当金・出産手当金といった給付金も受け取れます。
傷病手当金は、病気やケガで働けなくなった際に、給与の約2/3を最長540日間受け取れる制度です。出産手当金は産前・産後の98日間にわたり給与の約2/3が支給されるため、育児休業中の経済的負担を軽減できます。
一方フリーランスが加入する「国民健康保険」には傷病手当金や出産手当金の制度がなく、病気や出産による収入減をカバーできません。そのため、民間の保険や貯蓄で万が一の時に備える必要があります。
年金制度の違い
日本の公的年金制度には厚生年金と国民年金の2種類があります。会社員は厚生年金に加入し、給料から保険料が天引きされます。これにより将来の年金額が増え、老後の生活を支えやすくなるでしょう。
また厚生年金には遺族年金や障害年金の制度もあり、万が一の場合の保障が手厚いのが特徴です。
一方フリーランスは国民年金のみの加入となるため、将来受け取れる年金額が会社員よりも少なめです。例えば令和3年の厚生労働省のデータによると、厚生年金(国民年金を含む)の平均受給月額は145,665円で、国民年金のみの場合は56,368円です。
厚生年金を受給できる会社員は、国民年金のみの場合よりも毎月約9万円ほど多く受け取れるでしょう。
参照:令和3年度 厚生年金保険・国民年金事業の概況|厚生労働省年金局
社会保険の種類と特徴をそれぞれ解説

社会保険には5種類が該当します。社会保険の種類を正しく理解することで病気やケガ、失業時の補償など、さまざまなリスクに備えられます。ここでは、各社会保険の特徴を詳しく解説します。
社会保険とはそれぞれ何か、あらためて確認しておきましょう。
- 健康保険
- 厚生年金保険と国民年金保険
- 介護保険
- 雇用保険
- 労災保険
健康保険
病気やケガをした際に、医療費の自己負担を軽減する制度が健康保険です。「被用者保険」は健康保険組合や協会けんぽやを通じて提供され、会社員・公務員は雇用先と折半で保険料を支払います。
加入者は医療機関の自己負担が原則3割となるほか、高額療養費制度や傷病手当金、出産手当金などの給付を受けられるでしょう。
フリーランスで、かつ他の健康保険に加入していない75歳未満の方は、原則として国民健康保険に加入しなければなりません。ただし会社員の被扶養者や任意継続被保険者など、一部の例外もあります。
また国民健康保険料は自治体や所得などによって異なる点も注意しましょう。以下に東京都新宿区の例を挙げていますので、参考にしてみてください。
所得・年齢ごとの1か月あたりの国民健康保険料
総所得金額等 | 40歳~64歳以外 | 40歳~64歳 |
100万円 | 10,924円 | 13,325円 |
200万円 | 20,499円 | 24,700円 |
300万円 | 30,074円 | 36,075円 |
400万円 | 39,649円 | 47,450円 |
500万円 | 49,224円 | 58,825円 |
600万円 | 58,799円 | 70,200円 |
700万円 | 68,374円 | 81,575円 |
800万円 | 73,205円 | 87,372円 |
900万円 | 74,167円 | 88,333円 |
1,000万円 | 74,167円 | 88,333円 |
出典:令和6年度 国民健康保険料 概算早見表(総所得金額等)|新宿区
厚生年金保険と国民年金保険
厚生年金保険は会社員・公務員が加入する公的年金制度で、国民年金に上乗せして給付が行われます。老齢年金として支給されるだけでなく、障害年金や遺族年金も含まれます。
加入者は給与額に応じた保険料を支払い、企業がその半分を負担します。将来の年金受給額が、国民年金のみの加入者よりも多くなるメリットがあります。
国民年金保険は、20歳以上60歳未満のすべての人が加入しなくてはなりません。厚生年金保険に加入する会社員・公務員の方は、国民年金保険にも併せて加入することになるでしょう。
なお国民年金保険の毎月の支払額は、2024年度時点では16,980円です。
介護保険
介護保険は40歳以上のすべての人が加入する制度で、介護が必要になった際に費用の一部が給付されます。要介護認定を受けると、訪問介護やデイサービスなどの介護サービスを自己負担1~3割で利用できます。
健康保険料と共に介護保険料を支払い、自治体の制度を通じてサービスを受けることになるでしょう。
雇用保険
労働者が失業した際や、育児・介護で休業する際の経済的支援を目的とした制度が雇用保険です。企業と従業員が保険料を負担し、条件を満たすと給付金を受け取れます。
失業手当・就職促進給付・教育訓練給付・育児休業給付など、働く人が再就職しやすい環境を整えるための仕組みが整っています。
労災保険
労災保険では業務中・通勤中の事故によるケガや病気に対する補償を行います。労働者を1人でも雇用する企業には加入義務があり、保険料は事業主が全額負担します。
補償内容には療養補償給付・休業補償給付・障害補償給付・遺族補償給付などが含まれ、長期間の治療が発生したり障害が残ったりした場合も手厚くサポートされます。
フリーランスが加入できる健康保険の種類と手続き

