「リカレント教育とリスキリングの違いは?」
「リカレント教育で使える補助金について知りたい」
このような疑問・質問をお持ちの方は多いのではないでしょうか。
インターネットやAIなどによる技術革新や働き方の変化が進む現代、リカレント教育が注目を集めています。リカレント教育はキャリアアップやスキル向上だけでなく、自分らしい働き方を手に入れるための手段となるでしょう。
この記事では、リカレント教育について分かりやすく解説しています。メリットやポイント、活用できる補助金・助成金などもご紹介していますので、ぜひチェックしてみてください。
リカレント教育とは?

学校教育を終えた後も、必要に応じて学び直す教育スタイルを「リカレント教育」と言います。「リカレント(recurrent)」には「繰り返す」「循環する」という意味があり、学びと仕事を行き来しながらスキルを磨くのが特徴です。
スウェーデンで1960年代に提唱された「生涯学習」に由来するもので、オロフ・パルメ文部大臣が1969年に国際的に提唱しました。この教育理念は、個人の能力向上と社会での長期的活躍を目指しています。
学びの手段には大学・専門学校への再入学、資格取得講座、さらには独学も含まれます。働きながら夜間や週末に通う人もいれば、転職・休職の時間を活用して学ぶ人もいるでしょう。
リカレント教育は期間や方法の自由度が高く、学ぶ内容は職種・役職に応じて異なります。また年齢制限がなく、学ぶ意欲がある限り挑戦できる点もリカレント教育の特徴です。
リスキリングとの違い
リカレント教育と似たものに「リスキリング」が挙げられます。リスキリングは従業員に新しいスキルを習得させ、成長分野の業務に適応させることを目的とします。
リカレント教育は個人が自らの意思で学ぶのに対し、リスキリングは企業が主導して行うのが一般的です。特に企業のデジタル化であるDX(デジタルトランスフォーメーション)が進む現代では、企業がデジタル分野の人材育成を目指してリスキリングを推進するケースが増えています。
このように、リカレント教育は個人主体、リスキリングは企業主体というのが特徴です。
生涯学習との違い
リカレント教育と生涯学習は似ていますが、目的に違いがあります。リカレント教育は、仕事に直結する知識・スキルの習得を目的とし、具体的なキャリアアップや職業訓練が中心です。例えば外国語やプログラミングスキル、資格取得を目指す講座などが挙げられます。
一方、生涯学習は「日々の暮らしを豊かにする」というニュアンスが含まれており、趣味やスポーツ、ボランティア活動など幅広い分野を含みます。これらは必ずしも仕事に結びつくものではなく、人生を彩るための学びです。
両者に共通する学びの分野もありますが、リカレント教育は職業的成果を重視する点で大きな違いがあります。
リカレント教育が注目されている背景とは

リカレント教育により社会の変化に対応できるようになり、キャリアの可能性が広がるでしょう。しかしなぜ、リカレント教育が広まってきているのでしょうか。
ここでは、リカレント教育が注目されている背景について解説します。
技術革新と社会の変化加速している
現代社会では、インターネットにより世界のインフラの在り方が変わる第四次産業革命の影響により、技術革新が急速に進んでいます。モノをインターネット接続するIoTや、AIなど新しいテクノロジーが普及し、産業構造やビジネスモデルが大きく変わりつつあります。
企業もDXの推進を加速させており、従来の業務だけでは生き残れない時代です。新たな知識やスキルが求められる中、リカレント教育はこの変化に適応するための有力な選択肢となっているのです。
例えば検品・異常検知・設計などへのAIの応用が進む製造業では、プログラミングやデータ解析スキルが必要です。こうしたスキルの習得を支援する動きも進んでおり、リカレント教育の需要が高まってきています。
終身雇用からジョブ型雇用に移行しつつある
日本では長年、終身雇用が根付いていましたが、近年ではその仕組みが揺らぎつつあります。派遣社員の増加や早期退職制度の普及により、働き方の多様化が進んでいます。
企業が求めるスキル・資格などを持つ人材を、職務内容を限定して採用する「ジョブ型雇用」を採用する企業が増え、「どこで働くか」より「何をするか」が重要になっています。
この変化に対応するには、個人が自身のスキル・知識を高める必要があります。リカレント教育は会社に依存せずキャリアアップを図るための手段として、特に転職希望者や副業を考える人々にとって魅力的な選択肢となるでしょう。
人生100年時代への備えが必要
人生100年時代と言われる現代は、働く期間が長くなることが予想されています。厚生労働省が2022年に発表したデータによると、日本の平均寿命は男性81歳、女性87歳と高い水準にあり、多くの人が生涯現役で活躍する社会が現実となりつつあります。
そのため企業は、従業員が定年後も活躍できる教育環境を整える必要があるでしょう。例えば定年後の職場復帰や、再就職を支援するプログラムが挙げられます。
リカレント教育は人生100年時代の取り組みの一環として、重要視されているのです。
リカレント教育のメリット

リカレント教育には、具体的にどのようなメリットがあるのでしょうか?以下で詳しくご紹介していますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 年収と就業率がアップする
- 新しい時代に適応できる
- キャリアの選択肢が広がる
- 復職や転職がしやすい
年収と就業率がアップする
リカレント教育を受けることで、収入面でのメリットが期待できます。内閣府の調査では、教育を受けた人は、受けていない人と比べて年収が10~16万円ほど高くなる傾向にあるという結果が出ています。
また、職に就いていない人がリカレント教育を受けた場合、就業する確率が10~14%向上するというデータもあります。このように、リカレント教育は収入や就業率の向上に直結しており、安定した生活を目指すための有効な手段と言えるでしょう。
新しい時代に適応できる
IoTやAIの発達により、人の仕事を機械・ロボットが代替する時代が近づいてきています。野村総合研究所の調査によると、日本の労働人口の約49%が代替可能な仕事に従事しています。
飲食業の配膳ロボットなどがその例ですが、こうした技術革新に適応するには、技術革新後も需要の高いスキルを習得することが重要です。そこでリカレント教育を活用することで、長期的に職を失うリスクを軽減できるでしょう。
キャリアの選択肢が広がる
リカレント教育により、多様な働き方が実現できます。フレックスタイムやテレワーク、フリーランスで働く方が増えてきており、成果が求められる時代です。
このような環境では、仕事に必要なスキル・知識を身に付けることが欠かせません。事前に教育を受けて準備しておくと、企業の倒産や統廃合といった予測不能な事態にも備えやすくなります。
リカレント教育で得られるポータブルスキルを活用すれば、職場を選ばずに活躍できる可能性が高まるでしょう。
復職や転職がしやすい
育児・介護などで職を離れた場合でも、リカレント教育で最新の知識を学んでおくことによりスムーズな復職が可能です。また仕事の変化に柔軟に対応できるスキルを持っておくと、職場での即戦力として評価されやすくなります。
さらに、リカレント教育は自身の強みをアピールする材料ともなり、転職市場での競争力を高めます。そのため再就職の際にも有利に働くでしょう。
リカレント教育の補助金・助成金・支援制度

リカレント教育を行う上で、費用や時間の確保が障壁となる場合があります。これを解消するために、さまざまな助成制度が用意されています。
ここでは、リカレント教育を支援する補助金や制度、サービスをご紹介していますので、気になるものがあればぜひご活用ください。
- 教育訓練給付金制度
- 高等職業訓練促進給付金
- ハロートレーニング
教育訓練給付金制度
教育訓練給付金制度は、雇用保険に加入している社会人を対象に、学び直しの費用を助成する制度です。厚生労働大臣指定の教育訓練講座が支給対象で、種類によって助成率や上限額が異なります。
一般教育訓練給付金
厚生労働省が指定する教育訓練講座を受講すると、支払った学費の20%(上限10万円)が支給されます。例えば学費が50万円の場合は、10万円が支給されます。
対象講座は随時変更されるため、事前の確認をおすすめします。
特定一般教育訓練給付金
IT・介護・ビジネススキルなどキャリアアップしやすい講座が対象で、支給率は50%(上限25万円)です。
支給条件として、雇用保険加入期間が1年以上であることが求められます。(2回目以降は3年以上)
専門実践教育訓練給付金
中長期的な専門教育を支援する目的で行われ、支給率は50%(上限年間40万円)です。対象鋼材は2年以上のプログラムが中心で、看護師や保育士、IT関連、建築などの資格講座が多いです。
資格取得後に就職した場合、70%(上限年間56万円)まで支給されることもあります。
高等職業訓練促進給付金
高等職業訓練促進給付金は、看護師や介護福祉士などの資格取得を目指す母子家庭の母や、父子家庭の父を対象とした制度です。非課税世帯の場合に月額10万円、課税世帯には月額7万500円が支給され、最大で4年間利用可能です。
この制度により、経済的な負担を軽減しながら専門資格の取得が目指せます。
ハロートレーニング
ハロートレーニングは、希望する仕事に必要なスキルや知識を習得するための制度です。雇用保険受給者向けの「公共職業訓練」と、非受給者向けの「求職者支援訓練」に分かれています。
いずれも無料で受講可能(テキスト代を除く)で、求職者支援訓練の場合は訓練受講手当として月額10万円と、通諸手当(交通費)が支給されます。
企業のリカレント教育の課題と改善策

現代の日本社会では、リカレント教育が注目されながらも、あまり普及が進んでいません。その背景には企業・個人・教育機関それぞれに課題が存在します。
ここでは、日本のリカレント教育が抱える問題とその改善策について解説します。
- リカレント教育への取り組み不足
- リソース不足と時間的制約
- 費用負担と、学び直しの評価不足
リカレント教育への取り組み不足
多くの日本企業では、従業員のスキルアップを「個人の課題」として捉える傾向があります。新卒採用が主流のため、上司・先輩が実務を通して後輩にスキルや知識を教える、従来の教育スタイルを採用する企業が多いです。
しかし仕事の忙しさから、学ぶ時間を確保するのは容易ではありません。そのため企業が学びやすい環境を整備し、リカレント教育の普及を支援することが求められます。
例えば、学習支援制度や研修プログラムの導入が有効でしょう。
リソース不足と時間的制約
仕事・家事・育児などで多忙な社会人にとって、学習の時間を確保するのは大きな課題です。日本では労働時間・通勤時間が長いことも、リカレント教育を妨げる要因でしょう。
一方で、企業側も研修実施の際には従業員とのスケジュール調整が必要で、リカレント教育の実現が難しい場合があります。オンライン研修の普及は進んでいますが、特定のスキル習得には対面の研修が不可欠なケースも少なくありません。
このような問題を解決するには、フレックスタイムやリモートワークなど柔軟な働き方を取り入れたり、外部の教育機関と連携したりすると良いでしょう。
費用負担と、学び直しの価値の評価不足
リカレント教育では、個人や企業が費用を負担するケースが多く、これが普及を阻んでいます。また、社会全体で学び直しの価値が十分に評価されておらず、時間・費用を投資するメリットが見えにくい現状があります。
これらの問題を解決するには、学び直しの重要性を周知する取り組みが重要です。また補助金・奨学金の利用を広めることで、教育へのハードルを下げられるでしょう。
企業のリカレント教育のポイント

リカレント教育の導入には、いくつかの課題が伴います。企業が適切な制度を整え、従業員の学習を支援する仕組みを構築することで、リカレント教育を効果的に活用できるようになるでしょう。
そこで以下では、リカレント教育のポイントを詳しく解説していきます。
- 企業による柔軟な働き方の支援
- 教育プログラムの整備と外部連携
- 学習成果を評価する仕組みづくり
- 学びを支える制度の確立
企業による柔軟な働き方の支援
従業員が学習時間を確保するには、企業が柔軟な勤務制度を整えることが重要です。例えばフレックスタイムやリモートワークの導入により、働きながら学べる環境を作れるでしょう。
また、長期休職が可能な制度や経済的支援を取り入れることで、従業員が安心して学習に専念できるようになります。復職後には、カウンセリングやトレーニングプログラムを提供し、スムーズな職場復帰を支援することも大切でしょう。
教育プログラムの整備と外部連携
リカレント教育の実施にあたり、自社の業務内容や将来のビジョンに基づいた教育プログラムを整える必要があります。すべてを社内で完結させるのではなく、外部の教育機関やオンラインプラットフォームを活用することも必要です。
例えば、eラーニングや外部の専門家によるセミナーを取り入れることで、多様なスキル習得の機会を提供できます。これなら、従業員が効率的に新しい知識を習得できる環境を整えられるでしょう。
学習成果を評価する仕組みづくり
リカレント教育では、学習の成果を人事評価や将来のキャリアに反映させる仕組みが欠かせません。具体的な業務成果としてスキルが評価されることで、従業員の学習意欲を高められます。
教育プログラムの進捗確認やフィードバックを定期的に行い、学んだ知識が実務で活かされているかを確認することも大切です。この取り組みにより、教育の成果が企業全体の成長につながるでしょう。
学びを支える制度の確立
リカレント教育を進めるには、支援制度の整備が不可欠です。例えば学習のための有給休暇や受講料補助制度を導入し、従業員の負担を軽減する仕組みを作りましょう。
さらに職場内で、上司と部下がキャリアプランについて話し合える環境を整えることで、従業員の主体的な学びを促進できます。このような取り組みを行うと、従業員の長期的な成長を支える基盤を作れるでしょう。
リカレント教育で社会の変化に対応しよう

リカレント教育は、技術革新や雇用形態の変化に適応し、キャリアの可能性を広げるための重要な手段です。収入アップや就業率向上、柔軟な働き方の実現、さらには人生100年時代への備えとして、多くのメリットが得られるでしょう。
また教育訓練給付金制度などを活用することで、経済的な負担を軽減しながら学びを続けることが可能です。これなら復職・転職がしやすくなり、不測の事態にも備えやすくなるでしょう。
ただしリカレント教育の課題としては、企業や個人の取り組み不足、時間的・経済的制約などが挙げられます。このような課題を解決するには、柔軟な働き方を支援する仕組みを作ったり学び直しの評価を見直したりすることが必要です。
あなたもこの機会にリカレント教育を活用して、理想の未来を描きませんか?まずは自身に合った学び方や制度を見つけて、最初の一歩を踏み出してみましょう。
執筆者名Ruben
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム