「マイナ免許証にメリットはあるの?」「フリーランスがマイナンバーカードを使う機会はある?」
このような疑問を抱える方は多いようです。
2025年3月から全国で始まった、マイナンバーカードと運転免許証が一体化した「マイナ免許証」の導入により、本人確認や手続きがよりスマートになります。マイナンバーカードと併せて活用すれば確定申告や契約、書類取得も効率化され、フリーランスとしての働き方が快適になるでしょう。
この記事ではマイナ免許証やマイナンバーカードのメリットや注意点、手続き方法などを解説していますので、ぜひ今後の参考にしてください。
そもそもマイナンバーとは?フリーランスが使うシーンは?

個人で仕事をしていると、行政手続きや税金の申告などで「マイナンバー」が必要になる場面が出てきます。特にフリーランスは、さまざまな手続きを自分で行う必要があるため、マイナンバー制度を正しく理解することが大切です。
マイナンバー制度の基本を押さえよう
国内に住民票があるすべての人に割り当てられた、12桁の番号がマイナンバーです。2015年10月に番号が通知され、2016年1月から制度が本格的に運用されています。
主に社会保障・税・災害対策に関連する行政手続きで活用され、行政の効率化や公正な支援の実現を目的としています。
一度割り当てられた番号は、基本的に生涯にわたって変更されません。本人確認書類としても使われるため、重要な個人情報として厳重な管理が求められます。
フリーランスがマイナンバーを使うシーン
フリーランスは以下のようなシーンで、マイナンバーが必要になるでしょう。
- 報酬を受け取るとき
- 確定申告時
- 従業員を雇用している場合
報酬を受け取るとき
フリーランスが仕事の報酬を受け取る場面で、マイナンバーの提出が必要になることがあります。これは、契約先が税務署へ提出する「支払調書」にマイナンバーを記載しなければならないためです。
一定額を超える報酬や契約金を支払う場合、支払う側が源泉徴収を行うことがあり、その際にマイナンバーの提供を求められます。これはライター・講演者・士業・スポーツ選手などが対象です。
確定申告時
フリーランスは毎年、自ら所得を申告して税金を納める必要があります。この「確定申告」の書類にはマイナンバーの記載が義務づけられています。
2016年以降は記載漏れがあると受付されないこともあるため、注意が必要です。また提出時にも本人確認として、マイナンバーカードまたはマイナンバー記載の住民票などを用意しましょう。
電子申告(e-Tax)を行う際も、ログインにはマイナンバーカードが必要です。
従業員を雇用している場合
フリーランスで従業員を雇っている場合、従業員やその扶養家族のマイナンバーを収集し、管理する義務があります。税務署や役所へ提出する各種書類にマイナンバーが必要なためです。
ただしマイナンバーは厳密な保護対象であるため、法律に基づいた安全管理が求められます。例えば、漏洩防止のための管理体制や保存方法の見直しが必要です。
またマイナンバーを第三者に提供することは法律で制限されており、利用範囲もあらかじめ決められています。
フリーランスがマイナ免許証やマイナンバーカードを持つメリット

ここでは、フリーランスがマイナ免許証やマイナンバーカードを持つメリットをご紹介します。制度を理解し活用することで日々の業務負担が軽減され、より自由な働き方を実現できるでしょう。
- 確定申告を効率化できる
- 青色申告で節税効果を最大化できる
- 仕事の契約時にスムーズに対応できる
- コンビニで証明書を取得できる
- 本人確認とマイナンバー証明が1枚で完結する
- マイナポータルで法人設立が簡単になる
- 健康保険証として使える
- 給付金の受け取りがスピードアップする
- マイナ免許証で手続きが一本化される
確定申告を効率化できる
マイナンバーカードを使えば、確定申告が手軽になります。マイナンバーカードで利用できるe-Taxを活用すれば自宅からオンライン申告ができ、わざわざ税務署に出向く必要がありません。
確定申告の時期は税務署が混雑するため、フリーランスにとっては時間短縮につながります。忙しい時期でも申告手続きをスムーズに進められます。
青色申告で節税効果を最大化できる
フリーランスにとって、青色申告は税負担を抑えるために重宝します。特に、e-Taxを使えば最大65万円の控除が可能です。
2020年以降、郵送で申告すると控除額が55万円に減少しましたが、オンライン申告なら上限の65万円が維持されます。節税を意識するなら、マイナンバーカードを活用して青色申告を実施するのがおすすめです。
仕事の契約時にスムーズに対応できる
フリーランスはさまざまな取引先と契約を結びます。その際、マイナンバーの提出が求められるケースが増えています。特に源泉徴収が必要な契約では、支払調書にマイナンバーを記載するため、取引先に提示する必要があるでしょう。
この場合にカードを持っていれば、やり取りもスピーディに済みます。取引先が頻繁に変わる方は特に、マイナンバーカードを持っていると効率的です。
コンビニで証明書を取得できる
市区町村の窓口に行かずに、全国のコンビニで住民票や印鑑証明などを取得できるのも、マイナンバーカードの大きなメリットです。
移動の多いフリーランスや、引っ越しが多い人にとっては、いつでもどこでも手続きができる便利な仕組みです。自治体によっては戸籍証明書や予防接種証明書も取得可能で、書類の準備にかかる時間を大幅に削減できます。
本人確認とマイナンバー証明が1枚で完結する
マイナンバーカードは、顔写真付きの本人確認書類として利用できます。通知カードや番号通知書とは異なり、1枚で本人確認と番号証明が可能です。
転職時や金融機関の口座開設時、確定申告の際など、さまざまな場面で役立ちます。コンビニ交付や電子申請でも本人確認手段として利用可能です。
マイナポータルで法人設立が簡単になる
事業拡大を目指すフリーランスにとって、法人化という選択肢があります。このような場合にマイナンバーカードがあれば、マイナポータルを通じて法人設立の手続きをオンラインでまとめて行えます。
税務署や年金事務所、ハローワークへの申請がオンラインで一括処理できて、時間や労力を節約できるでしょう。段階的にサービスも拡充されており、今後さらに便利になっていくことが予想されます。
健康保険証として使える
2021年10月から、マイナンバーカードは健康保険証としても活用可能になりました(※初回だけ登録が必要)。転職や引越し後も継続して使えるため、保険証の切り替え手続きの手間が減ります。
2025年時点では、マイナ保険証に対応していない医療機関・調剤薬局もありますが、マイナポータルで診療履歴や薬の情報を管理できるため、医療機関での情報共有もスムーズです。医療費控除の申請も簡単になり、手続きの効率化が進むでしょう。
給付金の受け取りがスピードアップする
マイナンバーカードに公金受取口座を登録しておくと、給付金の申請や受け取りがスムーズになります。口座情報の提出が不要になり、手続きのたびに入力する手間が省けるでしょう。
緊急時の給付金や年金、手当、還付金の受取口座としても使え、手続きの回数を減らせます。フリーランスのような柔軟な働き方でも、安定した受け取り環境が整います。
マイナ免許証で手続きが一本化される
マイナ免許証では住所変更や氏名変更の際に、市町村窓口のみで手続きが完結します。警察署や免許センターに行く必要がなく、時間を節約できるでしょう。
さらに優良運転者や一般運転者はオンラインで更新講習を受けられ、手数料も軽減されます。カード1枚で複数の役割をこなせる点は、非常に大きなメリットです。
マイナ免許証やマイナンバーカードの注意点

マイナ免許証やマイナンバーカードには注意点もあります。特にフリーランスのように個人で手続きを行う人は、更新や紛失時の対応について正しく理解しておくことが大切です。
- 運転免許証の更新に予約が必要な地域もある
- 有効期限やカード情報の更新タイミングに注意する
- マイナンバーカードの再発行は有料になる場合がある
- 電子証明書とカードの更新期限に差がある
- 更新制度が複雑との指摘もあり、改善が検討されている
運転免許証の更新に予約が必要な地域もある
運転免許証の更新時に、マイナ免許証の発行手続きを行うケースが多くあります。しかし一部の都府県では、免許証の更新自体に事前予約が求められるため注意が必要です。
例えば東京都では予約が必須で、2025年3月時点では千葉県の一部、愛知県、京都府、大阪府、岡山県、福岡県の一部、栃木県などでも同様のルールがあります。地域によっては曜日によって予約制になる場合もあるため、更新前に必ず各都道府県警察のホームページで確認しましょう。
有効期限や紛失、カード情報の更新タイミングに注意する
マイナ免許証には、従来の免許証のような有効期限や色がカード本体に記載されません。見た目では有効期限が分からないため、更新時期を忘れやすくなります。
マイナンバーカードやマイナ免許証を紛失した場合は、再発行までに時間がかかることがあります。再交付には役所でのマイナンバーカードの再発行と、警察での免許証登録という2段階の手続きが必要です。
マイナンバーカードの再発行は有料になる場合がある
マイナンバーカードはICチップを搭載した精密な電子機器です。そのため破損や故障のリスクがあり、再発行時には費用がかかることがあります。
カード本体を再発行する場合は1,000円、電子証明書を搭載しないカードは800円が必要です。紛失や住所変更後の手続き忘れでも、再交付には費用が発生します。
電子証明書とカードの更新期限に差がある
マイナンバーカード本体の有効期限は10年(未成年は5年)ですが、電子証明書は5年ごとに更新が必要です。それぞれ更新時期が異なるため、手続きが分かりにくいとの声もあります。
更新時は本人確認のために、自治体の窓口に出向く必要があります。更新を怠るとオンライン申請やマイナ保険証としての利用ができなくなるため注意が必要です。
なおマイナ保険証は有効期限が切れても3か月間は使える猶予がありますが、その後はマイナンバーカードがなくても医療機関等を受診できる「資格確認書」が自動で発行されます。
更新制度が複雑との指摘もあり、改善が検討されている
電子証明書の更新が5年ごとに必要なのは、安全性の確保が目的です。暗号技術が進化する中で、古い証明書を使い続けることはセキュリティリスクに繋がります。
またマイナンバーカード本体も、写真の変化などを考慮して10年ごとの更新が求められています。未成年のカードの有効期限が5年に設定されているのも、成長による顔つきの変化に対応するためです。
現在、日本政府ではカードと電子証明書の有効期限を10年に統一する方針で検討が進められており、将来的には手続きの負担が軽減される見込みです。
マイナ免許証とマイナンバーカードの発行手続きの手順

ここでは、運転免許証とマイナンバーカードの一体化方法と、マイナ免許証としての利用方法、さらにマイナンバーカードの具体的な取得方法を分かりやすく開設します。手続きの流れを理解すれば、安心して手続きを進められるでしょう。
マイナ免許証の申請手順
マイナ免許証を作るには、マイナンバーカードと署名用電子証明書の暗証番号(英数字6~16桁)が必要です。ICチップに免許情報を登録する時に本人確認として使われる番号のため、あらかじめ設定しておきましょう。
マイナ免許証を取得する際は、運転免許センターや警察署で免許情報の登録を行いましょう(詳細は各警察署のホームページで確認が必要)。
利用開始後はマイナポータルまたはマイナ免許証読み取りアプリで、免許情報を確認できます。
マイナンバーカードの申請手順
マイナンバーカードは希望者のみが申請できて、初回の発行費用は無料です。申請方法には「郵送」「オンライン」「役所の窓口」の3種類があり、自分に合った方法を選べます。
郵送・オンラインによる申請手順
郵送の場合、通知カード付属の申請書に写真(縦4.5cm・横3.5cm)を貼って地方公共団体情報システム機構へ送ります。オンライン申請ではスマートフォンで撮った顔写真を専用サイトにアップロードし、必要事項を記入して申請します。
カードが完成すると交付通知書が送付されるため、通知書が届いたら役所の窓口へ受け取りに行きましょう。
役所窓口での申請手順
窓口申請の場合は住民課などの窓口に本人が直接行き、本人確認書類・通知カード・顔写真(縦4.5cm・横3.5cm)を持参して手続きします。15歳未満や成年後見制度を利用している場合は、本人と法定代理人が一緒に手続きを行います。
手続き後は約1か月で本人限定受取郵便が自宅に届くため、本人確認書類を提示してカードを受け取りましょう。
フリーランスのマイナンバーの管理方法

マイナンバーを適切に管理できていないと、情報漏洩により信用が低下し、場合によっては法的責任が問われることもあります。そこで以下では、マイナンバーの安全な管理方法について解説していきます。
マイナンバーを安全に管理するには
マイナンバーは個人情報の中でも特に機密性が高いため、厳重な管理が求められます。フリーランスでも、マイナンバーを扱う場面では法律に基づいた対応が必要です。
書類に記載されたマイナンバーは鍵のかかる場所に保管し、外出時の持ち出しは避けましょう。自宅に金庫がある場合は、そこに保管するのが理想です。
またパソコンやスマートフォンにデータを保存する時は、パスワードや暗号化機能で保護してください。第三者に見られるリスクを減らすためにも、セキュリティ対策を常に意識することが大切です。
従業員を雇う際のマイナンバーの管理方法
従業員を抱える個人事業主は、マイナンバーの保管期間にも気を配る必要があります。法律で定められた目的以外では、マイナンバーを保管してはいけません。
税務や社会保険に関わる手続きのために一時的に保存するのは認められていますが、不要になったら速やかに破棄してください。
マイナンバーを提出する際の対応
フリーランスが取引先にマイナンバーを提出する場合も、事前の確認が欠かせません。まず、提出先の管理体制を明確に把握しておきましょう。
提出時は「誰が管理しているのか」を確認し、マイナンバー担当者に直接渡すようにしてください。「とりあえず預かる」と言われた場合は、そのまま渡さず確認を取ることが大切です。
遠方の企業とやり取りする際に、マイナンバーの画像をメールで送ることもありますが、その場合も必ず担当者と直接やり取りするようにしましょう。ファックスでの送付は、他人の目に触れる恐れがあるため避けた方が無難です。
鍵付きの収納や厳重なセキュリティ対策が取られているかを確認することで、より安心してマイナンバーを提出できるでしょう。
違反の罰則について
マイナンバー制度には厳格な罰則があり、違反した場合は重大なペナルティが科されます。例えば正当な理由なく第三者に提供した場合には、刑事罰の対象となる可能性があります。
罰金は最大で200万円に達するケースもあり、フリーランスにとっては経済的にも大きな痛手です。
また情報漏洩を起こした場合、仕事を失うなどの信用問題にもつながります。大手企業の情報流出がニュースになることがありますが、個人で活動するフリーランスも無関係ではありません。
ビジネスを長く続けるには、法律に沿った対応を常に意識することが欠かせません。
マイナ免許証やマイナンバーカードでビジネスを円滑に

マイナ免許証やマイナンバーカードの活用は、フリーランスにとって大きなメリットをもたらします。確定申告の効率化や節税、契約時のスムーズな対応、各種証明書の取得の簡略化など、日常業務の負担を大きく軽減できるでしょう。
有効期限や更新、管理に関する注意点も事前に把握しておくことで、トラブルを未然に防げます。デジタルツールを賢く活用し、効率的で安心できる働き方を実現しましょう。マイナ免許証やマイナンバーカードに興味がある方は、ぜひ発行手続きを行ってみてください。
執筆者名Ruben
編集企画CWパートナーシップ・フリサプ編集チーム