フリーランスとして働く際、適切な健康保険への加入が欠かせません。ここでは、フリーランスが選択できる健康保険の種類と手続きについて詳しく説明します。
最適な保険を選べると、安心して業務に専念できるでしょう。フリーランスが加入できる健康保険には、主に以下の3つがあります。
- 国民健康保険
- 国民健康保険組合
- 任意継続被保険者制度
国民健康保険
国民健康保険は、自治体が運営する公的な医療保険制度です。会社の健康保険や後期高齢者医療制度など、他の健康保険に加入していない人が対象となります。フリーランスや個人事業主、無職の人などが該当するでしょう。
保険料は自治体ごとに異なり、所得や世帯構成によって計算されます。医療費の自己負担は原則3割で、会社員が加入する健康保険と同様の給付を受けられます。
国民健康保険の加入手続き
会社員を辞めた後、フリーランスとして国民健康保険に加入する場合、退職後または他の健康保険を喪失した日の翌日から14日以内に、住んでいる市区町村の役所で手続きを行いましょう。必要な書類は以下の通りです。
- 退職日が確認できる書類(離職票、退職証明書など)
- 身分証明書(運転免許証、パスポートなど)
- マイナンバーが確認できるもの
- 印鑑
国民健康保険では家族を扶養に入れる制度がないため、家族分の保険料も個別に支払う必要があります。
国民健康保険組合
国民健康保険組合は、同じ業種の人々が組織する法人です。特定の業種に従事し、組合の定める地域に住んでいる人が加入できます。2024年時点では、全国に158の国民健康保険組合が存在します。
例えば東京技芸国民健康保険組合は、洋裁・造花・服飾・手工芸などの事業を行い、東京都内に事業所がある人が加入対象です。ただし各組合には独自の審査があり、基準を満たしても必ず加入できるわけではありません。
手続き方法については、加入する国民健康保険組合、または最寄りの年金事務所に問い合わせてみましょう。
任意継続被保険者制度
任意継続被保険者制度は、退職後も会社の健康保険に最長2年間加入し続けられる制度です。以下の条件を満たすと、任意継続被保険者制度を利用できるでしょう。
- 退職日までに継続して2か月以上の被保険者期間がある
- 退職日の翌日から20日以内に手続きを行う
この制度を利用すると家族も扶養に入れるので、家族分の保険料負担を軽減できます。ただし保険料は全額自己負担となり、退職前に会社が負担していた分も自分で支払う必要があります。
任意継続被保険者制度の手続き
手続きには「任意継続被保険者資格取得申出書」に記入し、住んでいる地域を管轄する協会けんぽ支部に提出しましょう。家族を被扶養者にしたい場合は、資格取得申出書の2ページ目の「被扶養者届」にも記入が必要です。
フリーランスが加入できる年金保険の種類と手続き

フリーランスとして働く場合、公的年金制度への加入が必須です。会社員時代は厚生年金に加入していましたが、フリーランスになると国民年金へ切り替えなければなりません。ただし、国民年金だけでは将来の年金額が十分ではない可能性があります。
そこでフリーランス向けの追加年金制度として、以下の年金保険への加入も検討してみましょう。
- 国民年金
- 国民年金基金
- iDeCo(個人型確定拠出年金)
国民年金
国民年金は、日本に住む20歳以上60歳未満のすべての人が加入する年金制度です。フリーランスは厚生年金に加入できないため、国民年金のみの適用です。
保険料は定額で、老齢基礎年金の支給額は納付期間に応じて決まります。40年間納付した場合の満額は、月額約68,000円です。
国民年金保険に加入するには、退職後14日以内に市区町村の年金窓口で手続きを行いましょう。申し込みには年金手帳や本人確認書類(運転免許証など)が必要です。
国民年金基金
国民年金基金は、フリーランスが厚生年金の代わりに利用できる年金制度です。国民年金に上乗せする形で加入でき、将来の受給額を増やせます。
この制度は生涯にわたって年金を受け取れる終身年金で、掛金の上限は後述する「iDeCo」と合算して月額68,000円までです。掛金は全額所得控除の対象となり、節税効果も期待できます。
加入する際は、自分のライフプランに合わせた給付タイプを選択できます。加入手続きを行いたい場合、国民年金基金の公式サイトや窓口に加入申込書を提出し、掛金の設定を行いましょう。
iDeCo(個人型確定拠出年金)
iDeCoは、積み立てた掛金を自分で運用し、60歳以降に受け取る年金制度です。運用商品を自由に選択でき、投資信託や定期預金などとの組み合わせも可能です。
掛金は小規模企業共済等掛金控除として全額所得控除となり、運用益も非課税となります。受給時には分割受取と一括受取を選べるので、老後の資金計画に応じた選択が可能です。
なおiDeCoは自分で運用商品を選択できるため、投資信託などを選んだ場合は元本割れのリスクがあります。ただし定期預金や保険商品など元本保証型の選択肢もあり、リスクを抑えることも可能です。
また原則60歳になるまで資産を引き出せないので、将来のための資産形成の一環として慎重に検討しましょう。金融機関で口座を開設して必要書類を提出し、掛金額や運用商品を選択するとiDeCoに加入できます。
フリーランスの保険料を抑える方法

フリーランスとして働く場合、保険料の負担が大きくなることが課題の一つです。しかしいくつかの方法を活用すれば、保険料を抑えることが可能です。
以下では、フリーランスが活用できる保険料の軽減方法についてご紹介していきます。
- 免除・減免制度を利用する
- 国民健康保険組合に加入する
- 家族の扶養に入る
- 青色申告特別控除を活用する
免除・減免制度を利用する
国民健康保険の保険料は、所得に応じて決まります。自治体によっては、一定の所得以下の世帯を対象に軽減措置が設けられているでしょう。例えば所得が基準以下の世帯では、保険料の7割・5割・2割の軽減が適用される場合があります。
適用を受けるには、自治体への申請が必要です。なお住民税の確定申告を行っていないと軽減措置が受けられないため、忘れずに申告しましょう。
国民健康保険組合に加入する
特定の業種向けに設けられた「国民健康保険組合」に加入すると、保険料が定額制になる場合があります。一般的な国民健康保険は所得に応じて保険料が決まりますが、国保組合では一律の金額となるため、所得が高い人ほど負担を軽減できます。
ただし、加入には業種ごとの指定条件を満たす必要があるため、事前に組合の加入要件を確認しておきましょう。
家族の扶養に入る
一定の収入条件を満たすと、家族の健康保険に扶養として加入できます。例えば配偶者や親が会社員で社会保険に加入している場合、年収が130万円未満(60歳以上の場合は180万円未満)であれば扶養に入れるでしょう。
扶養に入ると国民健康保険の支払いを避けられるため、大幅に保険料を削減できます。ただし収入基準を超えると扶養から外れるので注意しましょう。
青色申告特別控除を活用する
青色申告を行うことで、最大55万円の所得控除を受けられます。(e-Taxを利用すると最大65万円)
所得が減少することで、国民健康保険の保険料も引き下げられるでしょう。ただしこの控除を受けるには複式簿記で記帳し、決算書を提出する必要があります。
フリーランスは適切な保険を選択してリスクに備えよう

フリーランスは会社員と異なり、社会保険の加入が義務付けられていません。そのため老後やケガなど将来のリスクに備えるには、自ら適切な保険を選択する必要があります。
国民健康保険や国民年金に加え、国民年金基金などを活用することで、将来の生活の安定を図れるでしょう。また保険料の負担を抑える方法として、免除・減免制度の利用や家族の扶養に入る選択肢もあります。
適切な保険に加入することで、万が一の事態にも安心して対応できるでしょう。これを機に自身に最適な保険を見直し、フリーランスとしての働き方をより充実させていきましょう。
執筆者名Ruben
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム